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責任3
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『スノーは嫁ぐに当たって、ランドマーク侯爵、あなたの父親の娘になったから、今はあなたの妹よ?』
『そうなの?妹に…何だか嬉しいわ』
姉と、一応は現ランドマーク侯爵である弟しかいなかったオリラにとっては、初めての妹という存在であった。
『お姉様は、相変わらず?って、私が外の世界を遮断していたんだけど…』
オリラも勿論、スノーの事件のことは知っている。
『反省はしているのでしょうけど、スノーはもう見限ってしまっているから。それより、レピアの方が卒業も危なくて…』
『そう…私が言えたことではないけど、スノーに被害がないといいわね。あの子は私のように舞い上がるようなことが、ないようにと思っていたの』
記憶としては幼い頃ではあったが、オリラは甥や姪を皆を平等に可愛がろうと思ったが、グリーは連れ出して、何かあったと言われ、レピアは叱ることばかりで、避けられるようになってしまっていた。
だが、スノーのレリリス伯爵家の立場を知ってからは、スノーの息抜きになればと連れ出すようになった。勿論、姉・ファイラにも話をしたが、グリーのことばかりで、話にならなかった。
『もし何かあっても、ローザ公爵家、ランドマーク侯爵家が許すことはないわ。だから、養子にもなったの。レリリス伯爵家では守れないもの。そして、スノーも覚悟しているはずよ』
『そうね、私では何もしてあげられないけど、幸せになって欲しいわ』
贔屓するつもりはなかったが、自ずと可愛いのはスノーになっていた。
心を壊しても、訪ねてくれるのはスノーだけだった。グリーもレピアも寄り付くこともなく、ファイラですら訪ねて来ることはない。心は癒えなくとも、スノーの顔を見た日は、調子が少しだけ良かった。
『頼れば良かったと、私が頼れない環境を作ってしまった。ごめんなさい、私も一緒にマリエル様に謝るから』
『うん…』
母娘は長く止まっていた時間を、ようやく進め始めた―――。
「私も、いずれ叔母上に御会いすることが出来るだろうか?」
リアンスはスノーに恐る恐る問い掛けた。
「どうでしょうか…私も会って貰いたいとは思ってはいますが」
「いつかで構わない」
「ええ、叔母は自分に関わったせいだと責任も感じているそうですが、オスレ様にも会って貰えたらとは考えていました」
「ああ、そうだな、それはいいな」
自分のことばかり考えていたリアンスであったが、確かにダリアの話す相手にはなれるのではないかと思った。
「まだ互いにどうなるか分かりませんが、マリー様のお話を出来るのは二人ではないかと、まだ先の話かもしれませんが…」
「いや、とてもいい考えだと思う」
ダリアも離縁して、娘のことはどうなっているのか分からないが、これから事件のことも抱えて行かなくてはいけない。オリラは関わったとは言っても、勝手に関わらされただけで、痛みも含めて話が出来るのではないかと思った。
「その際には二人で一緒に行きましょう」
「ああ、勿論だ」
「私たちの婚約のことも祖母が話したそうです。自身と重ねて、心配もあるようですが、喜んでくれたそうです」
「それは良かった」
伝えることが出来たということは、前進している証拠だろうと、リアンスも嬉しく思った。
「後は、事件のことですね…」
「ああ、父上もまだ忙しくしているようだから、ジーリス・ユーフレットのこともあったんだろうな」
「ええ、祖父も忙しくしております」
リサナ・ビュータ、リリー・ユーフレットの刑が決まる日がやって来るが、その前にリリーには事実とジーリスのことを聞かなくてはいけない時がやって来た。
『そうなの?妹に…何だか嬉しいわ』
姉と、一応は現ランドマーク侯爵である弟しかいなかったオリラにとっては、初めての妹という存在であった。
『お姉様は、相変わらず?って、私が外の世界を遮断していたんだけど…』
オリラも勿論、スノーの事件のことは知っている。
『反省はしているのでしょうけど、スノーはもう見限ってしまっているから。それより、レピアの方が卒業も危なくて…』
『そう…私が言えたことではないけど、スノーに被害がないといいわね。あの子は私のように舞い上がるようなことが、ないようにと思っていたの』
記憶としては幼い頃ではあったが、オリラは甥や姪を皆を平等に可愛がろうと思ったが、グリーは連れ出して、何かあったと言われ、レピアは叱ることばかりで、避けられるようになってしまっていた。
だが、スノーのレリリス伯爵家の立場を知ってからは、スノーの息抜きになればと連れ出すようになった。勿論、姉・ファイラにも話をしたが、グリーのことばかりで、話にならなかった。
『もし何かあっても、ローザ公爵家、ランドマーク侯爵家が許すことはないわ。だから、養子にもなったの。レリリス伯爵家では守れないもの。そして、スノーも覚悟しているはずよ』
『そうね、私では何もしてあげられないけど、幸せになって欲しいわ』
贔屓するつもりはなかったが、自ずと可愛いのはスノーになっていた。
心を壊しても、訪ねてくれるのはスノーだけだった。グリーもレピアも寄り付くこともなく、ファイラですら訪ねて来ることはない。心は癒えなくとも、スノーの顔を見た日は、調子が少しだけ良かった。
『頼れば良かったと、私が頼れない環境を作ってしまった。ごめんなさい、私も一緒にマリエル様に謝るから』
『うん…』
母娘は長く止まっていた時間を、ようやく進め始めた―――。
「私も、いずれ叔母上に御会いすることが出来るだろうか?」
リアンスはスノーに恐る恐る問い掛けた。
「どうでしょうか…私も会って貰いたいとは思ってはいますが」
「いつかで構わない」
「ええ、叔母は自分に関わったせいだと責任も感じているそうですが、オスレ様にも会って貰えたらとは考えていました」
「ああ、そうだな、それはいいな」
自分のことばかり考えていたリアンスであったが、確かにダリアの話す相手にはなれるのではないかと思った。
「まだ互いにどうなるか分かりませんが、マリー様のお話を出来るのは二人ではないかと、まだ先の話かもしれませんが…」
「いや、とてもいい考えだと思う」
ダリアも離縁して、娘のことはどうなっているのか分からないが、これから事件のことも抱えて行かなくてはいけない。オリラは関わったとは言っても、勝手に関わらされただけで、痛みも含めて話が出来るのではないかと思った。
「その際には二人で一緒に行きましょう」
「ああ、勿論だ」
「私たちの婚約のことも祖母が話したそうです。自身と重ねて、心配もあるようですが、喜んでくれたそうです」
「それは良かった」
伝えることが出来たということは、前進している証拠だろうと、リアンスも嬉しく思った。
「後は、事件のことですね…」
「ああ、父上もまだ忙しくしているようだから、ジーリス・ユーフレットのこともあったんだろうな」
「ええ、祖父も忙しくしております」
リサナ・ビュータ、リリー・ユーフレットの刑が決まる日がやって来るが、その前にリリーには事実とジーリスのことを聞かなくてはいけない時がやって来た。
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