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リリー夫人5
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「な、な、なぜ…」
リリーは生唾をゴクンと呑んだ。
3人はどんな反応をするのかは分からないかったが、バークスは動揺を一切見せずに、問い掛けた。ヒューナもオブレオも涼しい顔をしている。
「トイズにそう言っていたんだろう?あの時、襲った時の子だと」
「それでどうなの?」
リリーは動揺していない3人に驚いていた。メリーアンはダリアと結婚しているのに、なぜなのかと思っていた。まさかトイズ様の子どもではないというのか。
「マリエルは不貞を犯していたって言うの!」
トイズ様がいるのに、なんて女なのと怒りが込み上げてきた。
「何を言っているんだ?」
「だって、おかしいじゃない。メリーアンはダリアと結婚して、子どもを産んでいるのよ。ダリアはトイズ様の子どもではないの?」
「分かっていて、二人を結婚させたのだろう?何がしたかったんだ?」
こちらが感情的になれば、リリーは理由を話さないだろうと、冷静に話をした。理由だけはリリーに聞かないと分からないと思っていたからである。
「何って…」
「もしかして、メリーアンがトイズの子どもだという理由が欲しかったの?」
リリーはヒューナに目をやって、すぐに逸らした。
「それで、子どもを実験台にしたの?」
ヒューナは怒りに任せて、怒鳴り付けてやりたかったが、グッと我慢した。
「しょうがないじゃない!メリーアンは何一つトイズ様に似ていなくて、私に似ているんだもの!」
「それで、答えは孫に遺伝子疾患があるかどうかということ?」
「そうよ?血が近過ぎると、良くないんでしょう?本に書いてあったの。それでメリーアンをダリア様に近付けてみたの。すっかり好きになって、私の娘だと思ったわ」
リリーはふふっと笑っており、実験台にしたということである。
「でもね、マーガレットはトイズ様に似ていないの!ちっとも可愛くないわ。本当に腹立たしい!折角、ダリア様と結婚させてやったのに」
「孫だろう?」
「孫だけど、トイズ様ではないし」
リリーの中で、トイズが一番で、ダリアはトイズに似ているから価値があり、メリーアンを特別だと言ったのは、トイズの子どもかもしれないからで、可愛がっているわけではないのかもしれない。
「メリーアンとダリアが聞いたら、どう思うか考えたことはないのか」
「応援はしたけど、私が勧めたわけではないわ。勝手に上手いことやったんでしょう?メリーアンは、本当に私に似ていて、憎らしくなる時もあるわ。マリエルが母親なのは許せないけど、私がダリア様の子どもを産みたいくらいだったのに」
その言葉に絶句した。オブレオはスノーがまさかと言っていたことが、次々に現実となり、気分は最悪だった。
「媚薬はダリアに使う気だったのか?」
「そうよ?トイズ様に使いたくても、いないんだもの。でも、私の中にはずっと生きているの。だから似ているダリア様で我慢してあげてもいいかなって。でもね、メリーアンに譲ってあげたの。優しいでしょう」
狂っている…皆、口には出さなかったが、意見を一致させていた。
「血の繋がりがあるかは調べることが出来る」
「え?そうなの?じゃあ、二人をくっ付けることはなかったのね」
無知は罪とはよく言ったもので、リリーが親子鑑定を知っていれば、こんなことにはならなかった。
「トイズの子どもだったら、どうするつもりだったんだ?」
「喜ぶに決まっているじゃない!トイズ様と私の子どもよ?似ていないのは残念だけど、存在だけで、なんて素晴らしいの!そう思うでしょう?」
リリーは両手を両頬に当てて、幸せそうな笑みを浮かべている。
リリーは生唾をゴクンと呑んだ。
3人はどんな反応をするのかは分からないかったが、バークスは動揺を一切見せずに、問い掛けた。ヒューナもオブレオも涼しい顔をしている。
「トイズにそう言っていたんだろう?あの時、襲った時の子だと」
「それでどうなの?」
リリーは動揺していない3人に驚いていた。メリーアンはダリアと結婚しているのに、なぜなのかと思っていた。まさかトイズ様の子どもではないというのか。
「マリエルは不貞を犯していたって言うの!」
トイズ様がいるのに、なんて女なのと怒りが込み上げてきた。
「何を言っているんだ?」
「だって、おかしいじゃない。メリーアンはダリアと結婚して、子どもを産んでいるのよ。ダリアはトイズ様の子どもではないの?」
「分かっていて、二人を結婚させたのだろう?何がしたかったんだ?」
こちらが感情的になれば、リリーは理由を話さないだろうと、冷静に話をした。理由だけはリリーに聞かないと分からないと思っていたからである。
「何って…」
「もしかして、メリーアンがトイズの子どもだという理由が欲しかったの?」
リリーはヒューナに目をやって、すぐに逸らした。
「それで、子どもを実験台にしたの?」
ヒューナは怒りに任せて、怒鳴り付けてやりたかったが、グッと我慢した。
「しょうがないじゃない!メリーアンは何一つトイズ様に似ていなくて、私に似ているんだもの!」
「それで、答えは孫に遺伝子疾患があるかどうかということ?」
「そうよ?血が近過ぎると、良くないんでしょう?本に書いてあったの。それでメリーアンをダリア様に近付けてみたの。すっかり好きになって、私の娘だと思ったわ」
リリーはふふっと笑っており、実験台にしたということである。
「でもね、マーガレットはトイズ様に似ていないの!ちっとも可愛くないわ。本当に腹立たしい!折角、ダリア様と結婚させてやったのに」
「孫だろう?」
「孫だけど、トイズ様ではないし」
リリーの中で、トイズが一番で、ダリアはトイズに似ているから価値があり、メリーアンを特別だと言ったのは、トイズの子どもかもしれないからで、可愛がっているわけではないのかもしれない。
「メリーアンとダリアが聞いたら、どう思うか考えたことはないのか」
「応援はしたけど、私が勧めたわけではないわ。勝手に上手いことやったんでしょう?メリーアンは、本当に私に似ていて、憎らしくなる時もあるわ。マリエルが母親なのは許せないけど、私がダリア様の子どもを産みたいくらいだったのに」
その言葉に絶句した。オブレオはスノーがまさかと言っていたことが、次々に現実となり、気分は最悪だった。
「媚薬はダリアに使う気だったのか?」
「そうよ?トイズ様に使いたくても、いないんだもの。でも、私の中にはずっと生きているの。だから似ているダリア様で我慢してあげてもいいかなって。でもね、メリーアンに譲ってあげたの。優しいでしょう」
狂っている…皆、口には出さなかったが、意見を一致させていた。
「血の繋がりがあるかは調べることが出来る」
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無知は罪とはよく言ったもので、リリーが親子鑑定を知っていれば、こんなことにはならなかった。
「トイズの子どもだったら、どうするつもりだったんだ?」
「喜ぶに決まっているじゃない!トイズ様と私の子どもよ?似ていないのは残念だけど、存在だけで、なんて素晴らしいの!そう思うでしょう?」
リリーは両手を両頬に当てて、幸せそうな笑みを浮かべている。
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