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出産
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結局、手応えのある情報は得られないまま、リアンスは帰ることになった。帰ると父・バークスに訪ねられたが、首を振るしかなかった。
「子どもの頃は目の色がユーフレット侯爵に似ていたと言っていましたが、色具合は違いますが、同じグリーンですからね」
「…そうか」
「私の瞳の色とは違うとは思っていましたが、手掛かりとは言えませんからね」
「もう生まれそうなのか?」
「はい、かなり大きくなっていましたから、時間の問題でしょう」
バークスは大きな息を吐いた。
「そうか…生まれて欲しいような、まだ生まれて欲しくないような気持ちだな」
「はい」
メリーアンは産気づき、長い陣痛の末に娘が生まれた。ブラックの髪色に、ブルーの瞳というメリーアンの色味であった。
ダリアは喜んだが、メリーアンは少しは残念がったが、可愛い娘の姿に関係ないと喜び、オスレ伯爵家は喜びに包まれた。
ローザ公爵家にも出産したと情報は回って来て、リアンスとバークスは思わず息を呑んだ。
「生まれたのか…」
「そのようです。メリーアンの色味で、可愛らしい女の子だと」
ダリアが手紙で知らせてくれており、特に何か問題があったようなことは書いていなかったが、書いていないだけかもしれない。
「そうか…うん、良かったと言うべきだろうな。まだ今ではないな」
「そうですね…時期を見て、会いに行ってみます」
「ああ、よろしく頼む。何もかも、考え過ぎだという結果だと一番いいんだがな」
「…はい」
そして、リアンスからランドマーク侯爵家にも知らされ、様子を見ましょうと返事を貰った。公爵家にやって来たスノーにも伝えられた。
「そうですか、無事に生まれて良かったです…」
「ああ、メリーアン夫人に似ているそうだ」
どちらに似ていても、親なのだから不思議ではない。近親婚で見目が全然違うということは絶対でもなく、だがもしそうだった場合は、二人の関係をさらに疑うことにはなっていただろう。
「会いに行っても大丈夫な頃になったら知らせて欲しいと、ダリアに頼んでおいた。スノーにも来て欲しいと言っていたが、無理はしなくていい」
「いえ、大丈夫です。二人の関係がどうであれ、お子様が健康であれば、それでいいと思っています。親の業を背負わせるなんて、辛過ぎますから」
そして、三ヶ月が経ち、ダリアからようやく連絡があった。
スノーもリアンスも、バークスも、オブレオとアンリも、情報が入って来ないことで、考えないようにして生活をしていた。
ついにリアンスとスノーは、オスレ伯爵家に向かった。何がどうしたこともないが、二人は黙って、馬車に乗っており、緊張していた。
オスレ伯爵家に着くと、執事が迎えてくれて、ダリアとメリーアンと娘のいる部屋に案内してくれたが、二人はまだ緊張感を持っていた。
そしてついに、部屋に辿り着いた。スノーは深呼吸をしそうになったが、ハッとして止めた。ドアを開けると、メリーアンが二人の姿に笑顔を向けたが、すぐに驚いた顔に変わった。
「スノー様、髪の毛を染められましたの?」
スノーも、リアンスすら、ブロンドが普通になっていたために、髪色を戻して、会っていなかったことを思い出した。
馬車の中でどう説明するか話して置けば良かったと思ったが、核心に触れなければ大丈夫だろうと、心を落ち着かせた。
「いえ、今まで染めていたのです。これが地毛なんです」
「まあ、そうだったの?羨ましいわぁ」
「い、いえ」
「挨拶もせずに、ごめんなさい。驚いてしまって。マーガレットは寝ているのだけど、是非見て頂戴」
マーガレットは二人の娘の名前である。スノーとリアンスは先に、二人に出産祝いを渡した。
そして、導かれるままマーガレットの顔を見た。眠っているが、黒髪のせいか、肌が透き通るように白く、瞳の色は寝ているので、分からなかった。
「子どもの頃は目の色がユーフレット侯爵に似ていたと言っていましたが、色具合は違いますが、同じグリーンですからね」
「…そうか」
「私の瞳の色とは違うとは思っていましたが、手掛かりとは言えませんからね」
「もう生まれそうなのか?」
「はい、かなり大きくなっていましたから、時間の問題でしょう」
バークスは大きな息を吐いた。
「そうか…生まれて欲しいような、まだ生まれて欲しくないような気持ちだな」
「はい」
メリーアンは産気づき、長い陣痛の末に娘が生まれた。ブラックの髪色に、ブルーの瞳というメリーアンの色味であった。
ダリアは喜んだが、メリーアンは少しは残念がったが、可愛い娘の姿に関係ないと喜び、オスレ伯爵家は喜びに包まれた。
ローザ公爵家にも出産したと情報は回って来て、リアンスとバークスは思わず息を呑んだ。
「生まれたのか…」
「そのようです。メリーアンの色味で、可愛らしい女の子だと」
ダリアが手紙で知らせてくれており、特に何か問題があったようなことは書いていなかったが、書いていないだけかもしれない。
「そうか…うん、良かったと言うべきだろうな。まだ今ではないな」
「そうですね…時期を見て、会いに行ってみます」
「ああ、よろしく頼む。何もかも、考え過ぎだという結果だと一番いいんだがな」
「…はい」
そして、リアンスからランドマーク侯爵家にも知らされ、様子を見ましょうと返事を貰った。公爵家にやって来たスノーにも伝えられた。
「そうですか、無事に生まれて良かったです…」
「ああ、メリーアン夫人に似ているそうだ」
どちらに似ていても、親なのだから不思議ではない。近親婚で見目が全然違うということは絶対でもなく、だがもしそうだった場合は、二人の関係をさらに疑うことにはなっていただろう。
「会いに行っても大丈夫な頃になったら知らせて欲しいと、ダリアに頼んでおいた。スノーにも来て欲しいと言っていたが、無理はしなくていい」
「いえ、大丈夫です。二人の関係がどうであれ、お子様が健康であれば、それでいいと思っています。親の業を背負わせるなんて、辛過ぎますから」
そして、三ヶ月が経ち、ダリアからようやく連絡があった。
スノーもリアンスも、バークスも、オブレオとアンリも、情報が入って来ないことで、考えないようにして生活をしていた。
ついにリアンスとスノーは、オスレ伯爵家に向かった。何がどうしたこともないが、二人は黙って、馬車に乗っており、緊張していた。
オスレ伯爵家に着くと、執事が迎えてくれて、ダリアとメリーアンと娘のいる部屋に案内してくれたが、二人はまだ緊張感を持っていた。
そしてついに、部屋に辿り着いた。スノーは深呼吸をしそうになったが、ハッとして止めた。ドアを開けると、メリーアンが二人の姿に笑顔を向けたが、すぐに驚いた顔に変わった。
「スノー様、髪の毛を染められましたの?」
スノーも、リアンスすら、ブロンドが普通になっていたために、髪色を戻して、会っていなかったことを思い出した。
馬車の中でどう説明するか話して置けば良かったと思ったが、核心に触れなければ大丈夫だろうと、心を落ち着かせた。
「いえ、今まで染めていたのです。これが地毛なんです」
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「い、いえ」
「挨拶もせずに、ごめんなさい。驚いてしまって。マーガレットは寝ているのだけど、是非見て頂戴」
マーガレットは二人の娘の名前である。スノーとリアンスは先に、二人に出産祝いを渡した。
そして、導かれるままマーガレットの顔を見た。眠っているが、黒髪のせいか、肌が透き通るように白く、瞳の色は寝ているので、分からなかった。
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