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養子2
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「本人には呼ばないわよ!お父様は知らないでしょうけど、リアンス様って、なかなか会えないけど、婚約者がいないから、一番人気なのよ?だからお父様、騙されているのよ、おっかしい。私ならあり得ることだけど」
得意気な顔をして、オールを見たが、さらに厳しい顔つきとなっていた。
「冗談ではない、既に婚約されたんだ。これからは姉ではあるが、ランドマーク侯爵家の方だと思って接しなさい、分かったな?」
「は?本当なの?」
「そうだと言っているだろう!」
最初からそう言っているのに、なぜこんなに理解力がないのか。子どもの頃は仕方ないと思っていたが、今も話をするだけでも一苦労となっていた。
これが学力にも繋がっているとも言える。
「どうしてお姉様とリアンス様が…は?おかしいんじゃないの!何よ、お姉様だけずるいじゃない」
「何がずるい?」
「私もランドマーク侯爵家の人間になれば、公爵家に嫁げるのでしょう?」
レピアは公爵家に嫁げるならば、侯爵家の養子になればいいじゃない。どうしてお姉様だけなのかと、怒りで一杯になっていた。
「そうじゃない、逆だ。公爵家に嫁ぐために、養子になったんだ」
「え?」
「公爵家から縁談を申し込まれたからだ」
「私にではなくて?」
「なぜそうなる…」
オールは話していて、どうして自分だと思えるのかと呆れたが、ローザ公爵に『レピアの方ではいかがでしょうか』と言ったことは、なかったことにしている。
「だって、私の方が若いじゃない」
「レピアではない、間違いなくスノーに申し込まれたことだ。二人に妹だからと関わって、迷惑を掛けるんじゃないぞ?」
「どうして?」
「公爵家まで敵に回したいのか?そうなったら、もういい縁談など絶対にない」
「今でもないじゃない!」
一度もレピアには縁談はなかったが、公にはなっていないとはいえ、エンゲート侯爵家とクレマス伯爵家の周りには敬遠されている。
レピアはまともな令息に相手にして貰えないので、両親も縁談の申し込みはないのか、早く婚約者が欲しいと再三言われている。
とは言っても、背が高く、見た目が良く、お金持ちで、伯爵家に相応しい相手でなければ嫌だと言い出す。縁談を申し込むにもレピアが言う相手は皆、婚約者がおり、申し込む以前の問題であった。
「レピアが問題を起こしたからだろう」
「だって、好意を持たれていると思ったんだもの」
一度、転びそうになったところを手を貸して貰っただけである。それをレピアは恩を感じて、付き纏い、嫌われてしまっただけであった。
どう考えたら、好意を持たれていると思えたのか、家族は勿論、エンゲート侯爵家とクレマス伯爵家の方々も、不思議でならなかった。
「レピアはまずは勉強を頑張りなさい。今でもギリギリなんだ」
「何とか、退学になっていないわ」
「卒業することが第一だ」
「じゃあ、お姉様にリアンス様の知り合いを、紹介するように言って!それならいいでしょう?」
公爵令息の相手なら、きっと私に相応しい人がいると思っている。
そしてその相手が、自分を気に入ると信じている。なぜここまで自信を持っているのか、誰も理解が出来ない。
学力が低いから、皆とは考え方が違うのだろうと思うしかなかった。
面倒なところのある子だったが、エンゲート侯爵家のこともあり、そう思わないと、家族もレピアとまともに付き合えそうになかったからである。
「そんなこと出来るわけないだろう!絶対そんなことを言うんじゃないぞ」
「そのくらいいいじゃない」
「修道院に行きたいなら、そうしなさい」
「どうしてそうなるのよ!修道院なんて絶対に行かないわ」
「ではきちんとしなさい、もう後はないんだぞ?」
「は~い」
頼りない返事ではあったが、本当にレピアには後がない状態である。
得意気な顔をして、オールを見たが、さらに厳しい顔つきとなっていた。
「冗談ではない、既に婚約されたんだ。これからは姉ではあるが、ランドマーク侯爵家の方だと思って接しなさい、分かったな?」
「は?本当なの?」
「そうだと言っているだろう!」
最初からそう言っているのに、なぜこんなに理解力がないのか。子どもの頃は仕方ないと思っていたが、今も話をするだけでも一苦労となっていた。
これが学力にも繋がっているとも言える。
「どうしてお姉様とリアンス様が…は?おかしいんじゃないの!何よ、お姉様だけずるいじゃない」
「何がずるい?」
「私もランドマーク侯爵家の人間になれば、公爵家に嫁げるのでしょう?」
レピアは公爵家に嫁げるならば、侯爵家の養子になればいいじゃない。どうしてお姉様だけなのかと、怒りで一杯になっていた。
「そうじゃない、逆だ。公爵家に嫁ぐために、養子になったんだ」
「え?」
「公爵家から縁談を申し込まれたからだ」
「私にではなくて?」
「なぜそうなる…」
オールは話していて、どうして自分だと思えるのかと呆れたが、ローザ公爵に『レピアの方ではいかがでしょうか』と言ったことは、なかったことにしている。
「だって、私の方が若いじゃない」
「レピアではない、間違いなくスノーに申し込まれたことだ。二人に妹だからと関わって、迷惑を掛けるんじゃないぞ?」
「どうして?」
「公爵家まで敵に回したいのか?そうなったら、もういい縁談など絶対にない」
「今でもないじゃない!」
一度もレピアには縁談はなかったが、公にはなっていないとはいえ、エンゲート侯爵家とクレマス伯爵家の周りには敬遠されている。
レピアはまともな令息に相手にして貰えないので、両親も縁談の申し込みはないのか、早く婚約者が欲しいと再三言われている。
とは言っても、背が高く、見た目が良く、お金持ちで、伯爵家に相応しい相手でなければ嫌だと言い出す。縁談を申し込むにもレピアが言う相手は皆、婚約者がおり、申し込む以前の問題であった。
「レピアが問題を起こしたからだろう」
「だって、好意を持たれていると思ったんだもの」
一度、転びそうになったところを手を貸して貰っただけである。それをレピアは恩を感じて、付き纏い、嫌われてしまっただけであった。
どう考えたら、好意を持たれていると思えたのか、家族は勿論、エンゲート侯爵家とクレマス伯爵家の方々も、不思議でならなかった。
「レピアはまずは勉強を頑張りなさい。今でもギリギリなんだ」
「何とか、退学になっていないわ」
「卒業することが第一だ」
「じゃあ、お姉様にリアンス様の知り合いを、紹介するように言って!それならいいでしょう?」
公爵令息の相手なら、きっと私に相応しい人がいると思っている。
そしてその相手が、自分を気に入ると信じている。なぜここまで自信を持っているのか、誰も理解が出来ない。
学力が低いから、皆とは考え方が違うのだろうと思うしかなかった。
面倒なところのある子だったが、エンゲート侯爵家のこともあり、そう思わないと、家族もレピアとまともに付き合えそうになかったからである。
「そんなこと出来るわけないだろう!絶対そんなことを言うんじゃないぞ」
「そのくらいいいじゃない」
「修道院に行きたいなら、そうしなさい」
「どうしてそうなるのよ!修道院なんて絶対に行かないわ」
「ではきちんとしなさい、もう後はないんだぞ?」
「は~い」
頼りない返事ではあったが、本当にレピアには後がない状態である。
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