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覚悟3
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「スノーはリリー夫人がリジーナ元側妃に、托卵を匂わせる発言をしたのを聞いている。しかも、その後に置き去りにされたんだ」
「それは、関わりたくないのも無理もないな」
「もし、その時にスノーが証言したとしても、信じて貰えたかも分からない」
「そうだな…」
8歳の伯爵家の子どもが聞いたと話しても、説得力はなかっただろう。
「そして、置き去りはトイズいや、トイズの使用人が行ったことだった」
「っな、トイズが?なぜ?トイズはそのようなことをするような男ではない」
トイズは優しく、一歩下がるような男だった。
オブレオは世代が違うから知らないかもしれないが、他の者が悪事を働いても納得するだろうが、トイズはそのような男ではない。
「正確には狙ったのは、スノーではなく、メリーアンだった。だが、御者のミスで、トイズと同じブロンドで、メリーアンと同じ水色のドレスを着たスノーが間違われて、置き去りにされたんだ」
「なるほど…置き去りにして、トイズが助けたことにして、メリーアンと親子鑑定をして、送り届けるつもりだったのか…」
それならば、人知れず調べることが出来る。
「そうだ、トイズはもう病に侵されていた時期だ」
「そうか…最期に」
ハッキリさせてから、逝こうとしていたのか。そのような精神状態であれば、いつものトイズではなかったのだろう。
「だがスノーが間違われたことで、トイズはこれが運命だったのだと、親子鑑定はしないまま、亡くなった」
「調べた可能性はないのですか」
「これはスノーを送り届けてくれたカーラという女性が、告白の手紙をスノーに残しており、調べていないと書かれていた。正直、スノーが覚えている以上、メリーアンだったとしても、覚えていた可能性もあるがな…」
親子鑑定は現在もであるが、血を使い、専用の用紙に垂らして行う。メリーアンはスノーと違って、誰かに話したかもしれない。
「なぜその女性は何も言わなかった?」
「カーラも5年前に亡くなっており、メリーアンとダリアの結婚のことは知らない」
「ああ…」
「初めから二人が婚約していたら、カーラは止めていたでしょう」
「そうですね…申し訳ありません」
リアンスはまさか自分の婚約も関わっているとは思わなかった。
カーラが生きていたら、二人の結婚はまずは調べてからと、どうにかして止めていただろう。生きている頃には既に二人は思い合っていたが、内々で考えられたことで、カーラが知ることは出来なかった。
だからこそ、念のために残しはしたが、絶対ではなかった。
「誰も疑ってもいないのか?」
「分からない、下手に動いて、取り返しのつかない事になっても困るだろう?」
「そうだな…ユーフレット侯爵に言えば、調べるだろうな。私でもそうするはずだ」
どうするかは別にしても、調べるだろう。だが親しいとは言い難い、ユーフレット侯爵の気持ちは分からない。
「リリーとの結婚の経緯を知っているか?」
「気持ちは分かりませんが、家としては船便のためだったはずです」
「伯爵家が持ちかけたのか?」
「そうです、それで伯爵家も資産家ですから、結ばれたと聞いています」
オブレオは実家を恨んでいる可能性は、あるなと思った。事業のために船便を持つ、ユーフレット侯爵家に縁談を申し込んだのだろう。
リリーには馴染めず、馬鹿にされていたのかもしれない。
「我々以外には話していないのか?」
「ここにいる者以外、知らない」
「そう、ですか。子どもが生まれるまで、待ちますか…」
「ただ、リリーがどう出るのかが読めません」
「リアンス、様子を伺うことは出来るか?」
「とは言っても、どうすることも出来ませんよ」
監視と言ってもずっと一緒にいることは出来ない、聞き出すにしても、どこまで聞いていいか分からない。
「それは、関わりたくないのも無理もないな」
「もし、その時にスノーが証言したとしても、信じて貰えたかも分からない」
「そうだな…」
8歳の伯爵家の子どもが聞いたと話しても、説得力はなかっただろう。
「そして、置き去りはトイズいや、トイズの使用人が行ったことだった」
「っな、トイズが?なぜ?トイズはそのようなことをするような男ではない」
トイズは優しく、一歩下がるような男だった。
オブレオは世代が違うから知らないかもしれないが、他の者が悪事を働いても納得するだろうが、トイズはそのような男ではない。
「正確には狙ったのは、スノーではなく、メリーアンだった。だが、御者のミスで、トイズと同じブロンドで、メリーアンと同じ水色のドレスを着たスノーが間違われて、置き去りにされたんだ」
「なるほど…置き去りにして、トイズが助けたことにして、メリーアンと親子鑑定をして、送り届けるつもりだったのか…」
それならば、人知れず調べることが出来る。
「そうだ、トイズはもう病に侵されていた時期だ」
「そうか…最期に」
ハッキリさせてから、逝こうとしていたのか。そのような精神状態であれば、いつものトイズではなかったのだろう。
「だがスノーが間違われたことで、トイズはこれが運命だったのだと、親子鑑定はしないまま、亡くなった」
「調べた可能性はないのですか」
「これはスノーを送り届けてくれたカーラという女性が、告白の手紙をスノーに残しており、調べていないと書かれていた。正直、スノーが覚えている以上、メリーアンだったとしても、覚えていた可能性もあるがな…」
親子鑑定は現在もであるが、血を使い、専用の用紙に垂らして行う。メリーアンはスノーと違って、誰かに話したかもしれない。
「なぜその女性は何も言わなかった?」
「カーラも5年前に亡くなっており、メリーアンとダリアの結婚のことは知らない」
「ああ…」
「初めから二人が婚約していたら、カーラは止めていたでしょう」
「そうですね…申し訳ありません」
リアンスはまさか自分の婚約も関わっているとは思わなかった。
カーラが生きていたら、二人の結婚はまずは調べてからと、どうにかして止めていただろう。生きている頃には既に二人は思い合っていたが、内々で考えられたことで、カーラが知ることは出来なかった。
だからこそ、念のために残しはしたが、絶対ではなかった。
「誰も疑ってもいないのか?」
「分からない、下手に動いて、取り返しのつかない事になっても困るだろう?」
「そうだな…ユーフレット侯爵に言えば、調べるだろうな。私でもそうするはずだ」
どうするかは別にしても、調べるだろう。だが親しいとは言い難い、ユーフレット侯爵の気持ちは分からない。
「リリーとの結婚の経緯を知っているか?」
「気持ちは分かりませんが、家としては船便のためだったはずです」
「伯爵家が持ちかけたのか?」
「そうです、それで伯爵家も資産家ですから、結ばれたと聞いています」
オブレオは実家を恨んでいる可能性は、あるなと思った。事業のために船便を持つ、ユーフレット侯爵家に縁談を申し込んだのだろう。
リリーには馴染めず、馬鹿にされていたのかもしれない。
「我々以外には話していないのか?」
「ここにいる者以外、知らない」
「そう、ですか。子どもが生まれるまで、待ちますか…」
「ただ、リリーがどう出るのかが読めません」
「リアンス、様子を伺うことは出来るか?」
「とは言っても、どうすることも出来ませんよ」
監視と言ってもずっと一緒にいることは出来ない、聞き出すにしても、どこまで聞いていいか分からない。
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