44 / 154
覚悟1
しおりを挟む
「それはそうだな、でもスノーはいいのか?」
「公爵家は今でも嫌ですけど、覚悟というなら、彼にも覚悟をして貰わないとなりません」
「そうか、ならここに呼ぶといい」
「ええ、それがいいわね。あなたも心強いでしょう?」
「はい、ありがとうございます」
初めてスノーからリアンスを、ランドマーク侯爵家に誘った。そして、オブレオが父親であるローザ公爵を一緒に来て欲しいと手紙を出していた。
そして、ランドマーク侯爵家にやって来たリアンスと、バークス・ローザ。3人で出迎えたが、リアンスはスノーの姿に驚いた。
「スノー嬢、髪が…染めたのか?」
ダークブロンドだった髪色からブロンドになって、初めて会う日であった。
「いいえ、これが地毛なのです」
「地毛?染めていたのか?だが、私が見た時には既に」
「はい、事情があって染めていました。それも含めて話をしたいと思い、お呼びしました」
スノーはバークスとリアンスに向かって、深々と頭を下げた。
「私も呼ばれたと言うことは、婚約のことかな?」
「そうでもありますが、その前に話をしたいことがございます。そして、ローザ公爵令息様は、私とまだ婚約したいですか?」
「ああ、勿論だ」
「では、一緒に背負っていただきたいことがあります。でも違う道を選ぶという権利もありますから、心配なさらないでください」
「背負う?」
オブレオはバークスを見つめて、小さく頷いた。
爵位は公爵の方が上だが、世代が違うため、オブレオの方が敬われる立場である。
そして、5人は応接室に移動した。
「私は8歳の頃に、ある茶会の帰りに置き去りにされたことがあります。ある貴族の方に助けられて、怖い思いをすることは一切ありませんでした。2日だけでしたが、両親は私がいないことを気付いてもいませんでした」
「っな、それでこちらにということか?」
「はい、概ねそうです。それで両親は私に負い目があります」
「そうだったのか…納得した」
「これがあなたが知りたかった、ランドマーク侯爵家にいた理由です」
スノーはリアンスの気にしていた答えは話したが、続きはどこから話をしようかと、考えていた。
「なぜ置き去りにされるようなことになったのか、聞いてもいいかい?」
口を挟んだのはバークスであったが、オブレオが答えた。
「スノー、私が話そうか?」
「規模が大きくなり過ぎてしまい、どこから話せばいいかと思っておりました。お任せしてもいいですか?」
「ああ、二人もそれでいいかな?置き去りのことはいずれ、話に出て来るから待ってくれるかい?」
「はい」「はい、お願いします」
オブレオは外交を任されるほどの人物であり、スノーよりも話上手である。
「私たちは今、どうすればいいか分からないことを抱えている。今でも答えが出ていない。それを頭に入れて聞いて欲しい」
オブレオは名前は出さずに、スノーに起きたこと、そこから媚薬を使って襲われて、兄と妹で結婚しているかもしれないことを話した。
「オブレオ殿が口にすると言うことは、証拠があるのだな?」
「ああ、間違っていたら、繋がるはずのない事柄が起きているからな」
「髪色も見付からないためだったのか」
「私が念のために提案しましたの」
リアンスの問いには、アンリが答えた。
「無理もないことだ。だが、疑惑でも調べるべきじゃないか。きょうだいの結婚は認められていない」
「ああ、だが事情があって、兄妹ではないかもしれない」
「それでも、早く明らかにすべきです」
バークスは強い言葉で言ったが、3人は少しずつ事実を知っていったために、要約した事柄にこれが普通の反応なのだろうと思っていた。
「誰なのか聞く気があるかい?」
「私たちに関わる方なのですか?」
「ローザ公爵家もランドマーク侯爵家、レリリス伯爵家も関係はない」
「ならば!」
「オスレ伯爵家、ユーフレット侯爵家と言えばいいかな?」
リアンスは目を見開き、言葉が出て来なかった。
「公爵家は今でも嫌ですけど、覚悟というなら、彼にも覚悟をして貰わないとなりません」
「そうか、ならここに呼ぶといい」
「ええ、それがいいわね。あなたも心強いでしょう?」
「はい、ありがとうございます」
初めてスノーからリアンスを、ランドマーク侯爵家に誘った。そして、オブレオが父親であるローザ公爵を一緒に来て欲しいと手紙を出していた。
そして、ランドマーク侯爵家にやって来たリアンスと、バークス・ローザ。3人で出迎えたが、リアンスはスノーの姿に驚いた。
「スノー嬢、髪が…染めたのか?」
ダークブロンドだった髪色からブロンドになって、初めて会う日であった。
「いいえ、これが地毛なのです」
「地毛?染めていたのか?だが、私が見た時には既に」
「はい、事情があって染めていました。それも含めて話をしたいと思い、お呼びしました」
スノーはバークスとリアンスに向かって、深々と頭を下げた。
「私も呼ばれたと言うことは、婚約のことかな?」
「そうでもありますが、その前に話をしたいことがございます。そして、ローザ公爵令息様は、私とまだ婚約したいですか?」
「ああ、勿論だ」
「では、一緒に背負っていただきたいことがあります。でも違う道を選ぶという権利もありますから、心配なさらないでください」
「背負う?」
オブレオはバークスを見つめて、小さく頷いた。
爵位は公爵の方が上だが、世代が違うため、オブレオの方が敬われる立場である。
そして、5人は応接室に移動した。
「私は8歳の頃に、ある茶会の帰りに置き去りにされたことがあります。ある貴族の方に助けられて、怖い思いをすることは一切ありませんでした。2日だけでしたが、両親は私がいないことを気付いてもいませんでした」
「っな、それでこちらにということか?」
「はい、概ねそうです。それで両親は私に負い目があります」
「そうだったのか…納得した」
「これがあなたが知りたかった、ランドマーク侯爵家にいた理由です」
スノーはリアンスの気にしていた答えは話したが、続きはどこから話をしようかと、考えていた。
「なぜ置き去りにされるようなことになったのか、聞いてもいいかい?」
口を挟んだのはバークスであったが、オブレオが答えた。
「スノー、私が話そうか?」
「規模が大きくなり過ぎてしまい、どこから話せばいいかと思っておりました。お任せしてもいいですか?」
「ああ、二人もそれでいいかな?置き去りのことはいずれ、話に出て来るから待ってくれるかい?」
「はい」「はい、お願いします」
オブレオは外交を任されるほどの人物であり、スノーよりも話上手である。
「私たちは今、どうすればいいか分からないことを抱えている。今でも答えが出ていない。それを頭に入れて聞いて欲しい」
オブレオは名前は出さずに、スノーに起きたこと、そこから媚薬を使って襲われて、兄と妹で結婚しているかもしれないことを話した。
「オブレオ殿が口にすると言うことは、証拠があるのだな?」
「ああ、間違っていたら、繋がるはずのない事柄が起きているからな」
「髪色も見付からないためだったのか」
「私が念のために提案しましたの」
リアンスの問いには、アンリが答えた。
「無理もないことだ。だが、疑惑でも調べるべきじゃないか。きょうだいの結婚は認められていない」
「ああ、だが事情があって、兄妹ではないかもしれない」
「それでも、早く明らかにすべきです」
バークスは強い言葉で言ったが、3人は少しずつ事実を知っていったために、要約した事柄にこれが普通の反応なのだろうと思っていた。
「誰なのか聞く気があるかい?」
「私たちに関わる方なのですか?」
「ローザ公爵家もランドマーク侯爵家、レリリス伯爵家も関係はない」
「ならば!」
「オスレ伯爵家、ユーフレット侯爵家と言えばいいかな?」
リアンスは目を見開き、言葉が出て来なかった。
1,784
お気に入りに追加
2,837
あなたにおすすめの小説
強い祝福が原因だった
棗
恋愛
大魔法使いと呼ばれる父と前公爵夫人である母の不貞により生まれた令嬢エイレーネー。
父を憎む義父や義父に同調する使用人達から冷遇されながらも、エイレーネーにしか姿が見えないうさぎのイヴのお陰で孤独にはならずに済んでいた。
大魔法使いを王国に留めておきたい王家の思惑により、王弟を父に持つソレイユ公爵家の公子ラウルと婚約関係にある。しかし、彼が愛情に満ち、優しく笑い合うのは義父の娘ガブリエルで。
愛される未来がないのなら、全てを捨てて実父の許へ行くと決意した。
※「殿下が好きなのは私だった」と同じ世界観となりますが此方の話を読まなくても大丈夫です。
※なろうさんにも公開しています。
【完結】大好き、と告白するのはこれを最後にします!
高瀬船
恋愛
侯爵家の嫡男、レオン・アルファストと伯爵家のミュラー・ハドソンは建国から続く由緒ある家柄である。
7歳年上のレオンが大好きで、ミュラーは幼い頃から彼にべったり。ことある事に大好き!と伝え、少女へと成長してからも顔を合わせる度に結婚して!ともはや挨拶のように熱烈に求婚していた。
だけど、いつもいつもレオンはありがとう、と言うだけで承諾も拒絶もしない。
成人を控えたある日、ミュラーはこれを最後の告白にしよう、と決心しいつものようにはぐらかされたら大人しく彼を諦めよう、と決めていた。
そして、彼を諦め真剣に結婚相手を探そうと夜会に行った事をレオンに知られたミュラーは初めて彼の重いほどの愛情を知る
【お互い、モブとの絡み発生します、苦手な方はご遠慮下さい】
貴妃エレーナ
無味無臭(不定期更新)
恋愛
「君は、私のことを恨んでいるか?」
後宮で暮らして数十年の月日が流れたある日のこと。国王ローレンスから突然そう聞かれた貴妃エレーナは戸惑ったように答えた。
「急に、どうされたのですか?」
「…分かるだろう、はぐらかさないでくれ。」
「恨んでなどいませんよ。あれは遠い昔のことですから。」
そう言われて、私は今まで蓋をしていた記憶を辿った。
どうやら彼は、若かりし頃に私とあの人の仲を引き裂いてしまったことを今も悔やんでいるらしい。
けれど、もう安心してほしい。
私は既に、今世ではあの人と縁がなかったんだと諦めている。
だから…
「陛下…!大変です、内乱が…」
え…?
ーーーーーーーーーーーーー
ここは、どこ?
さっきまで内乱が…
「エレーナ?」
陛下…?
でも若いわ。
バッと自分の顔を触る。
するとそこにはハリもあってモチモチとした、まるで若い頃の私の肌があった。
懐かしい空間と若い肌…まさか私、昔の時代に戻ったの?!
麗しの王子殿下は今日も私を睨みつける。
スズキアカネ
恋愛
「王子殿下の運命の相手を占いで決めるそうだから、レオーネ、あなたが選ばれるかもしれないわよ」
伯母の一声で連れて行かれた王宮広場にはたくさんの若い女の子たちで溢れかえっていた。
そしてバルコニーに立つのは麗しい王子様。
──あの、王子様……何故睨むんですか?
人違いに決まってるからそんなに怒らないでよぉ!
◇◆◇
無断転載・転用禁止。
Do not repost.
裏切りの先にあるもの
マツユキ
恋愛
侯爵令嬢のセシルには幼い頃に王家が決めた婚約者がいた。
結婚式の日取りも決まり数か月後の挙式を楽しみにしていたセシル。ある日姉の部屋を訪ねると婚約者であるはずの人が姉と口づけをかわしている所に遭遇する。傷つくセシルだったが新たな出会いがセシルを幸せへと導いていく。
【完結】あなたを忘れたい
やまぐちこはる
恋愛
子爵令嬢ナミリアは愛し合う婚約者ディルーストと結婚する日を待ち侘びていた。
そんな時、不幸が訪れる。
■□■
【毎日更新】毎日8時と18時更新です。
【完結保証】最終話まで書き終えています。
最後までお付き合い頂けたらうれしいです(_ _)
いくら時が戻っても
ちくわぶ(まるどらむぎ)
恋愛
大切な書類を忘れ家に取りに帰ったセディク。
庭では妻フェリシアが友人二人とお茶会をしていた。
思ってもいなかった妻の言葉を聞いた時、セディクは―――
短編予定。
救いなし予定。
ひたすらムカつくかもしれません。
嫌いな方は避けてください。
※この作品は小説家になろうさんでも公開しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる