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調査結果
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その日はお開きになってしまったが、意図は分からなかったが、他家に忍び込むなど問題だと思い、スノーは自分の言ったことに後悔はなかった。
リアンスは地味な公爵家の馬車を使ってくれたが、寮まで送って貰うと目立つので、迎えにも来た馬車停まで送って貰うことになった。
「何もないといいのですが」
「本当に入れ替わっていたとしたら、いつからなのか、何が目的なのか。コリーという侍女もどこへ行ったのか」
「心配ですね」
調査の結果、偽コリーは双子の妹・アリーであった。親でもじっくり見なければ分からないほど、二人はそっくりだった。
二人は男爵家の令嬢で、姉妹であることは書かれていたが、わざわざ双子と書くことはなく、コリーもわざわざ双子だと話す必要もないため、言うことはなかった。
アリーも子爵家で侍女をしていたが、侯爵家に雇われたコリーをずっと羨ましく思っていた。
元々上昇志向の強い質で、高位貴族の侍女になれば、高位貴族の目に留まるかもしれないという野望を持っており、高位貴族家の面接も受けたが、野心を見抜かれたのか、合格は出来なかった。
押しに弱いコリーに侯爵家の侍女の仕事を見てみたいと頼んで、1日だけという約束で、二人は入れ替わったが、誰も気付かなった。
侍女と言っても、マイラはメリーアンが子どもの頃から付いている侍女であるため、補助という立場であることも有利に運んだ。
二人は通いの侍女で、男爵家所有のタウンハウスに一緒に住んでいた。
「メリーアン様が嫁がれる伯爵家に、一緒に行けることになったの!」
「はあ?馬鹿じゃないの、すぐに断んなさい」
また入れ替わろうと思っていた、アリーはふざけるなと思った。
「嫌よ!こんなに光栄なことないのよ」
「はあ?侯爵家の方がいいに決まっているでしょう。いい?断るのよ」
そう言ったが、コリーが断ることはなかった。
「まだ断っていないの?」
「断らないって言っているでしょう?」
「私が成りすまして言ってもいいのよ?」
「誰に付くっていうの?」
「は?」
「侯爵家に残ったら、良ければ奥様に付けるかもしれないけど、他にお嬢様もいないのよ?」
「それはそうかもしれないけど」
メリーアンがいなくなれば、付く相手が変わることを考えてもいなかった。
そのまま価値がないと諦めてくれれば良かったのだが、ダリアとメリーアンの結婚式をこっそり見に行くと、高位貴族の令息が沢山おり、目の色を変えた。
これで終わりにするからと、嫁いでからも、また二人は入れ替わった。結婚後ということもあり、お祝いに来る人も多く、コリーであるために控えめにしながらも、声を掛けてくれるのではないかと、ワクワクしていた。
だが、侍女に声を掛けるような軟派な令息はおらず、もっと時間が必要だと考え、コリーに当面入れ替わって貰おうと思った。
「当分入れ替わって欲しいの」
「いい加減にして!アリーは何がしたいの?」
「学びたいって言っているでしょう!」
「もう無理よ、こんなことをしていたらバレてしまうわ」
「でも私が入れ替わっていたって告げ口したら、クビになるわよ?いいの?」
仕事を手放すのが嫌だったコリーは、渋々従うしかなかった。そうして、二人は時折入れ替わっており、スノーが気付くまで、メリーアンもダリアも、一番一緒にいたマイラさえも気付かなかった。
アリーはコリーを真似るのは得意だった。
コリーは得意ではなかったが、子爵家ではメイドに近いことをしており、アリーは気分の落差が激しいので、バレることはなかった。
ユーフレット侯爵家が子爵家でコリーを見付け、拘束されたアリーは、私はコリーだと言い張ったが、コリーがやって来て、罪を認めるしかなかった。
二人はスノーの言った通りに小さな黒子があった。
アリーは害する気はなかったと言い張ったが、このまま側に置いておく方が危険だったかもしれないと、スノーに感謝した。
リアンスは地味な公爵家の馬車を使ってくれたが、寮まで送って貰うと目立つので、迎えにも来た馬車停まで送って貰うことになった。
「何もないといいのですが」
「本当に入れ替わっていたとしたら、いつからなのか、何が目的なのか。コリーという侍女もどこへ行ったのか」
「心配ですね」
調査の結果、偽コリーは双子の妹・アリーであった。親でもじっくり見なければ分からないほど、二人はそっくりだった。
二人は男爵家の令嬢で、姉妹であることは書かれていたが、わざわざ双子と書くことはなく、コリーもわざわざ双子だと話す必要もないため、言うことはなかった。
アリーも子爵家で侍女をしていたが、侯爵家に雇われたコリーをずっと羨ましく思っていた。
元々上昇志向の強い質で、高位貴族の侍女になれば、高位貴族の目に留まるかもしれないという野望を持っており、高位貴族家の面接も受けたが、野心を見抜かれたのか、合格は出来なかった。
押しに弱いコリーに侯爵家の侍女の仕事を見てみたいと頼んで、1日だけという約束で、二人は入れ替わったが、誰も気付かなった。
侍女と言っても、マイラはメリーアンが子どもの頃から付いている侍女であるため、補助という立場であることも有利に運んだ。
二人は通いの侍女で、男爵家所有のタウンハウスに一緒に住んでいた。
「メリーアン様が嫁がれる伯爵家に、一緒に行けることになったの!」
「はあ?馬鹿じゃないの、すぐに断んなさい」
また入れ替わろうと思っていた、アリーはふざけるなと思った。
「嫌よ!こんなに光栄なことないのよ」
「はあ?侯爵家の方がいいに決まっているでしょう。いい?断るのよ」
そう言ったが、コリーが断ることはなかった。
「まだ断っていないの?」
「断らないって言っているでしょう?」
「私が成りすまして言ってもいいのよ?」
「誰に付くっていうの?」
「は?」
「侯爵家に残ったら、良ければ奥様に付けるかもしれないけど、他にお嬢様もいないのよ?」
「それはそうかもしれないけど」
メリーアンがいなくなれば、付く相手が変わることを考えてもいなかった。
そのまま価値がないと諦めてくれれば良かったのだが、ダリアとメリーアンの結婚式をこっそり見に行くと、高位貴族の令息が沢山おり、目の色を変えた。
これで終わりにするからと、嫁いでからも、また二人は入れ替わった。結婚後ということもあり、お祝いに来る人も多く、コリーであるために控えめにしながらも、声を掛けてくれるのではないかと、ワクワクしていた。
だが、侍女に声を掛けるような軟派な令息はおらず、もっと時間が必要だと考え、コリーに当面入れ替わって貰おうと思った。
「当分入れ替わって欲しいの」
「いい加減にして!アリーは何がしたいの?」
「学びたいって言っているでしょう!」
「もう無理よ、こんなことをしていたらバレてしまうわ」
「でも私が入れ替わっていたって告げ口したら、クビになるわよ?いいの?」
仕事を手放すのが嫌だったコリーは、渋々従うしかなかった。そうして、二人は時折入れ替わっており、スノーが気付くまで、メリーアンもダリアも、一番一緒にいたマイラさえも気付かなかった。
アリーはコリーを真似るのは得意だった。
コリーは得意ではなかったが、子爵家ではメイドに近いことをしており、アリーは気分の落差が激しいので、バレることはなかった。
ユーフレット侯爵家が子爵家でコリーを見付け、拘束されたアリーは、私はコリーだと言い張ったが、コリーがやって来て、罪を認めるしかなかった。
二人はスノーの言った通りに小さな黒子があった。
アリーは害する気はなかったと言い張ったが、このまま側に置いておく方が危険だったかもしれないと、スノーに感謝した。
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