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存在
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「嫌いでもないが、好きになりたくはない存在ではありませんか」
「令息は聡いと聞いておりましたが、心も読めるのですか?」
アンリ夫人は警戒を解き、穏やか口調で言った。
「当たりでしたか?」
「概ねそうですわね…心の内を話してもいい気がしますわね。これでも8年、スノーを見て来たのですから。血の繋がりがないのは分かっておいでよね?」
「はい」
「私は公爵令嬢として育ちました。ですから伯爵家の令嬢だと下に見ていたこともあり、きちんと言って聞かせました」
ランドマーク侯爵家に預けられた際、まだ嫡男夫妻の子どもが幼かったこともあり、前侯爵夫妻が面倒を見ることになった。
「スノーはきちんと理解して、弁えてという言葉は悪く聞こえるかもしれませんが、まさに私が思った以上に、弁えて生活をしていました」
我儘を言ったり、帰りたいと言ったり、不満を言ったりすることも一切なかった。
「勿論、教育は受けさせようと思っていたので、教師を呼び、礼儀作法やマナーは私が教えましたが、確かに覚えのいい子でした」
もしかしたら侯爵家に嫁ぐこともあるかもしれないとは言ったが、学ぶ姿勢がきちんとあったから、アンリが学ばせてやりたかったから、そのように教育をした。
勉強が無駄になることはない、そう思ったからだ。
「私がスノー嬢を初めて見たのは、ランドマーク侯爵家だったんです。あなたに何か届け物をして、すぐに去って行きましたが」
「そうでしたか…敢えて参加させなかったと思っているのでしょう?」
「違うのですか?」
「その通りです。外部の者が来るような集まりには参加させませんでした」
「ランドマーク侯爵家の人間ではないから、彼女も望まなかったからですか?ですが、今後のためにも参加させても良かったのではありませんか」
弁えていることは分かっているのだから、参加させることも出来ただろう。
「そうかもしれませんが…」
「スノー嬢は社交が苦手だと言っています。デビュタントも緊張して、すぐに帰ったと言っていました」
「そうですね」
そう言って、アンリ夫人は悲しい顔をした。その姿にリアンスは後悔しているのだと思った。
「なぜ預けられたのは、ランドマーク侯爵家だったのでしょうか?答えては貰えませんか?」
「スノーからは?」
「ランドマーク侯爵家が最適だったと」
「そうですか、その理由も確かにあります。私も詳しい経緯は話すわけにはいきませんが、レリリス伯爵家に問題があったということは伝えておきましょう」
「やはり…」
「想定内ですわよね?」
生家から別の家に預けられるとなれば、スノーに問題があるか、他の家族に問題があるかしかない。
「皆が知っているわけではないようですが、兄と妹に手が掛かるからというのが理由だと聞いていたようです」
「間違いではありません。ただ兄は熱をよく出していたようですが、重い病気ではありませんでしたし、妹と言っても二つしか変わらないのに、手が掛かるも何もないでしょう?スノーだって手が掛かるはずです」
「まさか放置されていたのですか?」
アンリ夫人は表情を変えず、何も答えなかった。答える気はないということだろう。アンリ夫人は血の繋がりがなくても、前侯爵には繋がりがあるのだから。
「妹君の方が余程、問題ですよ?」
「それは、どういうことでしょうか?」
「成績も極めて悪く、天真爛漫と言えば聞こえはいいですが、思う通り振舞い過ぎだと言われているそうです」
名前を使わせて貰っているルーナからスノーの妹・レピアが酷い、何も知らないために、同じ家で育ったのにどうしてあんなに違うのかと言っていた。
「はあ…そうですか、スノーが戻る際に久し振りに会いましたが…予感はしておりましたわ、身に付いてはいないのだろうと」
侯爵家には劣るだろうが、伯爵家でもそれなりの教育は必要だったはずだ。
「令息は聡いと聞いておりましたが、心も読めるのですか?」
アンリ夫人は警戒を解き、穏やか口調で言った。
「当たりでしたか?」
「概ねそうですわね…心の内を話してもいい気がしますわね。これでも8年、スノーを見て来たのですから。血の繋がりがないのは分かっておいでよね?」
「はい」
「私は公爵令嬢として育ちました。ですから伯爵家の令嬢だと下に見ていたこともあり、きちんと言って聞かせました」
ランドマーク侯爵家に預けられた際、まだ嫡男夫妻の子どもが幼かったこともあり、前侯爵夫妻が面倒を見ることになった。
「スノーはきちんと理解して、弁えてという言葉は悪く聞こえるかもしれませんが、まさに私が思った以上に、弁えて生活をしていました」
我儘を言ったり、帰りたいと言ったり、不満を言ったりすることも一切なかった。
「勿論、教育は受けさせようと思っていたので、教師を呼び、礼儀作法やマナーは私が教えましたが、確かに覚えのいい子でした」
もしかしたら侯爵家に嫁ぐこともあるかもしれないとは言ったが、学ぶ姿勢がきちんとあったから、アンリが学ばせてやりたかったから、そのように教育をした。
勉強が無駄になることはない、そう思ったからだ。
「私がスノー嬢を初めて見たのは、ランドマーク侯爵家だったんです。あなたに何か届け物をして、すぐに去って行きましたが」
「そうでしたか…敢えて参加させなかったと思っているのでしょう?」
「違うのですか?」
「その通りです。外部の者が来るような集まりには参加させませんでした」
「ランドマーク侯爵家の人間ではないから、彼女も望まなかったからですか?ですが、今後のためにも参加させても良かったのではありませんか」
弁えていることは分かっているのだから、参加させることも出来ただろう。
「そうかもしれませんが…」
「スノー嬢は社交が苦手だと言っています。デビュタントも緊張して、すぐに帰ったと言っていました」
「そうですね」
そう言って、アンリ夫人は悲しい顔をした。その姿にリアンスは後悔しているのだと思った。
「なぜ預けられたのは、ランドマーク侯爵家だったのでしょうか?答えては貰えませんか?」
「スノーからは?」
「ランドマーク侯爵家が最適だったと」
「そうですか、その理由も確かにあります。私も詳しい経緯は話すわけにはいきませんが、レリリス伯爵家に問題があったということは伝えておきましょう」
「やはり…」
「想定内ですわよね?」
生家から別の家に預けられるとなれば、スノーに問題があるか、他の家族に問題があるかしかない。
「皆が知っているわけではないようですが、兄と妹に手が掛かるからというのが理由だと聞いていたようです」
「間違いではありません。ただ兄は熱をよく出していたようですが、重い病気ではありませんでしたし、妹と言っても二つしか変わらないのに、手が掛かるも何もないでしょう?スノーだって手が掛かるはずです」
「まさか放置されていたのですか?」
アンリ夫人は表情を変えず、何も答えなかった。答える気はないということだろう。アンリ夫人は血の繋がりがなくても、前侯爵には繋がりがあるのだから。
「妹君の方が余程、問題ですよ?」
「それは、どういうことでしょうか?」
「成績も極めて悪く、天真爛漫と言えば聞こえはいいですが、思う通り振舞い過ぎだと言われているそうです」
名前を使わせて貰っているルーナからスノーの妹・レピアが酷い、何も知らないために、同じ家で育ったのにどうしてあんなに違うのかと言っていた。
「はあ…そうですか、スノーが戻る際に久し振りに会いましたが…予感はしておりましたわ、身に付いてはいないのだろうと」
侯爵家には劣るだろうが、伯爵家でもそれなりの教育は必要だったはずだ。
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