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疑いの眼差し

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 家族にもあまりに熱心に行っているので、なぜなのか問われた際に、用を足す時に音が気になるからと、いわゆる〇姫が理由だと答えている。

 トイレは一人になれる場所であるために、使用可能になったら爆発しやすい場所である。正直、お腹が弱いと思われていいので、籠りたい。

 この世界も上下水道はあるので、清潔であり、大きな邸では気になるようなことではないのだが、学園や公共の場ではということにしている。

 家族も『そ、そうか…』と何とも言えない顔で、それ以降聞いてくることはなくなった。おそらく、とんでもない音がすると思われたのか、デリケートな話と判断されたのだろう。問い詰められても困るので、問題はない。

「別に構いませんでしょう?」
「ああ、だが珍しいなと思って」
「聞かれたくない際に便利ではありませんか、ただ上手く行っておりませんがね」

 何をとは言わないが、まさかギャグなどと思うはずもない。

「ココ嬢は魔力が多いからな」
「ええ、みんなで仲良く防音する羽目になっておりますわ」
「私は是非一緒に」

 レオナルドが弾んだ声で言ったが、ココはスンとした。

「あなたの文句を言いたい際も、ございますのよ?」
「それは直接、言ってくれたらいい!私はどんなことでも受け止める」

 これが乙女ゲームなら愛されていると思うところなのだが、ココは違う。

 薄々怪しいと思っていたが、レオナルドにはM気の兆しが見られると疑いを深めていた。もしかしたら、私はご褒美を与えているのではないかと思うと、何だか腑に落ちない気持ちになる。

「レオは直接言ってやった方がいい」

 直接、言った方が喜ぶの間違いではないだろうか。

 お父様に相談した方がいいかしら?Mっぽいなんて、どんな顔で言えばいいのかしら?現世の父はとても紳士なのよ?怒り出すのかしら?それとも、理解が出来なという顔をされるのか、ありがちなそのくらいのこと目を瞑るように言われるのかしら?

 でも、いずれ『ココ~リネルだよぉ~!』って言わないといけなくならないか?ボンテージとムチを売っているところなんて知らないわよ。

 お父様に聞けばいいのかしら?

 結局、ひとまず早くスッキリさせて欲しいということで一致して、解散となった。

 その後、〇えみこと、ルビー・ブルゾンは、禁術を使ったとされて、調査対象のまま、被害者が貴族だったことから懲役20年のとなった。乙女ゲームのヒロインだったのかは分からないまま、彼女は表舞台から姿を消した。

 ルビー・ブルゾンは取調官に自分は悪くないと、ずっと訴えていた。

「私は特別な存在なの!魅了眼なんて知らないわ」
「だが、使ったんだろう?」
「使ってなどいないわ」

 ルビーは自分の魅力であると、願いが叶っただけだと信じていた。だが、拘束されて、魅了眼だと言われて、ただ驚いた。

「症状が出ても、君はおかしいと訴え出ることもなかった」
「おかしいなんて思わなかったもの」
「普通は自分の思った通りに、他者が行動するなんておかしいと思うべきだ…」

 疑うべきところを、都合よく解釈することはおかしい。何も知らないというのならば、訴え出れば良かった。

「私のために行動してくれると思うじゃない…」
「出会っても間がない相手がか?」
「そうよ!」
「ならば、母親はどうなんだ!」

 母親ではない他人を勝手に母親だと仕立て上げていることは、意図があったとしか考えられない。

「母親かと思ったのよ」
「そんなわけないだろう?彼女は子どもを産んだこともないのに」
「母親だと言ったの!」
「急に話し掛けて来て、母親ではないかと言われたと言っている」

 魅了眼は都合のいいように操られているが、その時のことも覚えている。抗うというものではなく、従うことが正しいと思っている状況だったらしい。

「だから母親だと思ったの!」
「貴族と親しくしている見目の良い彼女に目を付けただけだろう」


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本日もお読みいただきありがとうございます。

明日で最終回となります。

最後までどうぞよろしくお願いいたします。
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