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「っいや、その、だな…」
「ココ嬢!その通りだ、レオは自分も言われるのではないかと、毎日不安になっているのだ」

 もごもごしているレオナルドを押し退けて、キシリが暴露してしまっている。

「覚悟して手伝ったのでしょう?」
「それは…」
「レオはそんな覚悟していない!」

 あっさりと凄く潔く覚悟していなかったことを認め、頭の切れる、公爵令息はどこにいったのだという有様だ。レオナルドはしゅんとしてしまっている。

「言われるがまま従っただけなんだ」

 それもどうなんだ?と思うばかりで、ツッコミどころ満載ではないか。キャバクラには誘われて、付き合いで行ったんだと言い訳するタイプじゃないのか。

 この世界にはキャバクラがないので、自ずと娼館になる。キャバクラやホストクラブを作ったら儲かりそうではあるが、反感を買いそうなので、止めて置こう。

「では、今後もこのようなことになるのではありませんか?覚悟もせずに言われるがまま、手伝ったり、娼館に誘われたら、意気揚々と行くのではありませんか?」
「そんなところには行かない!ココの口から娼館などと聞きたくもない!」

 レオナルドは私を美化しているところがある。

 ゆえに公爵令息へあまり敬った態度を取っていないのも、物をハッキリ言っているのも、現実を見ろという意味を込めている。

 お前の婚約者は頭の中は芸人ギャグで、いっぱいだぞと言ってやりたい。

「行こうとしていたら、私が止める」
「解消…今のところ、訴えてはおりませんわよ?」

 思ってはいると言えば面倒なことになることは分かっているので、行動には移していないということだけ伝えることにした。

「そ、そうなのか…」

 父に話して、止められているのではないかとでも、思われていたのだろうか。

「はい…スッキリしないのは、継続していますが、レオナルド様のこともありますが、不可解なブルゾン嬢のことです」
「ココは彼女のことなんて気にしなくていい」
「レオ、気になるのは当然だろう」
「理解が出来ないので、気持ち悪いのです」
「その通りだな、早く決着するように努力する」
「ええ、それがいいですわね」

 乙女ゲームであることは分からないかもしれないが、〇えみが同じ転生者や転移者であれば、何かヒントがあるかもしれないくらいは期待している。

「そういえば、ココ嬢は、防音の魔術を取得しようと聞いているが?」
「え?」

 驚いたのは聞かされていなかったレオナルドであった。

「キシリ様、そういったことって、勝手に話していいのですか?」
「あっ、あの…いや、不味かっただろうか」
「そう言われたら、後ろめたいことがあるようではありませんか」
「す、すまない…」

 ココも魔術を使える素質はあるが、基本しか学んでいなかった。

 得意とするのは、水に関する魔術であり、攻撃としては使えるのだが、普段使いとしてはシャワーの強さ、消火器の代わりくらいにしかならなかった。

 あとは、〇臣〇吉の水攻めくらいしか思いつかなかった。あの時代に現世の私がいたら、即戦力になれたことだろうと思った。

 だが、自分の欲望のために何が必要だと考えた際に、周囲に音が漏れないこと以外になかった。理由は言わずもがなではあるが、説明することは出来ない。

 しかも、一人二役語りをして、山に登りたい、小山持ちと結婚したいと思っているように、上手くいっていない。

 防音の魔術を展開することは出来るのだが、魔力が多いせいなのか、自分一人分というのが難しく、不器用なところが影響しているのではないかと思っている。誰かを巻き込んでは、意味がない。

 そして、出来るようになったら個室に籠るか、普段使いするなら、さらに認識阻害を取得しなければならないが、今はまず調整が先決である。


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本日もお読みいただきありがとうございます。

明後日で最終回となります。

最後までどうぞよろしくお願いいたします。
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