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深刻な悩み

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 さて、婚約者の邸に着いて、お茶会の予定だったのですが、邸は騒々しい雰囲気で、目の前で何やら言いたそうにしているのが、私の婚約者です。

 名前はレオナルド・ディオルス。何か、惜しい感じ?ええ、私も前世を思い出した後で、会ったものですから、同じことを思いました。

 『カプリオ~!』と叫びたかったくらいです。

 大ファンの友人がおりましてね、猫にレオと名付けておりましたわ。ブラウンの毛並みで、長毛種のふわふわの可愛らしい雌猫で、私も『レオ様』と呼んでおりました。雌なのか?って、そうですよ?性別など、愛は凌駕するのですよ。

 話を戻しますと、レオナルドは父親が宰相で、その後を継ぐだろうと言われており、頭の切れる、公爵令息だそうです。

 他人事?他人事ですわよ、他人ですもの。

 レオナルドは最近、ある伯爵令嬢にご執心中なのです。その方がもしかしたら、主人公?ヒロイン?なのかもしれないと思っていたところです。

 ですので、彼から婚約解消を告げられるのも、時間の問題と思っておりますの。いいのかって?いいのではありませんか、親が結んだ縁談ですから、貴族たるもの、私たちの意思は関係ありませんですわ。

 ただ、伯爵令嬢がどうも男好きに見えるというか、逆ハーレムというのか、一妻多夫を狙っているようなんですの。子どもはどうするのでしょうね?

 元日本人としては、ちょっといただけませんわよね。

 不特定多数に愛されたいタイプなのでしょうか?前世も現世も、周りにそのような友人も、知り合いもいないものですから、分かりませんわね。

 乙女ゲームには確かありますのよね?結構ある?まあ、やはりそうですか、ではそういうことなのかもしれませんね。勿論、この世界でも一夫一妻制ですわよ。

 愛人は…おそらく、いる方はいる、とは言っておきますわ。

 それで、主人公&ヒロイン(仮)をよく考えてみますと、好みも、性的思考も違うはずの殿方が、一人の方を一番に慕うということは、とても魅力的な女性なのかもしれないと思ったのです。

 なぜって?だって、例えば目の大きな方が好きな方、肌の白い方が好きな方、髪がブロンドの方が好きな方、こちらであれば、まあ見た目で、たまたまということもありますわよね?

 でも頭の賢い方が好きな方、自分より頭の良くない方が好きな方。よく笑う方が好きな方、控えめな方が好きな方。相反する方が好きな方もいるでしょう?

 あとは、物理的に触らないと分からないようなこと、例えばお胸が柔らかい方がお好きな方とか、いらっしゃるでしょう?

 それかギャップですかね?普段は控えめな容姿の方が、実は脱ぐと凄いとか。逆に派手な容姿で、実は家庭的とか。そう言った部分を、全て網羅しているとすれば、凄い方なのかもしれませんでしょう?

 あっ、ドアを叩く音がしておりますわ。

「すまない、ちょっと待ってくれ」

 婚約のこと話さないので、目の前のレオナルドの世間話を、相槌だけ打っておりました。だって、婚約解消するのに、実りのある会話とは思えないでしょう?

 従者が慌てた様子でやって来て、何やら耳元でコソコソ話しております。

 そう、最近、この時間が結構多くて、非常にイライラするのです。ですので、一人二役語りも増えておりますの。

 私の悪口を言っている、私を蔑ろにしていると思って、怒っているわけではありませんよ。そこまで被害妄想は持っていませんし、構ってちゃんでもありません。

 勿論、レオナルドと従者がただならぬ関係で、私を煽っているわけでもありません。彼は謝りながら、とても申し訳なさそうにしておりますから。

 それで、私の大きな問題は何かって?

 ええ、そうですわね。言っておかなくてはなりませんね。問題は…自分でもなぜか分からないのですよ?そこは説明は出来ませんからね。

 声を張るタイプのギャグを、大きな声で言いたくなるのです。
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