95 / 131
男爵令嬢先輩
しおりを挟む
「ああ、そうなの。確か、ルスデン王国からいらっしゃったのよね?」
「…はい」
「私は二年だから、何か分からないところがあったら聞いてくださいね」
「Sクラスですか?」
「ええ」
「ここ分かりますか?」
ファミラはグルダイヤ侯爵が、留学の延長が認められた時に、3ヶ月目からAクラスに替わると言われた際に、落ちたのだと正しく理解していた。
2ヶ月もいれば、クラス割がどうなっているかくらいは分かる。
グルダイヤ侯爵は他には何も言わなかったが、アリナには試験を受けたらSクラスに残れるのではないかと話したが、心細いから一緒にAクラスに行きたいと言われて、二人で替わることになった。
ファミラにとって、オマリーはよく分からない相手ではあったが、Sクラスというのならば、聞いてみようと咄嗟に思った。
「ええ、ここは、こうして…」
オマリーは弁えていない令嬢ではあったが、上位ではないが成績優秀者であり、本来は三年生だが、二年生であることで、ファミラよりも遥かに勉強は出来た。
「なるほど、ありがとうございます」
「ええ、力になれて良かったわ」
オマリーは二人のことは留学した頃から、分かっていた。
聖女と呼ばれていることも、クラスメイトの話が聞こえて、知ってはいたが、どういうことなのか、よく分からなかった。だが、アリナが男爵令嬢だと聞いて、親近感が湧いた。
優秀だということから、きっと私と同じで選ばれた人間なのだろう。私もそれならば聖女と呼ばれてもいいのではないかとまで、思い始めていた。
留学生の三人のうちの一人、クリスティーナという令嬢には腹を立てた。
令息に馴れ馴れしくしていることも、クラスメイトの会話で知り、エルドールを追い掛けていたことも見たことがあった。それを自分のことは横に置き、なんて令嬢なのだと怒っていた。
エルドールが休んでいるというのも心配していたが、その後にクリスティーナは国に帰され、エルドールも学園に来るようになった。
自分も同じような目に遭ったにも関わらず、ざまあみろとほくそ笑んだ。
残ったアリナとファミラと同じ寮だったら良かったのにと思ったが、オマリーは両親の監視下にあるために寮には入れて貰えず、タウンハウスから通っていた。
すると、アリナとファミラも寮ではなく、グルダイヤ侯爵邸で過ごしていると知り、特別待遇なのだと思った。
エルドールと一緒にいるところは見たことがないが、聖女であることから、王家からも目を掛けられているはずだ。アリナとファミラに親しい生徒とはおらず、もしかしたら利用が出来るのではないかと考えた。
クリスティーナが帰った今、偶然を装って声を掛けたのである。
それから、アリナとファミラとオマリーは、図書室で話すようになった。
オマリーは悪意ある誰かに見られて、留年していることを吹き込まれないために、周りに細心の注意を払い、アリナとファミラと過ごしていた。
ファミラは次は絶対にいい点を取ると、熱心に勉強をしており、アリナはパレート語を勉強していたが、オマリーはまだ二年生であることから、外国語の選択はしていなかったので、教えることは出来なかった。
それでも、ファミラは勉強を教えて貰えること、アリナはオマリーと一緒で、男爵令嬢でSクラスということで、親近感も持つことになった。
親しくなってオマリーは気になっていた、聖女のことをアリナに聞くことにした。
「ルスデン王国では聖女と呼ばれていると聞いたのだけど、本当?」
「はい…でも、周りが言い出しただけで、私が言ったわけではないのですけど」
「どうして、聖女と呼ばれるようになったの?」
「アリナ嬢は、外国語がすぐに覚えられるのです」
自分のことで、言い辛そうなアリナに代わって、ファミラが答えた。
「…はい」
「私は二年だから、何か分からないところがあったら聞いてくださいね」
「Sクラスですか?」
「ええ」
「ここ分かりますか?」
ファミラはグルダイヤ侯爵が、留学の延長が認められた時に、3ヶ月目からAクラスに替わると言われた際に、落ちたのだと正しく理解していた。
2ヶ月もいれば、クラス割がどうなっているかくらいは分かる。
グルダイヤ侯爵は他には何も言わなかったが、アリナには試験を受けたらSクラスに残れるのではないかと話したが、心細いから一緒にAクラスに行きたいと言われて、二人で替わることになった。
ファミラにとって、オマリーはよく分からない相手ではあったが、Sクラスというのならば、聞いてみようと咄嗟に思った。
「ええ、ここは、こうして…」
オマリーは弁えていない令嬢ではあったが、上位ではないが成績優秀者であり、本来は三年生だが、二年生であることで、ファミラよりも遥かに勉強は出来た。
「なるほど、ありがとうございます」
「ええ、力になれて良かったわ」
オマリーは二人のことは留学した頃から、分かっていた。
聖女と呼ばれていることも、クラスメイトの話が聞こえて、知ってはいたが、どういうことなのか、よく分からなかった。だが、アリナが男爵令嬢だと聞いて、親近感が湧いた。
優秀だということから、きっと私と同じで選ばれた人間なのだろう。私もそれならば聖女と呼ばれてもいいのではないかとまで、思い始めていた。
留学生の三人のうちの一人、クリスティーナという令嬢には腹を立てた。
令息に馴れ馴れしくしていることも、クラスメイトの会話で知り、エルドールを追い掛けていたことも見たことがあった。それを自分のことは横に置き、なんて令嬢なのだと怒っていた。
エルドールが休んでいるというのも心配していたが、その後にクリスティーナは国に帰され、エルドールも学園に来るようになった。
自分も同じような目に遭ったにも関わらず、ざまあみろとほくそ笑んだ。
残ったアリナとファミラと同じ寮だったら良かったのにと思ったが、オマリーは両親の監視下にあるために寮には入れて貰えず、タウンハウスから通っていた。
すると、アリナとファミラも寮ではなく、グルダイヤ侯爵邸で過ごしていると知り、特別待遇なのだと思った。
エルドールと一緒にいるところは見たことがないが、聖女であることから、王家からも目を掛けられているはずだ。アリナとファミラに親しい生徒とはおらず、もしかしたら利用が出来るのではないかと考えた。
クリスティーナが帰った今、偶然を装って声を掛けたのである。
それから、アリナとファミラとオマリーは、図書室で話すようになった。
オマリーは悪意ある誰かに見られて、留年していることを吹き込まれないために、周りに細心の注意を払い、アリナとファミラと過ごしていた。
ファミラは次は絶対にいい点を取ると、熱心に勉強をしており、アリナはパレート語を勉強していたが、オマリーはまだ二年生であることから、外国語の選択はしていなかったので、教えることは出来なかった。
それでも、ファミラは勉強を教えて貰えること、アリナはオマリーと一緒で、男爵令嬢でSクラスということで、親近感も持つことになった。
親しくなってオマリーは気になっていた、聖女のことをアリナに聞くことにした。
「ルスデン王国では聖女と呼ばれていると聞いたのだけど、本当?」
「はい…でも、周りが言い出しただけで、私が言ったわけではないのですけど」
「どうして、聖女と呼ばれるようになったの?」
「アリナ嬢は、外国語がすぐに覚えられるのです」
自分のことで、言い辛そうなアリナに代わって、ファミラが答えた。
3,087
お気に入りに追加
6,569
あなたにおすすめの小説

初夜に前世を思い出した悪役令嬢は復讐方法を探します。
豆狸
恋愛
「すまない、間違えたんだ」
「はあ?」
初夜の床で新妻の名前を元カノ、しかも新妻の異母妹、しかも新妻と婚約破棄をする原因となった略奪者の名前と間違えた?
脳に蛆でも湧いてんじゃないですかぁ?
なろう様でも公開中です。

【完結済】自由に生きたいあなたの愛を期待するのはもうやめました
鳴宮野々花@書籍2冊発売中
恋愛
伯爵令嬢クラウディア・マクラウドは長年の婚約者であるダミアン・ウィルコックス伯爵令息のことを大切に想っていた。結婚したら彼と二人で愛のある家庭を築きたいと夢見ていた。
ところが新婚初夜、ダミアンは言った。
「俺たちはまるっきり愛のない政略結婚をしたわけだ。まぁ仕方ない。あとは割り切って互いに自由に生きようじゃないか。」
そう言って愛人らとともに自由に過ごしはじめたダミアン。激しくショックを受けるクラウディアだったが、それでもひたむきにダミアンに尽くし、少しずつでも自分に振り向いて欲しいと願っていた。
しかしそんなクラウディアの思いをことごとく裏切り、鼻で笑うダミアン。
心が折れそうなクラウディアはそんな時、王国騎士団の騎士となった友人アーネスト・グレアム侯爵令息と再会する。
初恋の相手であるクラウディアの不幸せそうな様子を見て、どうにかダミアンから奪ってでも自分の手で幸せにしたいと考えるアーネスト。
そんなアーネストと次第に親密になり自分から心が離れていくクラウディアの様子を見て、急に焦り始めたダミアンは─────
(※※夫が酷い男なので序盤の数話は暗い話ですが、アーネストが出てきてからはわりとラブコメ風です。)(※※この物語の世界は作者独自の設定です。)

【完】婚約者に、気になる子ができたと言い渡されましたがお好きにどうぞ
さこの
恋愛
私の婚約者ユリシーズ様は、お互いの事を知らないと愛は芽生えないと言った。
そもそもあなたは私のことを何にも知らないでしょうに……。
二十話ほどのお話です。
ゆる設定の完結保証(執筆済)です( .ˬ.)"
ホットランキング入りありがとうございます
2021/08/08
さよなら、皆さん。今宵、私はここを出ていきます
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【復讐の為、今夜私は偽の家族と婚約者に別れを告げる―】
私は伯爵令嬢フィーネ・アドラー。優しい両親と18歳になったら結婚する予定の婚約者がいた。しかし、幸せな生活は両親の突然の死により、もろくも崩れ去る。私の後見人になると言って城に上がり込んできた叔父夫婦とその娘。私は彼らによって全てを奪われてしまった。愛する婚約者までも。
もうこれ以上は限界だった。復讐する為、私は今夜皆に別れを告げる決意をした―。
※マークは残酷シーン有り
※(他サイトでも投稿中)

ある王国の王室の物語
朝山みどり
恋愛
平和が続くある王国の一室で婚約者破棄を宣言された少女がいた。カップを持ったまま下を向いて無言の彼女を国王夫妻、侯爵夫妻、王太子、異母妹がじっと見つめた。
顔をあげた彼女はカップを皿に置くと、レモンパイに手を伸ばすと皿に取った。
それから
「承知しました」とだけ言った。
ゆっくりレモンパイを食べるとお茶のおかわりを注ぐように侍女に合図をした。
それからバウンドケーキに手を伸ばした。
カクヨムで公開したものに手を入れたものです。

なにひとつ、まちがっていない。
いぬい たすく
恋愛
若くして王となるレジナルドは従妹でもある公爵令嬢エレノーラとの婚約を解消した。
それにかわる恋人との結婚に胸を躍らせる彼には見えなかった。
――なにもかもを間違えた。
そう後悔する自分の将来の姿が。
Q この世界の、この国の技術レベルってどのくらい?政治体制はどんな感じなの?
A 作者もそこまで考えていません。
どうぞ頭のネジを二三本緩めてからお読みください。

[完結]婚約破棄してください。そして私にもう関わらないで
みちこ
恋愛
妹ばかり溺愛する両親、妹は思い通りにならないと泣いて私の事を責める
婚約者も妹の味方、そんな私の味方になってくれる人はお兄様と伯父さんと伯母さんとお祖父様とお祖母様
私を愛してくれる人の為にももう自由になります

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる