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延長希望
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「短期留学というお話だったはずです」
「だが、2ヶ月では何も学べません」
「ノーリー嬢の試験の結果が、悪かったからですか?」
「正直、そうです。まだこちらに慣れておらず、実力が発揮出来ていないのです。ルスデン王国では二人とも優秀だったのです」
学園長はその言葉で、やはりルスデン王国とは、学力が違うのだろうと実感した。
詐称をしたならば、アリナと共に、ファミラも試験を受けなければ良かった。だが、ファミラは進んで受けたいと言ったのである。
「延長を相談するにしても、ノーリー嬢はSクラスには在籍は出来ませんよ」
「だが」
「ノーリー嬢はSクラスで、大きく下回って最下位です」
「っ」
グルダイヤ侯爵もアリナではないが、点数からそうではないかと思っていたが、事実を突きつけられると、さすがにショックを受けた。
「2ヶ月ということ、優秀だということでしたので、Sクラスに入れましたが、延長が許可されてもABクラスに移って貰うことになります」
「だが、それでは出来が悪いようではないか」
「実際、Sクラスでは出来が悪いのです。本人もさすがに自覚があるでしょうから、その方がいいのではありませんか」
「それは…」
落ちこぼれたように思うのではないかと思ったが、アリナとファミラは試験を受けて、Sクラスに入れたわけではない。
「Sクラスは許可は出来ません。ハッソ嬢の方は試験を受けるか、ノーリー嬢と一緒にABクラスに移っていただきます」
「分かった…」
グルダイヤ侯爵はアリナも聖女の実力を見せるために、試験を受ければいいと思っていた。だが、どうしても自信がないと言い、無理強いは出来ずに、ファミラだけが受けることになった。
だが、結果がもしも、ファミラと同じような物だったらと思いはしたが、慣れていないだけだろうと考えるようにした。
わざわざ試験を受けるよりも、アリナはファミラと一緒にいることから、おそらく一緒に移ると言うだろう。
アリナとファミラにはSクラスから落ちたわけではなく、留学が延長になって、クラスが変わると説明すればいいと諦めることにした。
「それで、あとどのくらい希望されますか?」
「次の試験まではどうだろうか」
次の試験は4ヶ月後となり、トータルで半年の留学を希望することにした。その頃にはきっと、本来の実力を見せることが出来るのではないかと考えた。
「では、次回は二人ともに試験を受けていただき、試験の結果が出たら、終了ということでよろしいですね?」
「ああ」
「まだ私だけの判断は出来ませんが、ルスデン王国の方は許可されているのですね?」
「許可を得ている」
ルスデン王国としても、そんな状態のまま帰されるのは不本意であることから、是非と了承を得た。
「では、こちらも相談をさせていただきます」
「よろしく頼む」
学園長は教師たちに相談し、その後で王家に相談に行くことにした。
教師たちはクリスティーナなら拒否したが、アリナの聖女ということは考えないようにすれば、延長はいいのではないかという結論になった。
ダズベルトに時間を貰い、やはりグルダイヤ侯爵が延長を申し出たことを話した。
「やはり来たか…」
「はい、ノーリー嬢の試験の結果ですら、グルダイヤ侯爵の思った結果ではなかったようです」
「それはそうだろうな…あの試験が良かったら、素晴らしいだろういう顔をしていただろう」
「おそらくそうなったことでしょう」
グルダイヤ侯爵は悪人顔ではないが、ニヤリとした顔の似合う男で、爵位が高いだけで、力はないのだが、どこか嫌味っぽさが滲み出ている。
それでもグルダイヤ侯爵家も、現当主は別として、過去には役に立つこともあったので、無碍にすることも出来ないという立ち位置である。
「だが、2ヶ月では何も学べません」
「ノーリー嬢の試験の結果が、悪かったからですか?」
「正直、そうです。まだこちらに慣れておらず、実力が発揮出来ていないのです。ルスデン王国では二人とも優秀だったのです」
学園長はその言葉で、やはりルスデン王国とは、学力が違うのだろうと実感した。
詐称をしたならば、アリナと共に、ファミラも試験を受けなければ良かった。だが、ファミラは進んで受けたいと言ったのである。
「延長を相談するにしても、ノーリー嬢はSクラスには在籍は出来ませんよ」
「だが」
「ノーリー嬢はSクラスで、大きく下回って最下位です」
「っ」
グルダイヤ侯爵もアリナではないが、点数からそうではないかと思っていたが、事実を突きつけられると、さすがにショックを受けた。
「2ヶ月ということ、優秀だということでしたので、Sクラスに入れましたが、延長が許可されてもABクラスに移って貰うことになります」
「だが、それでは出来が悪いようではないか」
「実際、Sクラスでは出来が悪いのです。本人もさすがに自覚があるでしょうから、その方がいいのではありませんか」
「それは…」
落ちこぼれたように思うのではないかと思ったが、アリナとファミラは試験を受けて、Sクラスに入れたわけではない。
「Sクラスは許可は出来ません。ハッソ嬢の方は試験を受けるか、ノーリー嬢と一緒にABクラスに移っていただきます」
「分かった…」
グルダイヤ侯爵はアリナも聖女の実力を見せるために、試験を受ければいいと思っていた。だが、どうしても自信がないと言い、無理強いは出来ずに、ファミラだけが受けることになった。
だが、結果がもしも、ファミラと同じような物だったらと思いはしたが、慣れていないだけだろうと考えるようにした。
わざわざ試験を受けるよりも、アリナはファミラと一緒にいることから、おそらく一緒に移ると言うだろう。
アリナとファミラにはSクラスから落ちたわけではなく、留学が延長になって、クラスが変わると説明すればいいと諦めることにした。
「それで、あとどのくらい希望されますか?」
「次の試験まではどうだろうか」
次の試験は4ヶ月後となり、トータルで半年の留学を希望することにした。その頃にはきっと、本来の実力を見せることが出来るのではないかと考えた。
「では、次回は二人ともに試験を受けていただき、試験の結果が出たら、終了ということでよろしいですね?」
「ああ」
「まだ私だけの判断は出来ませんが、ルスデン王国の方は許可されているのですね?」
「許可を得ている」
ルスデン王国としても、そんな状態のまま帰されるのは不本意であることから、是非と了承を得た。
「では、こちらも相談をさせていただきます」
「よろしく頼む」
学園長は教師たちに相談し、その後で王家に相談に行くことにした。
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ダズベルトに時間を貰い、やはりグルダイヤ侯爵が延長を申し出たことを話した。
「やはり来たか…」
「はい、ノーリー嬢の試験の結果ですら、グルダイヤ侯爵の思った結果ではなかったようです」
「それはそうだろうな…あの試験が良かったら、素晴らしいだろういう顔をしていただろう」
「おそらくそうなったことでしょう」
グルダイヤ侯爵は悪人顔ではないが、ニヤリとした顔の似合う男で、爵位が高いだけで、力はないのだが、どこか嫌味っぽさが滲み出ている。
それでもグルダイヤ侯爵家も、現当主は別として、過去には役に立つこともあったので、無碍にすることも出来ないという立ち位置である。
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