89 / 131
定期試験2
しおりを挟む
「担当に確認します」
外国語という選択科目で、現在5つの言語があるが、ヨルレアンは選択していないが、既に全てを履修しているので、全ての外国語の試験を受けることになっていた。
それに伴って、3年生になって試験日は2日間に変更されている。
3年生は自分の選択科目で取っている者が受け、2つまで選ぶことが出来るが、2つ選択する方が稀で、3年生に2つ選択した者はいない。
試験当日ではなく、事前に受けるようになったのは、教師の希望であった。
正確には専門分野ではないのだが、言葉に精通しているという点では、現在同世代ではヨルレアン以上の存在はいない。
だからこそ、学園長はあの聖女と呼ばれているらしいアリナ・ハッソが、贔屓目もあると思うが、ヨルレアン以上の存在だとは思えないでいた。
ただ、自己主張をすることはないが、授業は真面目て受けており、外国語は確かに習えば習う分だけ、吸収していると聞く。記憶力がいいのか、適応力が高いのか、全くの嘘というわけではないことは、分かった。
「そういえば、聖女はいかがですか?」
ようやく外国語の5つの試験が終わり、学園長と二人でお茶を飲んでいると、ヨルレアンが問い掛けた。
「ヨルレアン嬢は、信じてらっしゃるのですか?」
「その方は知らないけど、天才はいるとは思っているわ。理屈ではないことってあるでしょう?」
「それはそうですが、私は教育者として秀才を好みます」
学園長はヨルレアンが才能があったことは確かであるが、外国語などは学んだ上で理解していることを知っており、ヨルレアンはどちらかと言えば秀才だと思っているからこその言葉であった。
「彼女はどちらだと思いますか?」
「可能性があるのは天才でしょうね…記憶力がいいのかもしれません。ただ、試験は自信がないとのことで、受けないことになりました」
「そうですか」
ヨルレアンは聖女と呼ばれ、自信を持っているのかと考えていた。
「はい、今は通常の授業とパレート語を学んでおります」
パレート語を学ぶことは、優秀だと見せ付けたいグルダイヤ侯爵が言い出したことであったが、学園側も一人増えるだけなので、許可することになった。
「パレート語ですか」
「はい、ビリズ語はルスデン王国で元々学んでいたそうで、パレート語はこちらで選択しております」
「この短期間で覚えられれば、間違いなく天才でしょうね。羨ましいことだわ」
「まだ分かりませんよ」
幼い頃から解読という分野で、向き合い続けているヨルレアンに羨ましいと言わせるには、まだ早い。
「ええ、そうね」
「一人は送り返しましたが、残った二人は真面目には学んでいるようなので、そこは良かったとは思っています」
「送り返された方は、なかなかの方だったらしいですわね。殿下から聞きましたわ」
本当に小間使いをしていたエルドールは、気味の悪い令嬢で、あれが侯爵令嬢なのかと思ったと、デザールとヨルレアンに聞かせたのである。
「はい…まさかそちらが問題を起こすとは思わず、殿下にも迷惑を掛けました。どうやら、多少問題があった令嬢だったようです」
父親の驚かない様子から、元より問題があったのだろうと察していた。
「ですが、もう一人一緒に来た令嬢は熱心に勉強しておりましてね。試験も受けることになりました」
「それが本来の形ですわよね」
「はい…どうしても、聖女などと言われて、構えすぎていたのかもしれません」
ヨルレアンはその日は帰り、翌日は昨日指摘した試験問題についての確認と、通常の試験も受け、一足早く定期試験を終えた。
翌日からはファミラも含めた、学園での定期試験が始まり、無事に終了した。
そして、ファミラ・ノーリーの試験の結果が出て、担任のリバンが持って来た。
「これは?」
「私たちも少々困惑しております」
教師たちも困惑していたが、学園長も思ってもいない結果を見せられて、首を傾けるしかなかった。
外国語という選択科目で、現在5つの言語があるが、ヨルレアンは選択していないが、既に全てを履修しているので、全ての外国語の試験を受けることになっていた。
それに伴って、3年生になって試験日は2日間に変更されている。
3年生は自分の選択科目で取っている者が受け、2つまで選ぶことが出来るが、2つ選択する方が稀で、3年生に2つ選択した者はいない。
試験当日ではなく、事前に受けるようになったのは、教師の希望であった。
正確には専門分野ではないのだが、言葉に精通しているという点では、現在同世代ではヨルレアン以上の存在はいない。
だからこそ、学園長はあの聖女と呼ばれているらしいアリナ・ハッソが、贔屓目もあると思うが、ヨルレアン以上の存在だとは思えないでいた。
ただ、自己主張をすることはないが、授業は真面目て受けており、外国語は確かに習えば習う分だけ、吸収していると聞く。記憶力がいいのか、適応力が高いのか、全くの嘘というわけではないことは、分かった。
「そういえば、聖女はいかがですか?」
ようやく外国語の5つの試験が終わり、学園長と二人でお茶を飲んでいると、ヨルレアンが問い掛けた。
「ヨルレアン嬢は、信じてらっしゃるのですか?」
「その方は知らないけど、天才はいるとは思っているわ。理屈ではないことってあるでしょう?」
「それはそうですが、私は教育者として秀才を好みます」
学園長はヨルレアンが才能があったことは確かであるが、外国語などは学んだ上で理解していることを知っており、ヨルレアンはどちらかと言えば秀才だと思っているからこその言葉であった。
「彼女はどちらだと思いますか?」
「可能性があるのは天才でしょうね…記憶力がいいのかもしれません。ただ、試験は自信がないとのことで、受けないことになりました」
「そうですか」
ヨルレアンは聖女と呼ばれ、自信を持っているのかと考えていた。
「はい、今は通常の授業とパレート語を学んでおります」
パレート語を学ぶことは、優秀だと見せ付けたいグルダイヤ侯爵が言い出したことであったが、学園側も一人増えるだけなので、許可することになった。
「パレート語ですか」
「はい、ビリズ語はルスデン王国で元々学んでいたそうで、パレート語はこちらで選択しております」
「この短期間で覚えられれば、間違いなく天才でしょうね。羨ましいことだわ」
「まだ分かりませんよ」
幼い頃から解読という分野で、向き合い続けているヨルレアンに羨ましいと言わせるには、まだ早い。
「ええ、そうね」
「一人は送り返しましたが、残った二人は真面目には学んでいるようなので、そこは良かったとは思っています」
「送り返された方は、なかなかの方だったらしいですわね。殿下から聞きましたわ」
本当に小間使いをしていたエルドールは、気味の悪い令嬢で、あれが侯爵令嬢なのかと思ったと、デザールとヨルレアンに聞かせたのである。
「はい…まさかそちらが問題を起こすとは思わず、殿下にも迷惑を掛けました。どうやら、多少問題があった令嬢だったようです」
父親の驚かない様子から、元より問題があったのだろうと察していた。
「ですが、もう一人一緒に来た令嬢は熱心に勉強しておりましてね。試験も受けることになりました」
「それが本来の形ですわよね」
「はい…どうしても、聖女などと言われて、構えすぎていたのかもしれません」
ヨルレアンはその日は帰り、翌日は昨日指摘した試験問題についての確認と、通常の試験も受け、一足早く定期試験を終えた。
翌日からはファミラも含めた、学園での定期試験が始まり、無事に終了した。
そして、ファミラ・ノーリーの試験の結果が出て、担任のリバンが持って来た。
「これは?」
「私たちも少々困惑しております」
教師たちも困惑していたが、学園長も思ってもいない結果を見せられて、首を傾けるしかなかった。
3,474
お気に入りに追加
6,569
あなたにおすすめの小説

初夜に前世を思い出した悪役令嬢は復讐方法を探します。
豆狸
恋愛
「すまない、間違えたんだ」
「はあ?」
初夜の床で新妻の名前を元カノ、しかも新妻の異母妹、しかも新妻と婚約破棄をする原因となった略奪者の名前と間違えた?
脳に蛆でも湧いてんじゃないですかぁ?
なろう様でも公開中です。


【完結済】自由に生きたいあなたの愛を期待するのはもうやめました
鳴宮野々花@書籍2冊発売中
恋愛
伯爵令嬢クラウディア・マクラウドは長年の婚約者であるダミアン・ウィルコックス伯爵令息のことを大切に想っていた。結婚したら彼と二人で愛のある家庭を築きたいと夢見ていた。
ところが新婚初夜、ダミアンは言った。
「俺たちはまるっきり愛のない政略結婚をしたわけだ。まぁ仕方ない。あとは割り切って互いに自由に生きようじゃないか。」
そう言って愛人らとともに自由に過ごしはじめたダミアン。激しくショックを受けるクラウディアだったが、それでもひたむきにダミアンに尽くし、少しずつでも自分に振り向いて欲しいと願っていた。
しかしそんなクラウディアの思いをことごとく裏切り、鼻で笑うダミアン。
心が折れそうなクラウディアはそんな時、王国騎士団の騎士となった友人アーネスト・グレアム侯爵令息と再会する。
初恋の相手であるクラウディアの不幸せそうな様子を見て、どうにかダミアンから奪ってでも自分の手で幸せにしたいと考えるアーネスト。
そんなアーネストと次第に親密になり自分から心が離れていくクラウディアの様子を見て、急に焦り始めたダミアンは─────
(※※夫が酷い男なので序盤の数話は暗い話ですが、アーネストが出てきてからはわりとラブコメ風です。)(※※この物語の世界は作者独自の設定です。)

【完】婚約者に、気になる子ができたと言い渡されましたがお好きにどうぞ
さこの
恋愛
私の婚約者ユリシーズ様は、お互いの事を知らないと愛は芽生えないと言った。
そもそもあなたは私のことを何にも知らないでしょうに……。
二十話ほどのお話です。
ゆる設定の完結保証(執筆済)です( .ˬ.)"
ホットランキング入りありがとうございます
2021/08/08

〈完結〉【書籍化&コミカライズ・取り下げ予定】記憶を失ったらあなたへの恋心も消えました。
ごろごろみかん。
恋愛
婚約者には、何よりも大切にしている義妹がいる、らしい。
ある日、私は階段から転がり落ち、目が覚めた時には全てを忘れていた。
対面した婚約者は、
「お前がどうしても、というからこの婚約を結んだ。そんなことも覚えていないのか」
……とても偉そう。日記を見るに、以前の私は彼を慕っていたらしいけれど。
「階段から転げ落ちた衝撃であなたへの恋心もなくなったみたいです。ですから婚約は解消していただいて構いません。今まで無理を言って申し訳ありませんでした」
今の私はあなたを愛していません。
気弱令嬢(だった)シャーロットの逆襲が始まる。
☆タイトルコロコロ変えてすみません、これで決定、のはず。
☆商業化が決定したため取り下げ予定です(完結まで更新します)
さよなら、皆さん。今宵、私はここを出ていきます
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【復讐の為、今夜私は偽の家族と婚約者に別れを告げる―】
私は伯爵令嬢フィーネ・アドラー。優しい両親と18歳になったら結婚する予定の婚約者がいた。しかし、幸せな生活は両親の突然の死により、もろくも崩れ去る。私の後見人になると言って城に上がり込んできた叔父夫婦とその娘。私は彼らによって全てを奪われてしまった。愛する婚約者までも。
もうこれ以上は限界だった。復讐する為、私は今夜皆に別れを告げる決意をした―。
※マークは残酷シーン有り
※(他サイトでも投稿中)

理想の女性を見つけた時には、運命の人を愛人にして白い結婚を宣言していました
ぺきぺき
恋愛
王家の次男として生まれたヨーゼフには幼い頃から決められていた婚約者がいた。兄の補佐として育てられ、兄の息子が立太子した後には臣籍降下し大公になるよていだった。
このヨーゼフ、優秀な頭脳を持ち、立派な大公となることが期待されていたが、幼い頃に見た絵本のお姫様を理想の女性として探し続けているという残念なところがあった。
そしてついに貴族学園で絵本のお姫様とそっくりな令嬢に出会う。
ーーーー
若気の至りでやらかしたことに苦しめられる主人公が最後になんとか幸せになる話。
作者別作品『二人のエリーと遅れてあらわれるヒーローたち』のスピンオフになっていますが、単体でも読めます。
完結まで執筆済み。毎日四話更新で4/24に完結予定。
第一章 無計画な婚約破棄
第二章 無計画な白い結婚
第三章 無計画な告白
第四章 無計画なプロポーズ
第五章 無計画な真実の愛
エピローグ

ある王国の王室の物語
朝山みどり
恋愛
平和が続くある王国の一室で婚約者破棄を宣言された少女がいた。カップを持ったまま下を向いて無言の彼女を国王夫妻、侯爵夫妻、王太子、異母妹がじっと見つめた。
顔をあげた彼女はカップを皿に置くと、レモンパイに手を伸ばすと皿に取った。
それから
「承知しました」とだけ言った。
ゆっくりレモンパイを食べるとお茶のおかわりを注ぐように侍女に合図をした。
それからバウンドケーキに手を伸ばした。
カクヨムで公開したものに手を入れたものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる