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危機感のない侯爵令嬢
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「嬉しそうね。でも、学園もお兄様がいない方が話は早そうだし。王子が休んでいるともなれば、さすがに何かあったのだろうということになるじゃない?あらかじめ、問題のある令嬢のせいのように、手を打っておくのよ」
「メイランは策士だな~格好いいよ」
「お兄様に褒められてもね…」
そう言いながらも、メイランも悪い気はしなかった。
「だが、カイロスは大丈夫だろうか?私がいないからと標的にされたりしないか?」
「カイロス様だって、公爵令息よ?相手にしなければいいわ。リスカーダ様もいらっしゃいますからね。最悪、カイロス様も休んでしまえばいいのよ」
「それはそうだな」
翌日からエルドールは学園を休むことになった。
学園側も安全面を考えれば、その方が有難いと思うほどであった。
クリスティーナには帰国して欲しいことから、下手に反省させるために謹慎とするより、監視も兼ねて、帰国が決まるまで登校させることにした。
ルスデン王国王家、ペーラー侯爵家にクリスティーナの苦情と引き取りを要求し、連絡を待つことになった。
グルダイヤ侯爵邸に滞在はしているが、侯爵はクリスティーナの後見人にはなっておらず、なっているのはアリナのみである。
クリスティーナはすぐにお咎めがあるかと思いはしたが、特に指示もなかったことから、普通に登校し、脅しだったのかと思っていた。
さすがに3年生の階に行くことは控えたが、誤解を解かなければと、エルドールたちを探していた。
だが、エルドールを見付けることは出来ない日々を過ごしていた。
リスカーダに話し掛けるわけにもいかず、エルドールと一緒にいたカイロスに訊ねることにした。カイロスも、クラスメイトの侯爵令息であるグレオ・ロッジオと行動を共にしていた。
「あの、殿下はどちらですか?最近、お見掛けしないなと思っておりまして」
性懲りもなく、話し掛けて来たクリスティーナに、カイロスはエルドールに休んで貰って良かったなと思った。
「誤解を解きたいのです」
「何の誤解ですか?」
カイロスは誤解など、どこにもないではないか。
婚約者のジャスミンも侯爵令嬢だが、国が違えば、これが侯爵令嬢なのかと、顔を顰めたい思いであった。
「礼儀がなっていないと…王子殿下を前に緊張してしまっただけなんです」
「緊張してだとすれば、侯爵令嬢として問題ではありませんか?」
「それは我が国は、大らかですので」
「そうですか、殿下は学園を休まれております」
「まあ!何か病気ですの?」
「あなたに伝えるわけがないでしょう?」
カイロスはもし聞かれれば休んでいることを伝えることになっており、グレオに行こうと話し掛けて、クリスティーナを置いて、去って行った。
「あ…お見掛けしなかったのは、休まれていたからだったのね」
クリスティーナはご病気だなんて、お辛い思いをされているのではないか、お見舞いに行きたいと考え始めていた。
カイロスは逞しい体つきに、黒目黒髪の涼やかな顔立ちではあったが、クリスティーナの好みではなかった。
それよりも、ダズベルトではなく、オーバンに似ているのだが、見た目だけは王子らしいと言える、銀髪に銀の瞳であるエルドールが好みである上に、王子という立場も最高に魅力的に見えていた。
グルダイヤ侯爵邸に戻ると、グルダイヤ侯爵に、エルドールが病気で休まれているので、お見舞いに行きたいと申し出た。
「それは難しいですよ、王宮ですから」
正直、グルダイヤ侯爵にとって、クリスティーナはどうでもいい存在であったために、力になる気もなかった。
「でも、ずっと来られていないのよ?きっと寂しい思いをされているわ」
「婚約者でもないのですから、許可は出ませんよ」
「でも、婚約者の方も病気で休まれていると聞いたわ」
「メイランは策士だな~格好いいよ」
「お兄様に褒められてもね…」
そう言いながらも、メイランも悪い気はしなかった。
「だが、カイロスは大丈夫だろうか?私がいないからと標的にされたりしないか?」
「カイロス様だって、公爵令息よ?相手にしなければいいわ。リスカーダ様もいらっしゃいますからね。最悪、カイロス様も休んでしまえばいいのよ」
「それはそうだな」
翌日からエルドールは学園を休むことになった。
学園側も安全面を考えれば、その方が有難いと思うほどであった。
クリスティーナには帰国して欲しいことから、下手に反省させるために謹慎とするより、監視も兼ねて、帰国が決まるまで登校させることにした。
ルスデン王国王家、ペーラー侯爵家にクリスティーナの苦情と引き取りを要求し、連絡を待つことになった。
グルダイヤ侯爵邸に滞在はしているが、侯爵はクリスティーナの後見人にはなっておらず、なっているのはアリナのみである。
クリスティーナはすぐにお咎めがあるかと思いはしたが、特に指示もなかったことから、普通に登校し、脅しだったのかと思っていた。
さすがに3年生の階に行くことは控えたが、誤解を解かなければと、エルドールたちを探していた。
だが、エルドールを見付けることは出来ない日々を過ごしていた。
リスカーダに話し掛けるわけにもいかず、エルドールと一緒にいたカイロスに訊ねることにした。カイロスも、クラスメイトの侯爵令息であるグレオ・ロッジオと行動を共にしていた。
「あの、殿下はどちらですか?最近、お見掛けしないなと思っておりまして」
性懲りもなく、話し掛けて来たクリスティーナに、カイロスはエルドールに休んで貰って良かったなと思った。
「誤解を解きたいのです」
「何の誤解ですか?」
カイロスは誤解など、どこにもないではないか。
婚約者のジャスミンも侯爵令嬢だが、国が違えば、これが侯爵令嬢なのかと、顔を顰めたい思いであった。
「礼儀がなっていないと…王子殿下を前に緊張してしまっただけなんです」
「緊張してだとすれば、侯爵令嬢として問題ではありませんか?」
「それは我が国は、大らかですので」
「そうですか、殿下は学園を休まれております」
「まあ!何か病気ですの?」
「あなたに伝えるわけがないでしょう?」
カイロスはもし聞かれれば休んでいることを伝えることになっており、グレオに行こうと話し掛けて、クリスティーナを置いて、去って行った。
「あ…お見掛けしなかったのは、休まれていたからだったのね」
クリスティーナはご病気だなんて、お辛い思いをされているのではないか、お見舞いに行きたいと考え始めていた。
カイロスは逞しい体つきに、黒目黒髪の涼やかな顔立ちではあったが、クリスティーナの好みではなかった。
それよりも、ダズベルトではなく、オーバンに似ているのだが、見た目だけは王子らしいと言える、銀髪に銀の瞳であるエルドールが好みである上に、王子という立場も最高に魅力的に見えていた。
グルダイヤ侯爵邸に戻ると、グルダイヤ侯爵に、エルドールが病気で休まれているので、お見舞いに行きたいと申し出た。
「それは難しいですよ、王宮ですから」
正直、グルダイヤ侯爵にとって、クリスティーナはどうでもいい存在であったために、力になる気もなかった。
「でも、ずっと来られていないのよ?きっと寂しい思いをされているわ」
「婚約者でもないのですから、許可は出ませんよ」
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