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憤るトドック男爵夫妻
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ベクターもジュディーも娘が優秀だとオマリーのように吹聴したことはないが、褒められれば悪い気はしなかったのは事実である。
「じゃあ、どうにかしようと思わないの?」
「この国の国王陛下に言われたんだぞ?事の重大さを分かっていないのか?」
「それは、分かっているわ」
「こんなことなら入学を遅らせるべきだった…」
「っな」
「なぜ、そのようなことをしたの?成績優秀者になって、生徒会に選ばれて、調子に乗ったの?」
「そんな、違うわ」
オマリーにとって絶対に認められないことであったために、強く否定したが、ベクターとジュディーはそうだと思っていた。
「どちらにせよ、学園には通えないのだから、これからどうするか考えなさい…」
「…あ」
オマリーはタウンハウスに戻っただけで、明日からも学園には通うような気でいたが、通うことは出来ないことを、ようやく身に染みることになった。
「部屋に戻りなさい」
「でも…」
「言い訳はもういい」
オマリーはまだ何か言いたそうな顔はしたが、行きなさいと言うと、ようやくトボトボと部屋に戻って行ったが、ベクターとジュディーは大きく溜息を付いた。
「いつからあんな子になっていたのかしら…」
「調子に乗ったこともあるだろうが、そういう質だったのだろうな」
「オズラール公爵様にも、謝罪した方がいいだろうが、取り合っていただけるか」
「そうですね、でも伺うだけは伺ってみましょう」
翌日、オズラール公爵家に手紙を送ったが、オズラール公爵から邸に入る許可も下りないために、謝罪も慰謝料も結構だという返事であった。
直接は書かれてはいないが、不届き者の親を邸に入れることは、女王陛下が許可しないということだと理解した。
「そうだよな…」
「断られましたか?」
「ああ、邸に入る許可も下りないそうだ」
「そうですわよね」
簡単に会って貰えるとは、二人も考えていなかった。
「それでなくとも、オズラール公爵邸は限られた方しか入ることが出来ないと聞いている」
「当たり前ですわよ」
「承知しましたと、再度、謝罪を書いて送らせて貰おう」
「それなら、オマリーがどうするかを書いた方がいいのではないかしら?」
「そうだな、様子はどうだ?」
「不貞腐れて部屋にいるようですけど、復学するなら再度、家庭教師をお願いしなくてはいけません」
数日経ち、オマリーを呼び出して答えを聞くことにした。
弟は何も聞かないが、幼い妹はお姉ちゃんは学校は休みなのかと聞いており、休みには違いないので、そうだと答えている。
救いだったのは弟とは五つ離れているので、学園は三年間であるため、オマリーが留年しても、学園が重なることはない。
「どうするか決まったか?」
「復学するわ」
オマリーは、他の学園に通うなどあり得ないことであった。
休学となっても、復学してしまえば、成績優秀者なのだからと、戻して貰えるかもしれない。
もしも、留年となっても、学年が違えば、体の調子が悪かったと言えば、休学にさせられたことなど、どうとでもなるだろうと考えた。
「そうか、ならば家庭教師を雇うから、今度はきちんと聞くように」
「家庭教師なんて」
成績優秀者なのに、どうして家庭教師など今更、受けなくてはいけないのかと、オマリーはプライドが許さなかった。
「再度、試験を受けなくてはならないんだ。厳しい方をお願いするから、覚悟しておくように」
「家庭教師なんて要らないわ」
「ふざけるな!きちんとしていれば、こんなことになっていない!何も聞いていなかった証拠ではないか。それとも、わざとやっていたのか?」
「そうじゃないわ」
「ならば、きちんと受けなさい」
「分かったわ」
オマリーは渋々、家庭教師に再度、令嬢教育を受けることになり、学園でもオマリーは休学することが伝えられていた。
「じゃあ、どうにかしようと思わないの?」
「この国の国王陛下に言われたんだぞ?事の重大さを分かっていないのか?」
「それは、分かっているわ」
「こんなことなら入学を遅らせるべきだった…」
「っな」
「なぜ、そのようなことをしたの?成績優秀者になって、生徒会に選ばれて、調子に乗ったの?」
「そんな、違うわ」
オマリーにとって絶対に認められないことであったために、強く否定したが、ベクターとジュディーはそうだと思っていた。
「どちらにせよ、学園には通えないのだから、これからどうするか考えなさい…」
「…あ」
オマリーはタウンハウスに戻っただけで、明日からも学園には通うような気でいたが、通うことは出来ないことを、ようやく身に染みることになった。
「部屋に戻りなさい」
「でも…」
「言い訳はもういい」
オマリーはまだ何か言いたそうな顔はしたが、行きなさいと言うと、ようやくトボトボと部屋に戻って行ったが、ベクターとジュディーは大きく溜息を付いた。
「いつからあんな子になっていたのかしら…」
「調子に乗ったこともあるだろうが、そういう質だったのだろうな」
「オズラール公爵様にも、謝罪した方がいいだろうが、取り合っていただけるか」
「そうですね、でも伺うだけは伺ってみましょう」
翌日、オズラール公爵家に手紙を送ったが、オズラール公爵から邸に入る許可も下りないために、謝罪も慰謝料も結構だという返事であった。
直接は書かれてはいないが、不届き者の親を邸に入れることは、女王陛下が許可しないということだと理解した。
「そうだよな…」
「断られましたか?」
「ああ、邸に入る許可も下りないそうだ」
「そうですわよね」
簡単に会って貰えるとは、二人も考えていなかった。
「それでなくとも、オズラール公爵邸は限られた方しか入ることが出来ないと聞いている」
「当たり前ですわよ」
「承知しましたと、再度、謝罪を書いて送らせて貰おう」
「それなら、オマリーがどうするかを書いた方がいいのではないかしら?」
「そうだな、様子はどうだ?」
「不貞腐れて部屋にいるようですけど、復学するなら再度、家庭教師をお願いしなくてはいけません」
数日経ち、オマリーを呼び出して答えを聞くことにした。
弟は何も聞かないが、幼い妹はお姉ちゃんは学校は休みなのかと聞いており、休みには違いないので、そうだと答えている。
救いだったのは弟とは五つ離れているので、学園は三年間であるため、オマリーが留年しても、学園が重なることはない。
「どうするか決まったか?」
「復学するわ」
オマリーは、他の学園に通うなどあり得ないことであった。
休学となっても、復学してしまえば、成績優秀者なのだからと、戻して貰えるかもしれない。
もしも、留年となっても、学年が違えば、体の調子が悪かったと言えば、休学にさせられたことなど、どうとでもなるだろうと考えた。
「そうか、ならば家庭教師を雇うから、今度はきちんと聞くように」
「家庭教師なんて」
成績優秀者なのに、どうして家庭教師など今更、受けなくてはいけないのかと、オマリーはプライドが許さなかった。
「再度、試験を受けなくてはならないんだ。厳しい方をお願いするから、覚悟しておくように」
「家庭教師なんて要らないわ」
「ふざけるな!きちんとしていれば、こんなことになっていない!何も聞いていなかった証拠ではないか。それとも、わざとやっていたのか?」
「そうじゃないわ」
「ならば、きちんと受けなさい」
「分かったわ」
オマリーは渋々、家庭教師に再度、令嬢教育を受けることになり、学園でもオマリーは休学することが伝えられていた。
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