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愚かですこと
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オマリーが見たのは、もしかしたら、エルドールにヨルレアンが書いたオールエドリレットだったのではないか。
エルドール宛てにに古代語を書くわけにはいかず、当時を考えて、ヨルレアンはビリズ語で書いていた。
現在はコーランド王国では多くの国が使っているルエール語が使われているが、ビリズ語も現在も多くはないが、近隣の国で使われている。
当時の新聞記事などはビリズ語で書かれた物もあるが、そうでない物もある。
ヨルレアンはオマリーは優秀だと言っていたこと、20位でも成績優秀者であったことから、慣れている者ではないと読みにくいために、筆記体が読めなかったのではないかと考えた。
「どういうことだい?」
「エルドール殿下のメモの一部だけ読めれば、ヴァイオリンに似ていなくもないかと思ったのです。トドック男爵令嬢、いかがですか?」
書いてあったのがオールエドリレットであることも、自分が書いたとは言わず、問い掛けたが、オマリーは唇を噛んでいるのか、黙ったまま口を開こうとしない。
「まあ、いいわ」
ヨルレアンもオマリーの思考は理解が出来ないが、貴重な時間を割くわけにはいかず、止めを刺すことにした。
「既に事情は伝わっているでしょうけど、母にも願った方がいいかしら?」
ヨルレアンのことは逐一報告されており、ヨルレアンが直接、言わない限りはルアサーラは動かない。それがヨルレアンとの約束であるためである。
「申し訳ございません!如何なる罰でも、お受けします!どうか、お願いします」
ベクターはカラード大陸の一番の大国であるルエルフ王国、ルアサーラ女王陛下は責任感の強い、大変厳しい決断をも下すと聞いていた。
それが娘へのこととなれば、私情を挟むなという方が難しい。
男爵家などひとたまりもないことは分かっているが、私たちとオマリーは自業自得でも、まだ幼い子どもたちもいる。どうにか助かりたいと、再び膝を付いて頭を擦り付けた。
「お父様っ!」
「次はありません!指示に従ってください」
そのヨルレアンの言葉で、宰相がトドック男爵夫妻とオマリーに告げた。
「帰りに学園に寄って、荷物を取り、寮も退去するように」
「はい!」
ベクターとジュディーは、嫌よと喚くオマリーの両腕を持って、最後に頭を深く下げて退室した。
いくらオマリーが嫌だと言っても、学園は休学になっており、すぐに試験をパスして復学するにしても、留年となっており、今の一学年下と一緒の学年になる。
生徒会の一員として覚えている者もいれば、すぐに留年したのだと広まるだろう。
「ヨルレアン嬢、お疲れ様だったな」
「いえ、皆様こそお疲れ様でござました」
「いや、酷い令嬢だ。何だあれは…」
「何がしたかったのでしょうね?」
ヨルレアンはオマリーを全く知らなかったので、ちゃんと話したのはこれが初めてであり、自信過剰のおかしな男爵令嬢と判断した。
「やはり全部じゃないかしら?」
一切、口を挟まず、成り行きを見つめていたオーバンがようやく口を開いた。
「全部、ですか?」
「成績優秀者になり、生徒会の一員に選ばれて、手に入らない者が手に入ると思ってしまったのではない?」
「まあ、愚かですこと」
「ええ、その通りね」
ここにいるのは、高位貴族と王族。誰も男爵家になどなったことはない。
「ですが、私たちは高みの見物をしているように見えたことでございましょう」
「ええ、そうね…」
「男爵令嬢に生まれた方が、自由に生きていけるなんて考えないのかしら」
地位が高ければ高いほど、責任と重圧、出来ないではなく、出来て当然。皆、生まれは選べないが、知識やマナーは努力で手に入れたのに、当たり前とされる。
ヨルレアンに解読を押し付けたのも、やって当然とされた結果である。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
本日もお読みいただきありがとうございます。
今年もありがとうございました。
沢山の方にお読みいただけて、
大変嬉しく思っております。
来年も続きますので、どうぞよろしくお願いいたします。
よいお年をお迎えください。
エルドール宛てにに古代語を書くわけにはいかず、当時を考えて、ヨルレアンはビリズ語で書いていた。
現在はコーランド王国では多くの国が使っているルエール語が使われているが、ビリズ語も現在も多くはないが、近隣の国で使われている。
当時の新聞記事などはビリズ語で書かれた物もあるが、そうでない物もある。
ヨルレアンはオマリーは優秀だと言っていたこと、20位でも成績優秀者であったことから、慣れている者ではないと読みにくいために、筆記体が読めなかったのではないかと考えた。
「どういうことだい?」
「エルドール殿下のメモの一部だけ読めれば、ヴァイオリンに似ていなくもないかと思ったのです。トドック男爵令嬢、いかがですか?」
書いてあったのがオールエドリレットであることも、自分が書いたとは言わず、問い掛けたが、オマリーは唇を噛んでいるのか、黙ったまま口を開こうとしない。
「まあ、いいわ」
ヨルレアンもオマリーの思考は理解が出来ないが、貴重な時間を割くわけにはいかず、止めを刺すことにした。
「既に事情は伝わっているでしょうけど、母にも願った方がいいかしら?」
ヨルレアンのことは逐一報告されており、ヨルレアンが直接、言わない限りはルアサーラは動かない。それがヨルレアンとの約束であるためである。
「申し訳ございません!如何なる罰でも、お受けします!どうか、お願いします」
ベクターはカラード大陸の一番の大国であるルエルフ王国、ルアサーラ女王陛下は責任感の強い、大変厳しい決断をも下すと聞いていた。
それが娘へのこととなれば、私情を挟むなという方が難しい。
男爵家などひとたまりもないことは分かっているが、私たちとオマリーは自業自得でも、まだ幼い子どもたちもいる。どうにか助かりたいと、再び膝を付いて頭を擦り付けた。
「お父様っ!」
「次はありません!指示に従ってください」
そのヨルレアンの言葉で、宰相がトドック男爵夫妻とオマリーに告げた。
「帰りに学園に寄って、荷物を取り、寮も退去するように」
「はい!」
ベクターとジュディーは、嫌よと喚くオマリーの両腕を持って、最後に頭を深く下げて退室した。
いくらオマリーが嫌だと言っても、学園は休学になっており、すぐに試験をパスして復学するにしても、留年となっており、今の一学年下と一緒の学年になる。
生徒会の一員として覚えている者もいれば、すぐに留年したのだと広まるだろう。
「ヨルレアン嬢、お疲れ様だったな」
「いえ、皆様こそお疲れ様でござました」
「いや、酷い令嬢だ。何だあれは…」
「何がしたかったのでしょうね?」
ヨルレアンはオマリーを全く知らなかったので、ちゃんと話したのはこれが初めてであり、自信過剰のおかしな男爵令嬢と判断した。
「やはり全部じゃないかしら?」
一切、口を挟まず、成り行きを見つめていたオーバンがようやく口を開いた。
「全部、ですか?」
「成績優秀者になり、生徒会の一員に選ばれて、手に入らない者が手に入ると思ってしまったのではない?」
「まあ、愚かですこと」
「ええ、その通りね」
ここにいるのは、高位貴族と王族。誰も男爵家になどなったことはない。
「ですが、私たちは高みの見物をしているように見えたことでございましょう」
「ええ、そうね…」
「男爵令嬢に生まれた方が、自由に生きていけるなんて考えないのかしら」
地位が高ければ高いほど、責任と重圧、出来ないではなく、出来て当然。皆、生まれは選べないが、知識やマナーは努力で手に入れたのに、当たり前とされる。
ヨルレアンに解読を押し付けたのも、やって当然とされた結果である。
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本日もお読みいただきありがとうございます。
今年もありがとうございました。
沢山の方にお読みいただけて、
大変嬉しく思っております。
来年も続きますので、どうぞよろしくお願いいたします。
よいお年をお迎えください。
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