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不可解2
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ジュニパーはクラスも違い、生徒会室にいることは限られるために、オマリーのボディタッチのことは全く知らなかった。
相手が自分の恋人や婚約者、婚約者候補ならまだいいが、相手の婚約者の有無に関わらずということは、いくら男爵令嬢でも、貴族令嬢として相応しくない行動をしていることは間違いない。
しかも、相手が貴族令息なら、相手の爵位の方が上である可能性が高く、一番気を付けなくてはいけないところである。
Sクラスであるのに、分かっていないはずがないと考えた。
「結婚しても働く方もいるとは思いますが、王宮で働きたいというのは矛盾しているような気もします。男爵令嬢だと一般的なのかもしれませんが…」
「そうね、爵位関係なく、働く方はいらっしゃるし、否定は出来ないわね。後は…本当は働く気がないけど、そのように見せているか」
「可能性はありますね」
「まあ、一種の駆け引きとしては使えるのかもしれないわね。総じて、天秤じゃないかしら?」
「天秤ですか?」
ローズマリーは一体、何の天秤だろうかと素直に思った。
「自分に一番いい将来を…そう考えている人間は言わないだけで、沢山いると思うけど、やり方が不味いわよね。私もローズマリー嬢も注意するべきだったのかしら?いえ、爵位もあるから高圧的に見えてしまうわよね」
「はい…」
ローズマリーは既に関わりたくないと思っているが、ジュニパーは憂いを含んだ表情をした。
オマリーは気にしていないのかもしれないが、伯爵令嬢のローズマリーですら、爵位に二つの差がある。侯爵令嬢のジュニパーでは三つとなる。
そのような相手に言われれば、どう取られるか分からない。しかも生徒会の空気も悪くなる可能性がある。
まさかジュニパーもローズマリーも、公爵令嬢であるヨルレアンに声を掛けたなどとは、想像すらしていなかった。
「先生や親より、友人が注意してくれるのが一番だと思うけど、また何かあれば先生に相談しましょう」
「そうですね」
どう受け止めるか分からないオマリーに対して、出しゃばるような事はしないで置こうと、ジュニパーとローズマリーは話を終えた。
そんなことは知るはずもない、オマリーは次の生徒会の日に、生徒会室に行く前にカイロスといるエルドールに声を掛けた。
「聞きたいことがあるのですが」
「何だろうか?」
「この前の生徒会の日に、生徒会室にいた令嬢は誰だったのでしょうか?もしかして、手伝いを頼んだのではありませんか?どうしてSクラスである私を差し置いて、頼んだのですか!」
オマリーは寮でもずっと考えており、考えれば考えるほど腹が立っていたので、Sクラスでもない癖にと思い、強い発言をした。
「あれは、カイロスの妹君だが?」
「え?」
カイロスはそうですがと言わんばかりに、横で頷いている。
「そ、そうだったのですね…」
「確かにたまたまカイロスに会いに来たから、少し手伝って貰ったが」
「それなら、私を呼んでくれても!」
「君はなぜそこまで、手伝いにこだわっているのだ?私は少し過剰だと感じている。理由があるのなら、話して貰えないか?」
「…それは」
話すのかと思ったが、オマリーは戸惑う様な素振りをして、続きを話すことはなかった。
「手伝いがしたいなら、今、先生の手伝いをしているだろう?それでいいじゃないか、私には理解が出来ない」
「っ」
丁度、生徒会室に向かっていたジュニパーが前方にいる3人の様子に、声を掛けることにした。
「どうかされましたか?お話なら、生徒会室でされたらいかがですか?」
「そうだな、ヒーロア嬢、同席して貰ってもいいか?」
「ええ、構いませんわ」
4人は前にもオマリーが相談があると言った際に、生徒会室の隣の部屋で話をすることになった。
相手が自分の恋人や婚約者、婚約者候補ならまだいいが、相手の婚約者の有無に関わらずということは、いくら男爵令嬢でも、貴族令嬢として相応しくない行動をしていることは間違いない。
しかも、相手が貴族令息なら、相手の爵位の方が上である可能性が高く、一番気を付けなくてはいけないところである。
Sクラスであるのに、分かっていないはずがないと考えた。
「結婚しても働く方もいるとは思いますが、王宮で働きたいというのは矛盾しているような気もします。男爵令嬢だと一般的なのかもしれませんが…」
「そうね、爵位関係なく、働く方はいらっしゃるし、否定は出来ないわね。後は…本当は働く気がないけど、そのように見せているか」
「可能性はありますね」
「まあ、一種の駆け引きとしては使えるのかもしれないわね。総じて、天秤じゃないかしら?」
「天秤ですか?」
ローズマリーは一体、何の天秤だろうかと素直に思った。
「自分に一番いい将来を…そう考えている人間は言わないだけで、沢山いると思うけど、やり方が不味いわよね。私もローズマリー嬢も注意するべきだったのかしら?いえ、爵位もあるから高圧的に見えてしまうわよね」
「はい…」
ローズマリーは既に関わりたくないと思っているが、ジュニパーは憂いを含んだ表情をした。
オマリーは気にしていないのかもしれないが、伯爵令嬢のローズマリーですら、爵位に二つの差がある。侯爵令嬢のジュニパーでは三つとなる。
そのような相手に言われれば、どう取られるか分からない。しかも生徒会の空気も悪くなる可能性がある。
まさかジュニパーもローズマリーも、公爵令嬢であるヨルレアンに声を掛けたなどとは、想像すらしていなかった。
「先生や親より、友人が注意してくれるのが一番だと思うけど、また何かあれば先生に相談しましょう」
「そうですね」
どう受け止めるか分からないオマリーに対して、出しゃばるような事はしないで置こうと、ジュニパーとローズマリーは話を終えた。
そんなことは知るはずもない、オマリーは次の生徒会の日に、生徒会室に行く前にカイロスといるエルドールに声を掛けた。
「聞きたいことがあるのですが」
「何だろうか?」
「この前の生徒会の日に、生徒会室にいた令嬢は誰だったのでしょうか?もしかして、手伝いを頼んだのではありませんか?どうしてSクラスである私を差し置いて、頼んだのですか!」
オマリーは寮でもずっと考えており、考えれば考えるほど腹が立っていたので、Sクラスでもない癖にと思い、強い発言をした。
「あれは、カイロスの妹君だが?」
「え?」
カイロスはそうですがと言わんばかりに、横で頷いている。
「そ、そうだったのですね…」
「確かにたまたまカイロスに会いに来たから、少し手伝って貰ったが」
「それなら、私を呼んでくれても!」
「君はなぜそこまで、手伝いにこだわっているのだ?私は少し過剰だと感じている。理由があるのなら、話して貰えないか?」
「…それは」
話すのかと思ったが、オマリーは戸惑う様な素振りをして、続きを話すことはなかった。
「手伝いがしたいなら、今、先生の手伝いをしているだろう?それでいいじゃないか、私には理解が出来ない」
「っ」
丁度、生徒会室に向かっていたジュニパーが前方にいる3人の様子に、声を掛けることにした。
「どうかされましたか?お話なら、生徒会室でされたらいかがですか?」
「そうだな、ヒーロア嬢、同席して貰ってもいいか?」
「ええ、構いませんわ」
4人は前にもオマリーが相談があると言った際に、生徒会室の隣の部屋で話をすることになった。
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