【完結】ご期待に沿えず、誠に申し訳ございません

野村にれ

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不満

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 オマリーは何度か生徒会の仕事がとグイーズ先生に言ったが、殿下がこちらは問題ないから専念して欲しいと言われれば、やるしかなかった。

 それでもオマリーは何度か生徒会室に顔を出したが、早く行った方がいいのではないかと言われて、すぐに職員室の隣の空き教室に行くことになった。

 文芸部の4人は楽しそうに作業をしていたが、オマリーは私はこんなこと望んでいないと、不満を募らせていった。

 こんなことをしていたら、生徒会から必要ないと言われているようではないかと、このまま誤解をされては困る。

 だが、理由もなしに投げ出すことも出来なかった。

 どうにかしなくてはいけないと思い、やはり殿下からオマリーを戻して欲しいと言って貰うのが一番だと、話をしようと生徒会室に向かった。

 その日、カイロスの妹であるリスカーダが手伝いに来ていた。

 オマリーが訊ねるようなことがあれば、たまたまカイロスに会いに来たから、手伝いをして貰っていると話す予定になっている。

 リスカーダはいつものごとくカイロスを叱っており、エルドールがそのくらいにしてやってくれと、和気あいあいとした雰囲気であった。

 そこへやって来たオマリーに、エルドールが声を掛けた。

「お疲れ様、何か取りに来たのかい?」
「はい、お疲れ様です」

 オマリーは黙っていれば、実際の年齢より大人っぽく見える美しいリスカーダが、誰か分からず、ちらりと見つめた。だが皆、リスカーダのことをわざわざ説明するつもりはなかった。

 エルドールも身を持って知った、男爵令嬢に公爵令嬢を紹介する必要がないからである。

 リスカーダはサージの隣のオマリーの机ではなく、兄であるカイロスの横で作業をしている。

 婚約者のジャスミンにも手伝いが妹のリスカーダであれば、あらぬ誤解を招かず、サージも隣ではないので、公爵令嬢に緊張することもなく、手伝って貰うことが出来る逸材であった。

 ローズマリーもジュニパーも、リスカーダとは前から知り合いである。

 オマリーは自分の机に向かったが、何か取りに来たわけではない。ローズマリーがいる場で願い出るのは嫌なので、殿下を呼んで話をしようと思ったが、エルドールもオマリーに声を掛けた後は、忙しそうにしている。

 しかも、リスカーダがいることがオマリーには異物であった。

 その日は切り出すことが出来ず、創立記念誌の作業をすることにした。

 先程の令嬢は一体、誰なのだろうかと考えた。同じクラスではなく、隣のクラスでも見たことはない。ということは、Sクラスではない。

 何か書いているようではあったが、一体何をしていたのか。

 まさか、私の代わりだというのか。どうして私を戻さずに、あんな令嬢にさせているのか。

 だが、戻る好機だと考えた。

 明日、あの令嬢のことを聞いて、戻ると伝えよう。殿下も手伝いに行けばいいと言ったが、きっと困っているのだろう―――。

 エルドールは、オマリーが手伝いに行った日に、サージ以外の生徒会のトイラン・デーゼア伯爵令息、ジュニパー・ヒーロア侯爵令嬢にも、オズラール公爵邸のことは伏せて、ローズマリーとのことをオマリーのことを伝えることにした。

「何度か手伝いたいと言っていましたが、異常ですね」
「それはちょっと、あり得ませんわね。頼んだのは、ローズマリー嬢でしょう?おかしいわ」
「私もボディタッチというのでしょうか、困っておりまして」

 ローズマリーと同じ会計のトイランも、実はオマリーにボディタッチをされて、困っていたと話したのである。

「そうだったのか」
「はい」
「今もか?」
「はい、減りはしましたが…止めて欲しいとは伝えたのですが、癖だと言われて、そんなこと私には関係ないと思い、距離を取るようにしています」
「我々もだ」

 エルドールとカイロスにはして来なくなっていたので、今も被害者がいたとは思わなかった。
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