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相談2
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「あの資料だけで、解読を手伝ったと思っている可能性があるのだからな」
「そうですね…」
「どういうことですか?」
解読という言葉に、グイーズがエルドールに問い掛けた。
「ご存じありませんか?既に噂にはなっていないと思いますが、トドック男爵令嬢は『振り返る女』の解読を手伝ったというデタラメを言っていたのです」
「何ですか、それは!知っていたか?」
グイーズはケイズとジーディーに問い掛けたが、二人も首を振った。
「すぐにも訂正して、処罰を」
グイーズは怒りの声を上げたが、エルドールはジーオから、既に噂をしている者などいないと聞いている。
「いえ、母上が事実ではないのだから、放って置けばいい。決めるのは解読をした方たちだと、ですが何か実害が出れば許すことはないと言っていますから」
「そうですか、それならばいいですが…」
生徒の噂までは大きくならない限り、教師の耳に届くことはなかなかない。
その上、オーバン王妃が判断したのならば、口を挟むことは出来ない。
「それで、何かいい案はありませんか?」
「では、殿下にまた手伝いをしたいと言い出した際に、私にはないから先生に聞いてくださいと伝えるのはどうですか?」
ジーディーが手を挙げながら、発言をした。
「それで、来るかい?」
「来なければ、グイーズ先生が行けばいいのではないでしょうか」
「そうですね、それならば断われないでしょう」
その作戦で行こうということになり、オマリーをローズマリーの件で一度注意をし、後はオマリーがどう動くかによってということで解散することになった。
まずはエルドールとカイロス、当事者なのだからとローズマリーも同席して、注意をすることになった。
「ローズマリー嬢に頼んだことを邪魔したと聞いたが?」
「邪魔したわけではありません、私が手伝いをしたくて…」
ローズマリーはその言葉に、邪魔をしたでしょう!と怒鳴りたくなったが、グッと堪えた。
「それを邪魔したと言うのだよ」
「私が手伝いをしたかったのです、それなのに…」
オマリーはちらりと、ローズマリーを見つめたが、ローズマリーは腹が立つので、心を無にしていた。
「私が頼んだのは、ローズマリー嬢であって、君ではない」
「でも、私でも良かったはずです」
「なぜだ?」
「殿下のお手伝いを希望していたのは、私ですから」
オマリーは自信満々という顔で、エルドールに向かって微笑んだ。
「ローズマリー嬢が許可がないとは入れない場所だと伝えたはずで、君では許可を得ていない。それなのに、邪魔をしたのだ」
「許可を取って貰えば…」
なぜそんなことをしなければならないのかと、エルドールもカイロスも、ローズマリーも同じことを思った。
「はあ…そんなことをしなければならない理由がない」
「ですが」
「君はローズマリー嬢に謝罪する気もないのか?」
今までになく、エルドールが強く告げたことで、オマリーもたじろぎ、さすがに目を伏せた。
「…シレラーダ様、申し訳ございませんでした」
「二度とないようにしてください」
「はい…」
「今後、このようなことがないようにして欲しい。とても失礼な行動だと理解した方がいい」
「はい、申し訳ございませんでした」
オマリーはあからさまにしゅんとした様子で、去って行った。これで、もしかしたら手伝いたいなどと言い出さなくなるのではないかと考えていた。
グイーズ先生にも話をして、それならそれでいいと言われていた。
数週間はオマリーも大人しくなっており、ローズマリーとの会話はなく、関係は悪くはなくなったが、書記は二人いるので、問題はない。
そんなある日、オマリーはエルドールに近付いて来た。
「殿下、またお忙しそうにしてらっしゃいませんか?手伝うことはありませんか?」
「そうですね…」
「どういうことですか?」
解読という言葉に、グイーズがエルドールに問い掛けた。
「ご存じありませんか?既に噂にはなっていないと思いますが、トドック男爵令嬢は『振り返る女』の解読を手伝ったというデタラメを言っていたのです」
「何ですか、それは!知っていたか?」
グイーズはケイズとジーディーに問い掛けたが、二人も首を振った。
「すぐにも訂正して、処罰を」
グイーズは怒りの声を上げたが、エルドールはジーオから、既に噂をしている者などいないと聞いている。
「いえ、母上が事実ではないのだから、放って置けばいい。決めるのは解読をした方たちだと、ですが何か実害が出れば許すことはないと言っていますから」
「そうですか、それならばいいですが…」
生徒の噂までは大きくならない限り、教師の耳に届くことはなかなかない。
その上、オーバン王妃が判断したのならば、口を挟むことは出来ない。
「それで、何かいい案はありませんか?」
「では、殿下にまた手伝いをしたいと言い出した際に、私にはないから先生に聞いてくださいと伝えるのはどうですか?」
ジーディーが手を挙げながら、発言をした。
「それで、来るかい?」
「来なければ、グイーズ先生が行けばいいのではないでしょうか」
「そうですね、それならば断われないでしょう」
その作戦で行こうということになり、オマリーをローズマリーの件で一度注意をし、後はオマリーがどう動くかによってということで解散することになった。
まずはエルドールとカイロス、当事者なのだからとローズマリーも同席して、注意をすることになった。
「ローズマリー嬢に頼んだことを邪魔したと聞いたが?」
「邪魔したわけではありません、私が手伝いをしたくて…」
ローズマリーはその言葉に、邪魔をしたでしょう!と怒鳴りたくなったが、グッと堪えた。
「それを邪魔したと言うのだよ」
「私が手伝いをしたかったのです、それなのに…」
オマリーはちらりと、ローズマリーを見つめたが、ローズマリーは腹が立つので、心を無にしていた。
「私が頼んだのは、ローズマリー嬢であって、君ではない」
「でも、私でも良かったはずです」
「なぜだ?」
「殿下のお手伝いを希望していたのは、私ですから」
オマリーは自信満々という顔で、エルドールに向かって微笑んだ。
「ローズマリー嬢が許可がないとは入れない場所だと伝えたはずで、君では許可を得ていない。それなのに、邪魔をしたのだ」
「許可を取って貰えば…」
なぜそんなことをしなければならないのかと、エルドールもカイロスも、ローズマリーも同じことを思った。
「はあ…そんなことをしなければならない理由がない」
「ですが」
「君はローズマリー嬢に謝罪する気もないのか?」
今までになく、エルドールが強く告げたことで、オマリーもたじろぎ、さすがに目を伏せた。
「…シレラーダ様、申し訳ございませんでした」
「二度とないようにしてください」
「はい…」
「今後、このようなことがないようにして欲しい。とても失礼な行動だと理解した方がいい」
「はい、申し訳ございませんでした」
オマリーはあからさまにしゅんとした様子で、去って行った。これで、もしかしたら手伝いたいなどと言い出さなくなるのではないかと考えていた。
グイーズ先生にも話をして、それならそれでいいと言われていた。
数週間はオマリーも大人しくなっており、ローズマリーとの会話はなく、関係は悪くはなくなったが、書記は二人いるので、問題はない。
そんなある日、オマリーはエルドールに近付いて来た。
「殿下、またお忙しそうにしてらっしゃいませんか?手伝うことはありませんか?」
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