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シレラーダ伯爵令嬢1
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ジーオのおかげか、事実ではないということも、噂になっていたほどでもなかったが、広がっていった。
耳にした高位貴族もジーオの他にもいたのだが、そんなはずはないと思う者、だから何だ?と思う者、わざわざ噂することはなかっただけであった。
そもそも、解読がヨルレアンの管轄だと知っている者は、学園を休んでいることで、このために休まれているのではないのかと繋ぎ合わせていた。
元々、あまり令嬢たちに馴染んでいなかったオマリーは、さらに遠巻きにされるようになった。だが、オマリーにとっては元々、令嬢たちとは必要な際に話をするだけで、気になることではなかった。
生徒会室では、耳にしている者もいるかもしれないが、一切話題には上がることはなかった。
ローズマリーはオマリーについて、男爵令嬢が生徒会に選ばれて、調子に乗るのは多少は仕方ないと思っていた。
エルドール殿下やディンジャー公爵令息に優しくされたことで、さらに調子に乗っているのは、手に取るように分かった。
詳しくは知らないが、何か特別だと思うようなことがあったのだろうと、だが成績優秀者に入っている令嬢なのだから、そこまで愚かではないだろうと、この時はまだそう考えていた。
異性にだけボディタッチすることで、令嬢たちから良く思われてないことはローズマリーも目にしたこともあり、知っていたが、だったらボディタッチを止めればいいのに、オマリーは止めなかった。
密かにジュニパー様と話をして、庇うに値しないと判断したのである。
だが、今回の珍妙な勘違いとも言えない、恐ろしい所業。
ヨルレアン様は学園にいらっしゃらなくなってしまったが、可能なら横に付いて、お茶でも入れるくらいしか出来なかっただろうが、させていただけるのであればしたかったくらいである。
同じ年でありながらも、格の違いを感じたのはヨルレアンだけであった。
いつも美しくされているが、自分の世界があり、身なりをあまり気にしていない様子も、何だかとても憧れる要素であった。
声を掛ける立場にはないが、学園に来なくなる前に、顔色が悪かったことが気になっていた。
エルドールが悪いことは察しているが、ヨルレアンをエルドールが叱り付け、婚約を解消するとまで言ったことを知らない。
そして、ローズマリーも生きている間に『振り返る女』のモデルが判明するとは思っていなかった。すぐさま、ヨルレアン様が関わっているのではないかと思った。
だが、公表されなかったことで、友人に簡単に口に出すことは出来ない。ならば、内密に話せる相手に話せばいい。
オマリーと違って、これが貴族令嬢として、弁えている行動である。
『お兄様、モデルの解読には、オズラール公爵令嬢が関わってらっしゃるのではないでしょうか』
『公表されていないのだから、口にしてはならない』
『分かっております、ですからお兄様に話しているのではありませんか』
ローズマリーはどうしても、この湧き上がる喜びを、口に出して、誰かと分かち合いたかったのだ。
『そういうことか。おそらく、そう考えていいだろうな。学園を休まれているから、一気に進んだのではないだろうか』
『学園なんていらっしゃらなくていいのです』
無意味だと言わんばかりに、ローズマリーは強く言い放った。
『重要度を考えれば、そうだろうな』
『なんて素晴らしい方なのでしょうか…お姿は見られなくなりましたが、このような形で感じることが出来るなんて…想像もしていませんでした』
恍惚とするローズマリーに、兄・グリズバトンは相変わらずだなと口角を上げた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
本日もお読みいただきありがとうございます。
エルドールの兄の名前が間違っており、訂正をしています。
ローレル王太子が正しいです。
申し訳ございませんでした。
どうぞよろしくお願いいたします。
耳にした高位貴族もジーオの他にもいたのだが、そんなはずはないと思う者、だから何だ?と思う者、わざわざ噂することはなかっただけであった。
そもそも、解読がヨルレアンの管轄だと知っている者は、学園を休んでいることで、このために休まれているのではないのかと繋ぎ合わせていた。
元々、あまり令嬢たちに馴染んでいなかったオマリーは、さらに遠巻きにされるようになった。だが、オマリーにとっては元々、令嬢たちとは必要な際に話をするだけで、気になることではなかった。
生徒会室では、耳にしている者もいるかもしれないが、一切話題には上がることはなかった。
ローズマリーはオマリーについて、男爵令嬢が生徒会に選ばれて、調子に乗るのは多少は仕方ないと思っていた。
エルドール殿下やディンジャー公爵令息に優しくされたことで、さらに調子に乗っているのは、手に取るように分かった。
詳しくは知らないが、何か特別だと思うようなことがあったのだろうと、だが成績優秀者に入っている令嬢なのだから、そこまで愚かではないだろうと、この時はまだそう考えていた。
異性にだけボディタッチすることで、令嬢たちから良く思われてないことはローズマリーも目にしたこともあり、知っていたが、だったらボディタッチを止めればいいのに、オマリーは止めなかった。
密かにジュニパー様と話をして、庇うに値しないと判断したのである。
だが、今回の珍妙な勘違いとも言えない、恐ろしい所業。
ヨルレアン様は学園にいらっしゃらなくなってしまったが、可能なら横に付いて、お茶でも入れるくらいしか出来なかっただろうが、させていただけるのであればしたかったくらいである。
同じ年でありながらも、格の違いを感じたのはヨルレアンだけであった。
いつも美しくされているが、自分の世界があり、身なりをあまり気にしていない様子も、何だかとても憧れる要素であった。
声を掛ける立場にはないが、学園に来なくなる前に、顔色が悪かったことが気になっていた。
エルドールが悪いことは察しているが、ヨルレアンをエルドールが叱り付け、婚約を解消するとまで言ったことを知らない。
そして、ローズマリーも生きている間に『振り返る女』のモデルが判明するとは思っていなかった。すぐさま、ヨルレアン様が関わっているのではないかと思った。
だが、公表されなかったことで、友人に簡単に口に出すことは出来ない。ならば、内密に話せる相手に話せばいい。
オマリーと違って、これが貴族令嬢として、弁えている行動である。
『お兄様、モデルの解読には、オズラール公爵令嬢が関わってらっしゃるのではないでしょうか』
『公表されていないのだから、口にしてはならない』
『分かっております、ですからお兄様に話しているのではありませんか』
ローズマリーはどうしても、この湧き上がる喜びを、口に出して、誰かと分かち合いたかったのだ。
『そういうことか。おそらく、そう考えていいだろうな。学園を休まれているから、一気に進んだのではないだろうか』
『学園なんていらっしゃらなくていいのです』
無意味だと言わんばかりに、ローズマリーは強く言い放った。
『重要度を考えれば、そうだろうな』
『なんて素晴らしい方なのでしょうか…お姿は見られなくなりましたが、このような形で感じることが出来るなんて…想像もしていませんでした』
恍惚とするローズマリーに、兄・グリズバトンは相変わらずだなと口角を上げた。
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本日もお読みいただきありがとうございます。
エルドールの兄の名前が間違っており、訂正をしています。
ローレル王太子が正しいです。
申し訳ございませんでした。
どうぞよろしくお願いいたします。
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