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オールエドリレット
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なぜオドリレットとなっていたのかは、エリーはオールエドリレットと名乗っているつもりだったが、オドリレットと呼ばれるようになり、訂正が出来なかった。
チラシはエリーが書いたままになっていたが、呼び名はオドリレットのままになってしまった。
新聞記事などは、耳で聞いたものであったために、オドリレットとなったまま掲載されたのである。
エリーはオールエドリレットは別人だと言っていたが、作者にとってはどちらも同じエリーだった。
だが、エリーが言い張るので、それならばオールエドリレットとして、名前を残してあげたいと絵を描いた。だが、その絵はエリーにとってはエリーからオールエドリレットに切り替わる前の瞬間のような顔であったが、エリーも気に入っていた。
モデルは本名であるエリーではなく、作者の意を組んで、歌い手のオールエドリレットとした。
解読を終えても、作者とオールエドリレットの関係性は分からなかったが、親しいことには間違いはなかった。
死については一切書かれていないことから、絵も文献もエリーが生きている内に描かれたもので、まだどこかに文献があるかもしれないと思われる。
解読を聞いたダズベルトは、ついにモデルの正体が分かったことに胸が高鳴ると同時に、ヨルレアンの言葉を思い出した。
「ヨルレアンの言った、『ご期待に沿えず、誠に申し訳ございません』とは、真逆の結果となったな」
「そうですわね、それを言うべきは馬鹿息子の方でしょう」
「本当にな、だがほんの少しは力になったようだからな」
「ええ、ほんの少しですけどね」
記録を頼みに来て、用意させたのはダズベルトだが、その中から探し出したのは間違いなくエルドールである。
デザールとヨルレアンが解読したことは、記録には残るが、発表はされていない。二人とも煩わされることを避ける質であるためである。
悲劇の歌い手がモデルであったことは、国内中の話題となった。王立美術館も再び大賑わいとなり、ヨルレアンが見付けたチラシも、美術館に飾られることになった。
エルドールも、王家からの発表であったために、感動の言葉を掛けられることになった。
「殿下、素晴らしいことですね」
「殿下も手伝われたのですか?」
「いや、私の力ではない」
「本当に感動しました」
「この時代に生きていて良かったです」
その様子を見ていた、オマリーはまさか『振り返る女』のモデルを調べているとは思っておらず、素直に驚いた。
オマリーもあの振り返り、どこか儚く、愁いの帯びたようにも見え、微笑んでいるようにも見える、何とも言えない表情をした女性に心惹かれていた一人であった。
歴史的瞬間に、オマリーの気分は高揚した。
「私も手伝ったのです」
「そうなのか?」
「はい、内緒ですよ」
オマリーはヴァイオリンがどこに役に立ったのかは分からないが、エルドールを手伝ったことを、内緒だと言いながら口にするようになっていた。
ヨルレアンのことを知らず、エルドールたちとは関係のない者にはしか言わなかったことで、生徒会の一員だから、そういったこともあるのかと、オマリーはとても優秀だとさらに思われるようになった。
オマリーの元へ、今までも何人か縁談の申し込みはあったが、男爵家や平民で、まだ進路を決めていないと断っていた。
だが、今回の件で子爵家からも縁談も舞い込むようになった。
両親は凄いじゃないかと言ったが、オマリーは働きに出るならば全力でやりたい、結婚するなら難しくなってしまうのではないかと話しており、やっぱりまだ決められないと訴えた。
政略結婚ではない縁談であるために、両親も先方に丁寧に説明をして、相手も優秀な令嬢なら仕方ないなと受け入れてくれることになった。
縁談を断ったことで、オマリーは自分には非常に価値があることを実感して、自尊心はとても満たされた。
チラシはエリーが書いたままになっていたが、呼び名はオドリレットのままになってしまった。
新聞記事などは、耳で聞いたものであったために、オドリレットとなったまま掲載されたのである。
エリーはオールエドリレットは別人だと言っていたが、作者にとってはどちらも同じエリーだった。
だが、エリーが言い張るので、それならばオールエドリレットとして、名前を残してあげたいと絵を描いた。だが、その絵はエリーにとってはエリーからオールエドリレットに切り替わる前の瞬間のような顔であったが、エリーも気に入っていた。
モデルは本名であるエリーではなく、作者の意を組んで、歌い手のオールエドリレットとした。
解読を終えても、作者とオールエドリレットの関係性は分からなかったが、親しいことには間違いはなかった。
死については一切書かれていないことから、絵も文献もエリーが生きている内に描かれたもので、まだどこかに文献があるかもしれないと思われる。
解読を聞いたダズベルトは、ついにモデルの正体が分かったことに胸が高鳴ると同時に、ヨルレアンの言葉を思い出した。
「ヨルレアンの言った、『ご期待に沿えず、誠に申し訳ございません』とは、真逆の結果となったな」
「そうですわね、それを言うべきは馬鹿息子の方でしょう」
「本当にな、だがほんの少しは力になったようだからな」
「ええ、ほんの少しですけどね」
記録を頼みに来て、用意させたのはダズベルトだが、その中から探し出したのは間違いなくエルドールである。
デザールとヨルレアンが解読したことは、記録には残るが、発表はされていない。二人とも煩わされることを避ける質であるためである。
悲劇の歌い手がモデルであったことは、国内中の話題となった。王立美術館も再び大賑わいとなり、ヨルレアンが見付けたチラシも、美術館に飾られることになった。
エルドールも、王家からの発表であったために、感動の言葉を掛けられることになった。
「殿下、素晴らしいことですね」
「殿下も手伝われたのですか?」
「いや、私の力ではない」
「本当に感動しました」
「この時代に生きていて良かったです」
その様子を見ていた、オマリーはまさか『振り返る女』のモデルを調べているとは思っておらず、素直に驚いた。
オマリーもあの振り返り、どこか儚く、愁いの帯びたようにも見え、微笑んでいるようにも見える、何とも言えない表情をした女性に心惹かれていた一人であった。
歴史的瞬間に、オマリーの気分は高揚した。
「私も手伝ったのです」
「そうなのか?」
「はい、内緒ですよ」
オマリーはヴァイオリンがどこに役に立ったのかは分からないが、エルドールを手伝ったことを、内緒だと言いながら口にするようになっていた。
ヨルレアンのことを知らず、エルドールたちとは関係のない者にはしか言わなかったことで、生徒会の一員だから、そういったこともあるのかと、オマリーはとても優秀だとさらに思われるようになった。
オマリーの元へ、今までも何人か縁談の申し込みはあったが、男爵家や平民で、まだ進路を決めていないと断っていた。
だが、今回の件で子爵家からも縁談も舞い込むようになった。
両親は凄いじゃないかと言ったが、オマリーは働きに出るならば全力でやりたい、結婚するなら難しくなってしまうのではないかと話しており、やっぱりまだ決められないと訴えた。
政略結婚ではない縁談であるために、両親も先方に丁寧に説明をして、相手も優秀な令嬢なら仕方ないなと受け入れてくれることになった。
縁談を断ったことで、オマリーは自分には非常に価値があることを実感して、自尊心はとても満たされた。
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