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あなたなの?
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「舞台の日のオールエドリレット、ああ、やっぱり」
「見に行った方ではないのは、間違いなさそうだね」
「ええ、あと、ここやここに、エリかエリーと読むのだと思うけど、名前のようなものがあるの」
「そうだね、二人の女性がいたのか」
解読を進めても、やはりオールエドリレットのこと、エリーのことが書かれていた。だが、解読が出来た部分に関して、オールエドリレットとエリーは一緒には書かれていない。
モデルのオールエドリレットとあったことから、エリーはモデルではない。
「オールエドリレットとエリーは別人ではない、同じなのだ?」
「ん?」
「別人だと思って、解読していたけど、舞台に立つような方なら、オールエドリレットの本名の可能性もあるということでしょうか?」
「ああ、そうか」
「ここも、オールエドリレットは、エリーではないと言う。私は思わない」
「ああ」
デザールは瞬時に、同じような文ならば、読み解けるヨルレアンに感動しながらも、核心に近付いている喜びを感じていた。
「歌うオールエドリレットも、恥ずかしがるエリーも、同じ」
「歌い手か…」
「可能性は高そうですね。明日から、この時代の歌い手の文献を探して来ます」
「私は解読を進めていよう」
「よろしくお願いします」
翌日、翌々日も、その翌日も、ヨルレアンは王立図書館で、文献を読み漁ることになった。
陛下から許可を得ているので、王立図書館にある全ての文献を読むことが出来る権利を持っている。
職員とも顔見知りなので、どんどん運んで貰っていた。
「ん?オドリレット…」
極めて近い名前を見付け、そこには歌い手とあった。念のため、この方の書いてありそうな文献を持って来て貰うことにした。
だが、有名な歌い手でもなかったようで、絵姿もなかった。ヨルレアンは、決定的な証拠はなかったが、彼女なのではないかと感じた。
ヨルレアンはオドリレットの文献を貸し出して貰い、デザールの元へ向かった。
「オドリレット?確かに似ているね。私も分かったことがある、亡くなったと書いてあった」
「彼女も若くして亡くなっています。しかも、殺されています」
理由にはならないが、彼女は若くして亡くなっていた。しかも、殺されていたことで、何か引っかかるものを感じてのことだった。
「殺されて?」
「はい、ファンに殺されたようです」
「絵姿はないのかい?」
「はい…あまり有名な方ではなかったようで」
有名な歌い手は絵姿も残っている上に、何枚も描かれている。別人が描いた物でもあればと思ったが、これも今までも見付かっていない理由だろう。
「もし、彼女なら絵はこれだけ有名なのにという部分が引っ掛かるね」
「そうですよね」
有名でもなく、絵姿が残っていなくとも、『振り返る女』は有名である。誰かがどこかに残していても、おかしくはない。
「でも歌い手の彼女と、印象が違うとしたらどうでしょう?」
「エリーか」
「はい、この絵はオールエドリレットではなく、エリーの姿なのではないでしょうか?」
「可能性はあるね」
「犯人の方を調べてみましょうか。図書館には信者に殺されたと、名前はありませんでしたが、詳しく調べて貰えば、何か分かるかもしれません」
「そうだね」
そういえば殿下にも頼んだのだったと思い出し、オドリレットという歌い手だったかもしれない、絵姿もなく、殺されているので、犯人や事件の詳細が分かれば教えて欲しいと手紙を出して置いた。
エルドールはヨルレアンから手紙を貰い、王家の記録を探すことにした。
ヨルレアンも、オズラール公爵令嬢の力を使って、今度は新聞社に行き、事件の記録を見せて貰うことにした。
「あった!エホック・カイが、歌い手であるオドリレットを刺殺した…刺されたのね。でも、どうしてオドリレットなのかしら?」
「見に行った方ではないのは、間違いなさそうだね」
「ええ、あと、ここやここに、エリかエリーと読むのだと思うけど、名前のようなものがあるの」
「そうだね、二人の女性がいたのか」
解読を進めても、やはりオールエドリレットのこと、エリーのことが書かれていた。だが、解読が出来た部分に関して、オールエドリレットとエリーは一緒には書かれていない。
モデルのオールエドリレットとあったことから、エリーはモデルではない。
「オールエドリレットとエリーは別人ではない、同じなのだ?」
「ん?」
「別人だと思って、解読していたけど、舞台に立つような方なら、オールエドリレットの本名の可能性もあるということでしょうか?」
「ああ、そうか」
「ここも、オールエドリレットは、エリーではないと言う。私は思わない」
「ああ」
デザールは瞬時に、同じような文ならば、読み解けるヨルレアンに感動しながらも、核心に近付いている喜びを感じていた。
「歌うオールエドリレットも、恥ずかしがるエリーも、同じ」
「歌い手か…」
「可能性は高そうですね。明日から、この時代の歌い手の文献を探して来ます」
「私は解読を進めていよう」
「よろしくお願いします」
翌日、翌々日も、その翌日も、ヨルレアンは王立図書館で、文献を読み漁ることになった。
陛下から許可を得ているので、王立図書館にある全ての文献を読むことが出来る権利を持っている。
職員とも顔見知りなので、どんどん運んで貰っていた。
「ん?オドリレット…」
極めて近い名前を見付け、そこには歌い手とあった。念のため、この方の書いてありそうな文献を持って来て貰うことにした。
だが、有名な歌い手でもなかったようで、絵姿もなかった。ヨルレアンは、決定的な証拠はなかったが、彼女なのではないかと感じた。
ヨルレアンはオドリレットの文献を貸し出して貰い、デザールの元へ向かった。
「オドリレット?確かに似ているね。私も分かったことがある、亡くなったと書いてあった」
「彼女も若くして亡くなっています。しかも、殺されています」
理由にはならないが、彼女は若くして亡くなっていた。しかも、殺されていたことで、何か引っかかるものを感じてのことだった。
「殺されて?」
「はい、ファンに殺されたようです」
「絵姿はないのかい?」
「はい…あまり有名な方ではなかったようで」
有名な歌い手は絵姿も残っている上に、何枚も描かれている。別人が描いた物でもあればと思ったが、これも今までも見付かっていない理由だろう。
「もし、彼女なら絵はこれだけ有名なのにという部分が引っ掛かるね」
「そうですよね」
有名でもなく、絵姿が残っていなくとも、『振り返る女』は有名である。誰かがどこかに残していても、おかしくはない。
「でも歌い手の彼女と、印象が違うとしたらどうでしょう?」
「エリーか」
「はい、この絵はオールエドリレットではなく、エリーの姿なのではないでしょうか?」
「可能性はあるね」
「犯人の方を調べてみましょうか。図書館には信者に殺されたと、名前はありませんでしたが、詳しく調べて貰えば、何か分かるかもしれません」
「そうだね」
そういえば殿下にも頼んだのだったと思い出し、オドリレットという歌い手だったかもしれない、絵姿もなく、殺されているので、犯人や事件の詳細が分かれば教えて欲しいと手紙を出して置いた。
エルドールはヨルレアンから手紙を貰い、王家の記録を探すことにした。
ヨルレアンも、オズラール公爵令嬢の力を使って、今度は新聞社に行き、事件の記録を見せて貰うことにした。
「あった!エホック・カイが、歌い手であるオドリレットを刺殺した…刺されたのね。でも、どうしてオドリレットなのかしら?」
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