30 / 131
執拗に食い下がる
しおりを挟む
ヨルレアンとデザールも、オールエドリレットについて、何も手掛かりは見付かってはいなかった。
二人は解読の方を進めようと、続きに集中することした。この文献はおそらく画家の視点でオールエドリレットのことが書かれている。
エルドールも調べることを続けており、オマリーはその様子をソワソワした気持ちで、見ていた。そして、皆が帰り、エルドールとカイロスも帰ろうとしていると、残っていたオマリーが声を掛けた。
「あの、殿下」
「何だろうか?」
エルドールとカイロスも、話し掛けて来るのではないかと思っていた。
「まだ何か調べてらっしゃいますよね?やっぱり私が手伝えることあるのではないかと思うのです」
「それは断ったはずだが?」
「でも、力になりたいんです」
「ならば、別の者を手伝って欲しいと話しただろう?」
「殿下の手伝いをしたいんです」
またも同じ話をすることになり、エルドールは声を荒げそうになったが、目的を知るいい機会だと思い、グッと堪えた。
オマリーは生徒会の一員として、問題のない存在であった。だからこそ、非難された際に、口を出してしまったのだ。
「なぜだ?評価して、何か優遇して欲しいということか?」
「い、いえ、そんなつもりはありません」
いっそ、そう言ってくれた方が納得が出来たのだが、オマリーは違いますと、首を振っている。
「ではなぜだ?」
「ただ、手伝いたいと思ってはいけませんか?」
「これは君に手伝わせるものではない」
「資料は役に立ちませんでしたか?言ってくだされば、お調べします」
やってみろとやりたい気持ちはあったが、手伝わせることは出来ない。
「機密事項が含まれる言えば分かるか?」
「…そうなのですか。申し訳ありません。でも、オズラール公爵令嬢は手伝ってくれないのではありませんか?」
「なぜオズラール公爵令嬢が出て来る?」
「この前、学園に来ていらした際に話したんです」
「は?」
ヨルレアンは何も言っていなかったが、興味もなかったのだろう。それよりも、どうしてオマリーに話す必要があるのかと、眉間に皺を寄せた。
「そうしたら、とても冷たくて…」
それはそうだろう、話し掛けられて不愉快な顔を浮かべる姿しか想像が出来ない。
「もしかして、殿下のされていることは、オズラール公爵令嬢が手伝うべきことではないのですか?それなら、烏滸がましいですが、私でよければお手伝いしたいと思いまして」
見当違いも甚だしい言い分に、逆だと言いたかったが、オマリーに話すことは出来ない。
「そうではない。生徒会のことならともかく、個人的なことを君に頼むことはない」
「でも」
「オマリー嬢、いい加減にしなさい。殿下に何度同じことを言わすんだ!オズラール公爵令嬢にも、失礼だとは思わないのか」
エルドールは話に付き合っていたが、さすがにカイロスが声を荒げた。
「私は、殿下のためを思って」
「君が決めることではない!」
「ですが」
カイロスが睨み付けると、さすがにオマリーも黙り込んだ。
「君は自分の生徒会の仕事をしてくれればいい」
「…はい」
それからオマリーは言って来ることはなくなったが、エルドールの様子を気にしていることは、明らかであった。
エルドールがオマリーに気持ちの悪さを感じている頃、ヨルレアンは舞台という言葉がところどころに解読が出来た。
「舞台とあるから、歌い手か女優だったのでしょうか?画家の方はそういった方を描くこともありますね?」
「ああ、見られることに慣れているから、モデルにはなることは多いだろうね」
「でも観に行っただけ、裏方ということもありますわね」
「ああ」
思い込みは良くないが、仮説を立てて解読する場合もある。だが、ヨルレアンは色んな方向を考えながら、解読を進めていく独自の思考を持っていた。
二人は解読の方を進めようと、続きに集中することした。この文献はおそらく画家の視点でオールエドリレットのことが書かれている。
エルドールも調べることを続けており、オマリーはその様子をソワソワした気持ちで、見ていた。そして、皆が帰り、エルドールとカイロスも帰ろうとしていると、残っていたオマリーが声を掛けた。
「あの、殿下」
「何だろうか?」
エルドールとカイロスも、話し掛けて来るのではないかと思っていた。
「まだ何か調べてらっしゃいますよね?やっぱり私が手伝えることあるのではないかと思うのです」
「それは断ったはずだが?」
「でも、力になりたいんです」
「ならば、別の者を手伝って欲しいと話しただろう?」
「殿下の手伝いをしたいんです」
またも同じ話をすることになり、エルドールは声を荒げそうになったが、目的を知るいい機会だと思い、グッと堪えた。
オマリーは生徒会の一員として、問題のない存在であった。だからこそ、非難された際に、口を出してしまったのだ。
「なぜだ?評価して、何か優遇して欲しいということか?」
「い、いえ、そんなつもりはありません」
いっそ、そう言ってくれた方が納得が出来たのだが、オマリーは違いますと、首を振っている。
「ではなぜだ?」
「ただ、手伝いたいと思ってはいけませんか?」
「これは君に手伝わせるものではない」
「資料は役に立ちませんでしたか?言ってくだされば、お調べします」
やってみろとやりたい気持ちはあったが、手伝わせることは出来ない。
「機密事項が含まれる言えば分かるか?」
「…そうなのですか。申し訳ありません。でも、オズラール公爵令嬢は手伝ってくれないのではありませんか?」
「なぜオズラール公爵令嬢が出て来る?」
「この前、学園に来ていらした際に話したんです」
「は?」
ヨルレアンは何も言っていなかったが、興味もなかったのだろう。それよりも、どうしてオマリーに話す必要があるのかと、眉間に皺を寄せた。
「そうしたら、とても冷たくて…」
それはそうだろう、話し掛けられて不愉快な顔を浮かべる姿しか想像が出来ない。
「もしかして、殿下のされていることは、オズラール公爵令嬢が手伝うべきことではないのですか?それなら、烏滸がましいですが、私でよければお手伝いしたいと思いまして」
見当違いも甚だしい言い分に、逆だと言いたかったが、オマリーに話すことは出来ない。
「そうではない。生徒会のことならともかく、個人的なことを君に頼むことはない」
「でも」
「オマリー嬢、いい加減にしなさい。殿下に何度同じことを言わすんだ!オズラール公爵令嬢にも、失礼だとは思わないのか」
エルドールは話に付き合っていたが、さすがにカイロスが声を荒げた。
「私は、殿下のためを思って」
「君が決めることではない!」
「ですが」
カイロスが睨み付けると、さすがにオマリーも黙り込んだ。
「君は自分の生徒会の仕事をしてくれればいい」
「…はい」
それからオマリーは言って来ることはなくなったが、エルドールの様子を気にしていることは、明らかであった。
エルドールがオマリーに気持ちの悪さを感じている頃、ヨルレアンは舞台という言葉がところどころに解読が出来た。
「舞台とあるから、歌い手か女優だったのでしょうか?画家の方はそういった方を描くこともありますね?」
「ああ、見られることに慣れているから、モデルにはなることは多いだろうね」
「でも観に行っただけ、裏方ということもありますわね」
「ああ」
思い込みは良くないが、仮説を立てて解読する場合もある。だが、ヨルレアンは色んな方向を考えながら、解読を進めていく独自の思考を持っていた。
4,249
お気に入りに追加
6,495
あなたにおすすめの小説

思い出してしまったのです
月樹《つき》
恋愛
同じ姉妹なのに、私だけ愛されない。
妹のルルだけが特別なのはどうして?
婚約者のレオナルド王子も、どうして妹ばかり可愛がるの?
でもある時、鏡を見て思い出してしまったのです。
愛されないのは当然です。
だって私は…。


ある王国の王室の物語
朝山みどり
恋愛
平和が続くある王国の一室で婚約者破棄を宣言された少女がいた。カップを持ったまま下を向いて無言の彼女を国王夫妻、侯爵夫妻、王太子、異母妹がじっと見つめた。
顔をあげた彼女はカップを皿に置くと、レモンパイに手を伸ばすと皿に取った。
それから
「承知しました」とだけ言った。
ゆっくりレモンパイを食べるとお茶のおかわりを注ぐように侍女に合図をした。
それからバウンドケーキに手を伸ばした。
カクヨムで公開したものに手を入れたものです。
【完結】待ってください
仲 奈華 (nakanaka)
恋愛
ルチアは、誰もいなくなった家の中を見回した。
毎日家族の為に食事を作り、毎日家を清潔に保つ為に掃除をする。
だけど、ルチアを置いて夫は出て行ってしまった。
一枚の離婚届を机の上に置いて。
ルチアの流した涙が床にポタリと落ちた。
悪役令嬢の大きな勘違い
神々廻
恋愛
この手紙を読んでらっしゃるという事は私は処刑されたと言う事でしょう。
もし......処刑されて居ないのなら、今はまだ見ないで下さいまし
封筒にそう書かれていた手紙は先日、処刑された悪女が書いたものだった。
お気に入り、感想お願いします!
私のドレスを奪った異母妹に、もう大事なものは奪わせない
文野多咲
恋愛
優月(ゆづき)が自宅屋敷に帰ると、異母妹が優月のウェディングドレスを試着していた。その日縫い上がったばかりで、優月もまだ袖を通していなかった。
使用人たちが「まるで、異母妹のためにあつらえたドレスのよう」と褒め称えており、優月の婚約者まで「異母妹の方が似合う」と褒めている。
優月が異母妹に「どうして勝手に着たの?」と訊けば「ちょっと着てみただけよ」と言う。
婚約者は「異母妹なんだから、ちょっとくらいいじゃないか」と言う。
「ちょっとじゃないわ。私はドレスを盗られたも同じよ!」と言えば、父の後妻は「悪気があったわけじゃないのに、心が狭い」と優月の頬をぶった。
優月は父親に婚約解消を願い出た。婚約者は父親が決めた相手で、優月にはもう彼を信頼できない。
父親に事情を説明すると、「大げさだなあ」と取り合わず、「優月は異母妹に嫉妬しているだけだ、婚約者には異母妹を褒めないように言っておく」と言われる。
嫉妬じゃないのに、どうしてわかってくれないの?
優月は父親をも信頼できなくなる。
婚約者は優月を手に入れるために、優月を襲おうとした。絶体絶命の優月の前に現れたのは、叔父だった。

攻略対象の王子様は放置されました
白生荼汰
恋愛
……前回と違う。
お茶会で公爵令嬢の不在に、前回と前世を思い出した王子様。
今回の公爵令嬢は、どうも婚約を避けたい様子だ。
小説家になろうにも投稿してます。

どうして私にこだわるんですか!?
風見ゆうみ
恋愛
「手柄をたてて君に似合う男になって帰ってくる」そう言って旅立って行った婚約者は三年後、伯爵の爵位をいただくのですが、それと同時に旅先で出会った令嬢との結婚が決まったそうです。
それを知った伯爵令嬢である私、リノア・ブルーミングは悲しい気持ちなんて全くわいてきませんでした。だって、そんな事になるだろうなってわかってましたから!
婚約破棄されて捨てられたという噂が広まり、もう結婚は無理かな、と諦めていたら、なんと辺境伯から結婚の申し出が! その方は冷酷、無口で有名な方。おっとりした私なんて、すぐに捨てられてしまう、そう思ったので、うまーくお断りして田舎でゆっくり過ごそうと思ったら、なぜか結婚のお断りを断られてしまう。
え!? そんな事ってあるんですか? しかもなぜか、元婚約者とその彼女が田舎に引っ越した私を追いかけてきて!?
おっとりマイペースなヒロインとヒロインに恋をしている辺境伯とのラブコメです。ざまぁは後半です。
※独自の世界観ですので、設定はゆるめ、ご都合主義です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる