23 / 131
馬鹿息子の謝罪2
しおりを挟む
「怒鳴ったのは、私が悪いですから」
「だが」
「虫の居所が悪かったのですよ、非常に、非常に」
ヨルレアンは睡眠も食事も十分に摂れるようになり、体重も戻って、今は落ち着いていたが、あの頃を思い出して、忌々しく思った。
「寝ていなかったと聞いた。そんなことも気付かずに、情けないと思っている」
「寝ていなかったのを理由にするのは、恥ずかしいことです。忙しい忙しいって、自分だけが忙しいみたいに言うのは、不愉快なアピールみたいでしょう?」
「いや、そのようなことは…」
エルドールは自分が生徒会長になって、ヨルレアンに対して思っていたことから、とても居たたまれない気持ちになった。
「ただ、人として限界であったのは事実で、殿下を怒鳴ったわけでもないのに、意味の分からない理由で怒られて、何だか腹が立って来ましてね」
「あ、ああ…その通りだと思う」
「知りもしない男爵家の娘など、興味はございません」
「ああ、その通りだな」
ヨルレアンは今でも、ジャスミンとオマリーが何の話をしていたのかすら、興味もないので知らないままである。
「そういえば、彼女が私の腕を持っただろう?」
「ん?ああ、そうでしたわね。グヘヘとでも思っていたのですか?」
オーバン王妃から、言いたいことは何でも言って構わないと言われているので、ヨルレアンは取り繕うこともなく、思っていたことを吐き出していた。
「そのようなことはあり得ない!正直、呼ぶために触れただけだろうと気にもしていなかった…すまない」
「まあ」
「不快にさせて申し訳なかった、母上に叱られた」
「陛下にもでしょう?」
「父上はいつものことだから」
ダズベルト陛下はヨルレアンにはとても豪快で優しいが、子どもたちには非常に厳しい方である。
「既に連れて来られた時点で、私は不愉快な気持でしたから、グヘヘとでも思って、彼女を特別にでも思っているのかとも考えましたけど」
「いや、あり得ない!彼女が異性に対してだけ行っていることも分かって、教師に注意をさせ、その後は私もカイロスも距離を取っている」
「そうですの、でも生徒会に選ばれるほど優秀なんでしょう?」
エルドールは、優秀だと言ったことを思い出していた。
過去に戻れるのなら、あの日のことは何度もなかったことにしたいと考えていたが、優秀発言も撤回したい一つであった。
「それも、申し訳なかった。成績優秀者のことは聞いた」
「そうですか」
ヨルレアンも両陛下から、卑屈になりそうだからと、成績優秀者のことはエルドールは知らないと聞いていた。
「君が成績優秀者に入っていないなど、あり得ないと考えれば分かることであった。私も君のように賢かったら、辞退すべきだったのだろうな…」
「いえ、殿下までいないとなると、公表しなくてはいけませんでしょう」
「それもそうか…」
「ええ、それで謝罪は受け取りました。もうよろしいでしょうか?」
「待ってくれ、これを見て欲しい」
エルドールは持って来た解読を、ヨルレアンの前に差し出した。
「父上にお前もやって見ろと言われて、正直に言うと無理だと一度は諦めたのだが、ヨルレアン嬢がどれだけ大変かを知るために、間違っているとは思うが、一行だけだが、行った解読なんだが…」
「まあ…」
どれどれと言う顔で、ヨルレアンはその紙を見つめた。
UU・ω・||ー・ー・ー・=/Γ==//δΣΠ//Λ∴Θ
「ああ、これですか」
「どうだろうか?ハッキリ言ってくれていい」
エルドールの解読は、明日、公園で、ドール、ボルト、墓であった。何度試みても、文章にすらならなかった。
古代語というのは、今でもどこかで使われたり、元になっていたりとすることがあるために、辞書を出来る限り探して、導き出した限界であった。
文献もあったが、難し過ぎて、参考にならなかった。
「だが」
「虫の居所が悪かったのですよ、非常に、非常に」
ヨルレアンは睡眠も食事も十分に摂れるようになり、体重も戻って、今は落ち着いていたが、あの頃を思い出して、忌々しく思った。
「寝ていなかったと聞いた。そんなことも気付かずに、情けないと思っている」
「寝ていなかったのを理由にするのは、恥ずかしいことです。忙しい忙しいって、自分だけが忙しいみたいに言うのは、不愉快なアピールみたいでしょう?」
「いや、そのようなことは…」
エルドールは自分が生徒会長になって、ヨルレアンに対して思っていたことから、とても居たたまれない気持ちになった。
「ただ、人として限界であったのは事実で、殿下を怒鳴ったわけでもないのに、意味の分からない理由で怒られて、何だか腹が立って来ましてね」
「あ、ああ…その通りだと思う」
「知りもしない男爵家の娘など、興味はございません」
「ああ、その通りだな」
ヨルレアンは今でも、ジャスミンとオマリーが何の話をしていたのかすら、興味もないので知らないままである。
「そういえば、彼女が私の腕を持っただろう?」
「ん?ああ、そうでしたわね。グヘヘとでも思っていたのですか?」
オーバン王妃から、言いたいことは何でも言って構わないと言われているので、ヨルレアンは取り繕うこともなく、思っていたことを吐き出していた。
「そのようなことはあり得ない!正直、呼ぶために触れただけだろうと気にもしていなかった…すまない」
「まあ」
「不快にさせて申し訳なかった、母上に叱られた」
「陛下にもでしょう?」
「父上はいつものことだから」
ダズベルト陛下はヨルレアンにはとても豪快で優しいが、子どもたちには非常に厳しい方である。
「既に連れて来られた時点で、私は不愉快な気持でしたから、グヘヘとでも思って、彼女を特別にでも思っているのかとも考えましたけど」
「いや、あり得ない!彼女が異性に対してだけ行っていることも分かって、教師に注意をさせ、その後は私もカイロスも距離を取っている」
「そうですの、でも生徒会に選ばれるほど優秀なんでしょう?」
エルドールは、優秀だと言ったことを思い出していた。
過去に戻れるのなら、あの日のことは何度もなかったことにしたいと考えていたが、優秀発言も撤回したい一つであった。
「それも、申し訳なかった。成績優秀者のことは聞いた」
「そうですか」
ヨルレアンも両陛下から、卑屈になりそうだからと、成績優秀者のことはエルドールは知らないと聞いていた。
「君が成績優秀者に入っていないなど、あり得ないと考えれば分かることであった。私も君のように賢かったら、辞退すべきだったのだろうな…」
「いえ、殿下までいないとなると、公表しなくてはいけませんでしょう」
「それもそうか…」
「ええ、それで謝罪は受け取りました。もうよろしいでしょうか?」
「待ってくれ、これを見て欲しい」
エルドールは持って来た解読を、ヨルレアンの前に差し出した。
「父上にお前もやって見ろと言われて、正直に言うと無理だと一度は諦めたのだが、ヨルレアン嬢がどれだけ大変かを知るために、間違っているとは思うが、一行だけだが、行った解読なんだが…」
「まあ…」
どれどれと言う顔で、ヨルレアンはその紙を見つめた。
UU・ω・||ー・ー・ー・=/Γ==//δΣΠ//Λ∴Θ
「ああ、これですか」
「どうだろうか?ハッキリ言ってくれていい」
エルドールの解読は、明日、公園で、ドール、ボルト、墓であった。何度試みても、文章にすらならなかった。
古代語というのは、今でもどこかで使われたり、元になっていたりとすることがあるために、辞書を出来る限り探して、導き出した限界であった。
文献もあったが、難し過ぎて、参考にならなかった。
4,387
お気に入りに追加
6,569
あなたにおすすめの小説

初夜に前世を思い出した悪役令嬢は復讐方法を探します。
豆狸
恋愛
「すまない、間違えたんだ」
「はあ?」
初夜の床で新妻の名前を元カノ、しかも新妻の異母妹、しかも新妻と婚約破棄をする原因となった略奪者の名前と間違えた?
脳に蛆でも湧いてんじゃないですかぁ?
なろう様でも公開中です。

【完結】で、私がその方に嫌がらせをする理由をお聞かせいただいても?
Debby
恋愛
キャナリィ・ウィスタリア侯爵令嬢とクラレット・メイズ伯爵令嬢は困惑していた。
最近何故か良く目にする平民の生徒──エボニーがいる。
とても可愛らしい女子生徒であるが視界の隅をウロウロしていたりジッと見られたりするため嫌でも目に入る。立場的に視線を集めることも多いため、わざわざ声をかけることでも無いと放置していた。
クラレットから自分に任せて欲しいと言われたことも理由のひとつだ。
しかし一度だけ声をかけたことを皮切りに身に覚えの無い噂が学園内を駆け巡る。
次期フロスティ公爵夫人として日頃から所作にも気を付けているキャナリィはそのような噂を信じられてしまうなんてと反省するが、それはキャナリィが婚約者であるフロスティ公爵令息のジェードと仲の良いエボニーに嫉妬しての所業だと言われ──
「私がその方に嫌がらせをする理由をお聞かせいただいても?」
そう問うたキャナリィは
「それはこちらの台詞だ。どうしてエボニーを執拗に苛めるのだ」
逆にジェードに問い返されたのだった。
★★★★★★
覗いて下さりありがとうございます。
女性向けHOTランキングで最高20位までいくことができました。(本編)
沢山の方に読んでいただけて嬉しかったので、続き?を書きました(*^^*)
★花言葉は「恋の勝利」
本編より過去→未来
ジェードとクラレットのお話
★ジェード様の憂鬱【読み切り】
ジェードの暗躍?(エボニーのお相手)のお話

【完結済】自由に生きたいあなたの愛を期待するのはもうやめました
鳴宮野々花@書籍2冊発売中
恋愛
伯爵令嬢クラウディア・マクラウドは長年の婚約者であるダミアン・ウィルコックス伯爵令息のことを大切に想っていた。結婚したら彼と二人で愛のある家庭を築きたいと夢見ていた。
ところが新婚初夜、ダミアンは言った。
「俺たちはまるっきり愛のない政略結婚をしたわけだ。まぁ仕方ない。あとは割り切って互いに自由に生きようじゃないか。」
そう言って愛人らとともに自由に過ごしはじめたダミアン。激しくショックを受けるクラウディアだったが、それでもひたむきにダミアンに尽くし、少しずつでも自分に振り向いて欲しいと願っていた。
しかしそんなクラウディアの思いをことごとく裏切り、鼻で笑うダミアン。
心が折れそうなクラウディアはそんな時、王国騎士団の騎士となった友人アーネスト・グレアム侯爵令息と再会する。
初恋の相手であるクラウディアの不幸せそうな様子を見て、どうにかダミアンから奪ってでも自分の手で幸せにしたいと考えるアーネスト。
そんなアーネストと次第に親密になり自分から心が離れていくクラウディアの様子を見て、急に焦り始めたダミアンは─────
(※※夫が酷い男なので序盤の数話は暗い話ですが、アーネストが出てきてからはわりとラブコメ風です。)(※※この物語の世界は作者独自の設定です。)

【完】婚約者に、気になる子ができたと言い渡されましたがお好きにどうぞ
さこの
恋愛
私の婚約者ユリシーズ様は、お互いの事を知らないと愛は芽生えないと言った。
そもそもあなたは私のことを何にも知らないでしょうに……。
二十話ほどのお話です。
ゆる設定の完結保証(執筆済)です( .ˬ.)"
ホットランキング入りありがとうございます
2021/08/08

女性として見れない私は、もう不要な様です〜俺の事は忘れて幸せになって欲しい。と言われたのでそうする事にした結果〜
流雲青人
恋愛
子爵令嬢のプレセアは目の前に広がる光景に静かに涙を零した。
偶然にも居合わせてしまったのだ。
学園の裏庭で、婚約者がプレセアの友人へと告白している場面に。
そして後日、婚約者に呼び出され告げられた。
「君を女性として見ることが出来ない」
幼馴染であり、共に過ごして来た時間はとても長い。
その中でどうやら彼はプレセアを友人以上として見れなくなってしまったらしい。
「俺の事は忘れて幸せになって欲しい。君は幸せになるべき人だから」
大切な二人だからこそ、清く身を引いて、大好きな人と友人の恋を応援したい。
そう思っている筈なのに、恋心がその気持ちを邪魔してきて...。
※
ゆるふわ設定です。
完結しました。

〈完結〉【書籍化&コミカライズ・取り下げ予定】記憶を失ったらあなたへの恋心も消えました。
ごろごろみかん。
恋愛
婚約者には、何よりも大切にしている義妹がいる、らしい。
ある日、私は階段から転がり落ち、目が覚めた時には全てを忘れていた。
対面した婚約者は、
「お前がどうしても、というからこの婚約を結んだ。そんなことも覚えていないのか」
……とても偉そう。日記を見るに、以前の私は彼を慕っていたらしいけれど。
「階段から転げ落ちた衝撃であなたへの恋心もなくなったみたいです。ですから婚約は解消していただいて構いません。今まで無理を言って申し訳ありませんでした」
今の私はあなたを愛していません。
気弱令嬢(だった)シャーロットの逆襲が始まる。
☆タイトルコロコロ変えてすみません、これで決定、のはず。
☆商業化が決定したため取り下げ予定です(完結まで更新します)
さよなら、皆さん。今宵、私はここを出ていきます
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【復讐の為、今夜私は偽の家族と婚約者に別れを告げる―】
私は伯爵令嬢フィーネ・アドラー。優しい両親と18歳になったら結婚する予定の婚約者がいた。しかし、幸せな生活は両親の突然の死により、もろくも崩れ去る。私の後見人になると言って城に上がり込んできた叔父夫婦とその娘。私は彼らによって全てを奪われてしまった。愛する婚約者までも。
もうこれ以上は限界だった。復讐する為、私は今夜皆に別れを告げる決意をした―。
※マークは残酷シーン有り
※(他サイトでも投稿中)

ある王国の王室の物語
朝山みどり
恋愛
平和が続くある王国の一室で婚約者破棄を宣言された少女がいた。カップを持ったまま下を向いて無言の彼女を国王夫妻、侯爵夫妻、王太子、異母妹がじっと見つめた。
顔をあげた彼女はカップを皿に置くと、レモンパイに手を伸ばすと皿に取った。
それから
「承知しました」とだけ言った。
ゆっくりレモンパイを食べるとお茶のおかわりを注ぐように侍女に合図をした。
それからバウンドケーキに手を伸ばした。
カクヨムで公開したものに手を入れたものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる