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第26話
偽りの女3(リアーシュ王国)
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「セナリアン!」
「パンプキンヌ嬢って言ってみてくださいよ、自分が何を言っているのか分からなくなるわ」
「パンプキンヌ嬢…ん、ん、ん」
マージナルとジョンラも、渋い顔をして耐えており、パンプキンヌの名前のせいで止まってしまった4人であった。
「はあ…ですからね、カフェならたまたま会って、お茶をしたと言えるからです」
「最低じゃないか。で、条件とは?」
「パンプキンヌ…なら」
セナリアンも、渋い顔で何とか耐えた。
「狭い部屋くらいの広さで、相手に自分の魔力を纏わせ、至近距離でその言葉を発すること、自分より魔力が強い者には掛からない。しかも、一生掛け続けなければならない。綻びが出たら、一気に違和感を感じてバレる」
「魅了とは違うのか?」
リスルートはそのようなことは、初めて聞いたので、ただ驚いた。
「ええ、魅了よりも解けやすく、老いのリスクはなく、簡単ではある。ただし、魔力もかなり消費するから、商人が説得力を持たすために使うくらいかしらね?」
「魔法省や、国としてはいいのか?」
今回のように悪意のある者が使っていたら、問題にはならないのか。
「先ほども言ったように、現実的ではないことは不可能なの。被害が出ると犯罪になるし、最近は商人も詐欺師ではない限りは使わないわね」
昔は使う者も多かったが、綻びも出やすいので、すぐに露呈する。その上、捕まってしまい、使う人がいなくなった魔術である。
「あの二人は、何を話しているんだ?」
「ドレスが欲しい、お姉様は意地悪だけど、私は姉妹だと認めて欲しいと思っているとか、親子鑑定を逃げたくせによく言うわ」
「効果があると思っているんだよな?」
「ええ、効いていると思っているわ」
ようやく一息ついて、4人はお茶を飲んでいると二人は帰るようで、いそいそと出てこうとしており、セナリアンはその様子をしっかりと見つめた。
「あっ、ふふふ、そういうことね」
「何だ?」
「ここではもう止めて置くわ。帰るみたいだから、私たちも帰りましょう」
「いや、笑った理由が知りたい」
リスルート殿下は、意外と欲しがりさんなことが分かった。
「多分、また先程のようになりますわよ」
「いや、気になって帰れない。腹に力を入れて、踏ん張ればいけるだろう、慣れるためにも!マージナル、ジョンラ殿いけるな?」
「「はい」」
マージナルとジョンラも、グッと姿勢を正した。
「知りませんからね?」
リスルートは、子どものようにしっかりと頷いた。
「色を変えているの。髪の毛も目の色も、ラヴァン嬢と同じにしているだけ」
「確かに珍しい色を揃えると、似ているように感じるだろうな」
「で、元の色が、あれよ、髪の毛はダークグリーン、目の色はオレンジ、顔は丸顔と言えば?」
リスルートとマージナル、ジョンラまでも、口が少し開いたまま、喋ると変な音が出るため腹に力を入れて、止まっている。
「ちょっと!おかしなことになっているわ、口を閉じて、落ち着いてちょうだい」
今度は肩で息をしており、セナリアンは三人はまるでトリオのように思えて来た。
「パンプキン…なんだな」
リスルートは、もはや疲労困憊という顔である。
「そう、パンプキンカラーだったのよ!命名はここからじゃないかしら?」
「付けた方が、好きでもあったかもしれないぞ」
「そうね、母親に会ったら聞いてみるわ」
「ホテルに帰ろう、思い切り笑いたい!」
「もう!殿下が言い出したんですからね」
4人は滞在先のホテルに戻り、セナリアンとジョンラは調査に出掛けた。
再び、興味津々のリスルートと、良いところを見せられなかったマージナルは、一緒に行きたいと言い出したが、本来の目的が違い、さすがに4人でぞろぞろと、動き回るわけにはいかないので、却下された。
そして、戻ったセナリアンとジョンラは調査書をまとめ、リアーシュ王国の国王であるヒューランジェに会いに向かった。
「パンプキンヌ嬢って言ってみてくださいよ、自分が何を言っているのか分からなくなるわ」
「パンプキンヌ嬢…ん、ん、ん」
マージナルとジョンラも、渋い顔をして耐えており、パンプキンヌの名前のせいで止まってしまった4人であった。
「はあ…ですからね、カフェならたまたま会って、お茶をしたと言えるからです」
「最低じゃないか。で、条件とは?」
「パンプキンヌ…なら」
セナリアンも、渋い顔で何とか耐えた。
「狭い部屋くらいの広さで、相手に自分の魔力を纏わせ、至近距離でその言葉を発すること、自分より魔力が強い者には掛からない。しかも、一生掛け続けなければならない。綻びが出たら、一気に違和感を感じてバレる」
「魅了とは違うのか?」
リスルートはそのようなことは、初めて聞いたので、ただ驚いた。
「ええ、魅了よりも解けやすく、老いのリスクはなく、簡単ではある。ただし、魔力もかなり消費するから、商人が説得力を持たすために使うくらいかしらね?」
「魔法省や、国としてはいいのか?」
今回のように悪意のある者が使っていたら、問題にはならないのか。
「先ほども言ったように、現実的ではないことは不可能なの。被害が出ると犯罪になるし、最近は商人も詐欺師ではない限りは使わないわね」
昔は使う者も多かったが、綻びも出やすいので、すぐに露呈する。その上、捕まってしまい、使う人がいなくなった魔術である。
「あの二人は、何を話しているんだ?」
「ドレスが欲しい、お姉様は意地悪だけど、私は姉妹だと認めて欲しいと思っているとか、親子鑑定を逃げたくせによく言うわ」
「効果があると思っているんだよな?」
「ええ、効いていると思っているわ」
ようやく一息ついて、4人はお茶を飲んでいると二人は帰るようで、いそいそと出てこうとしており、セナリアンはその様子をしっかりと見つめた。
「あっ、ふふふ、そういうことね」
「何だ?」
「ここではもう止めて置くわ。帰るみたいだから、私たちも帰りましょう」
「いや、笑った理由が知りたい」
リスルート殿下は、意外と欲しがりさんなことが分かった。
「多分、また先程のようになりますわよ」
「いや、気になって帰れない。腹に力を入れて、踏ん張ればいけるだろう、慣れるためにも!マージナル、ジョンラ殿いけるな?」
「「はい」」
マージナルとジョンラも、グッと姿勢を正した。
「知りませんからね?」
リスルートは、子どものようにしっかりと頷いた。
「色を変えているの。髪の毛も目の色も、ラヴァン嬢と同じにしているだけ」
「確かに珍しい色を揃えると、似ているように感じるだろうな」
「で、元の色が、あれよ、髪の毛はダークグリーン、目の色はオレンジ、顔は丸顔と言えば?」
リスルートとマージナル、ジョンラまでも、口が少し開いたまま、喋ると変な音が出るため腹に力を入れて、止まっている。
「ちょっと!おかしなことになっているわ、口を閉じて、落ち着いてちょうだい」
今度は肩で息をしており、セナリアンは三人はまるでトリオのように思えて来た。
「パンプキン…なんだな」
リスルートは、もはや疲労困憊という顔である。
「そう、パンプキンカラーだったのよ!命名はここからじゃないかしら?」
「付けた方が、好きでもあったかもしれないぞ」
「そうね、母親に会ったら聞いてみるわ」
「ホテルに帰ろう、思い切り笑いたい!」
「もう!殿下が言い出したんですからね」
4人は滞在先のホテルに戻り、セナリアンとジョンラは調査に出掛けた。
再び、興味津々のリスルートと、良いところを見せられなかったマージナルは、一緒に行きたいと言い出したが、本来の目的が違い、さすがに4人でぞろぞろと、動き回るわけにはいかないので、却下された。
そして、戻ったセナリアンとジョンラは調査書をまとめ、リアーシュ王国の国王であるヒューランジェに会いに向かった。
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