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第25話
閑話 氷のマドラー1
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「ただいま、戻りました~!!」
グロー公爵家別邸に、セナリアンの声が響いた。
まるでちょっとした出張?旅行?から帰って来たようではあるが、そうだとも言えるところではあるが、主は討伐である。
まず見ることのない、討伐帰りの次期公爵夫人である。
魔法省、陛下にも報告を行って、ようやく戻って来た。魔法省も、陛下もアンデション伯爵にお怒りであったが、マドラーをお土産に渡して帰った。
執事とメイド長が、すっかり主かのように飛んできて、ルセルとジュジュ、アマラを世話していたルラーラもやって来た。
「セナ様」「セナ様、おかえりなさいませ」
「おかあさま」「かあさま」
「かあ~」
ルセルは五歳、ジュジュは三歳、アマラはもうすぐ一歳になる。
「セナちゃん、お帰りなさい。お疲れ様」
「怪我もなく、元気に、ただいま戻りました!」
さてさてと執事とメイド長には、ドスンと土産とは呼べない量を渡し、ルセルとジュジュと、ルラーラとアマラと一緒に部屋に向かった。
「これ、面白いお土産」
セナリアンはマドラーを出し、ルセルとジュジュに見せた。既にメイドにボールと、グラスを用意して貰っている。
「なに?」
「なぁに?」
ルセルとジュジュは興味津々でセナリアンを見ている。ルラーラとアマラもグイっと、身を乗り出している。
セナリアンはボールを持って、マドラーで丸い氷を出して見せた。ゴロン、ゴロン、ゴロン…
「わあ!」
「ちゅごい」
「まあ!まん丸ね」
「あ~!」
「凄いでしょう?氷が出て来る魔道具なの、魔力を流さないようにして、このボタンを押すの。出来る?」
マドラーは魔石で動き、ボタンを押して、丸い氷が出て来るようになっている。
「うん!まりょくをだしたらどうなるの?」
「壊れてしまうわ」
「はい、セナ様は既にお一つ壊されました」
「ジョンラ~!ちょっとやってみただけじゃない」
既に魔力を流したらどうなるだろうかと、流してみたら、大破した。注意書きにもあったのだが、やってはいけないことをやってみたい衝動に駆られたのである。
「やってみたい」「みたい」
「ええ、お祖父さまや、お祖母様に氷を出してあげたらきっと喜ぶわ」
「まあ!それはとても嬉しいわね」
セナリアンはルセルとジュジュにマドラーを持たせて、目の前にボールを置いた。
「押すだけよ?」
「はい」「あい!」
ゴロン、ゴロン、ゴロン、ゴロン、ゴロン…
「できた!」「できた」
「まあ、上手に出来たわね!じゃあ、今度はグラスに3つ出せる?」
ゴロン、ゴロン、ゴロン…
「できたよ!」
「よく出来ました」
ゴロン…
ジュジュは4つ目を出して、4つ目はころころと転がってしまった。
「ちっぱいちた」
「じゃあ、もう一回」
「あい!」
ゴロン、ゴロン、ゴロン…
「できた」
「ええ、よく出来ました。それはルセルとジュジュのね!」
「いいの?」「くれりゅの?」
「ええ、お土産ね。名前を書いておきましょうか」
「はい!」「あい!」
セナリアンは一旦魔石を外して、マドラーに魔術を使って、名前を刻み、魔石を戻して、きちんと出るかも確認を行ったが、問題はなかった。
その様子に、ジョンラは既に構造を理解しているのだと感じた。
「これね、いずれは魔石を外して、僅かな魔力の練習に丁度いいと思うの」
「やはりそういうことでしたか」
壊したことにも、理由があったのだ。ルセルとジュジュは名前が入ったことで、さらに特別だと感じて、嬉しそうにしている。
「セナちゃん、私もやってみたいわ」
「ええ、勿論です。一本どうぞ」
さすがにルラーラは問題なく出すことが出来る。
「まあ、これは面白いわね~!」
ルラーラは子どもたちと一緒にはしゃいでおり、楽しそうな声が響き渡っていた。
「ぶ~!!」
一人ご不満だったのは、アマラである。
「アマラはちょっと、難しいんじゃないかしら?」
子どもたちは皆、魔力が多いので、間違えて流したら危険であると考えた。
グロー公爵家別邸に、セナリアンの声が響いた。
まるでちょっとした出張?旅行?から帰って来たようではあるが、そうだとも言えるところではあるが、主は討伐である。
まず見ることのない、討伐帰りの次期公爵夫人である。
魔法省、陛下にも報告を行って、ようやく戻って来た。魔法省も、陛下もアンデション伯爵にお怒りであったが、マドラーをお土産に渡して帰った。
執事とメイド長が、すっかり主かのように飛んできて、ルセルとジュジュ、アマラを世話していたルラーラもやって来た。
「セナ様」「セナ様、おかえりなさいませ」
「おかあさま」「かあさま」
「かあ~」
ルセルは五歳、ジュジュは三歳、アマラはもうすぐ一歳になる。
「セナちゃん、お帰りなさい。お疲れ様」
「怪我もなく、元気に、ただいま戻りました!」
さてさてと執事とメイド長には、ドスンと土産とは呼べない量を渡し、ルセルとジュジュと、ルラーラとアマラと一緒に部屋に向かった。
「これ、面白いお土産」
セナリアンはマドラーを出し、ルセルとジュジュに見せた。既にメイドにボールと、グラスを用意して貰っている。
「なに?」
「なぁに?」
ルセルとジュジュは興味津々でセナリアンを見ている。ルラーラとアマラもグイっと、身を乗り出している。
セナリアンはボールを持って、マドラーで丸い氷を出して見せた。ゴロン、ゴロン、ゴロン…
「わあ!」
「ちゅごい」
「まあ!まん丸ね」
「あ~!」
「凄いでしょう?氷が出て来る魔道具なの、魔力を流さないようにして、このボタンを押すの。出来る?」
マドラーは魔石で動き、ボタンを押して、丸い氷が出て来るようになっている。
「うん!まりょくをだしたらどうなるの?」
「壊れてしまうわ」
「はい、セナ様は既にお一つ壊されました」
「ジョンラ~!ちょっとやってみただけじゃない」
既に魔力を流したらどうなるだろうかと、流してみたら、大破した。注意書きにもあったのだが、やってはいけないことをやってみたい衝動に駆られたのである。
「やってみたい」「みたい」
「ええ、お祖父さまや、お祖母様に氷を出してあげたらきっと喜ぶわ」
「まあ!それはとても嬉しいわね」
セナリアンはルセルとジュジュにマドラーを持たせて、目の前にボールを置いた。
「押すだけよ?」
「はい」「あい!」
ゴロン、ゴロン、ゴロン、ゴロン、ゴロン…
「できた!」「できた」
「まあ、上手に出来たわね!じゃあ、今度はグラスに3つ出せる?」
ゴロン、ゴロン、ゴロン…
「できたよ!」
「よく出来ました」
ゴロン…
ジュジュは4つ目を出して、4つ目はころころと転がってしまった。
「ちっぱいちた」
「じゃあ、もう一回」
「あい!」
ゴロン、ゴロン、ゴロン…
「できた」
「ええ、よく出来ました。それはルセルとジュジュのね!」
「いいの?」「くれりゅの?」
「ええ、お土産ね。名前を書いておきましょうか」
「はい!」「あい!」
セナリアンは一旦魔石を外して、マドラーに魔術を使って、名前を刻み、魔石を戻して、きちんと出るかも確認を行ったが、問題はなかった。
その様子に、ジョンラは既に構造を理解しているのだと感じた。
「これね、いずれは魔石を外して、僅かな魔力の練習に丁度いいと思うの」
「やはりそういうことでしたか」
壊したことにも、理由があったのだ。ルセルとジュジュは名前が入ったことで、さらに特別だと感じて、嬉しそうにしている。
「セナちゃん、私もやってみたいわ」
「ええ、勿論です。一本どうぞ」
さすがにルラーラは問題なく出すことが出来る。
「まあ、これは面白いわね~!」
ルラーラは子どもたちと一緒にはしゃいでおり、楽しそうな声が響き渡っていた。
「ぶ~!!」
一人ご不満だったのは、アマラである。
「アマラはちょっと、難しいんじゃないかしら?」
子どもたちは皆、魔力が多いので、間違えて流したら危険であると考えた。
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