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第25話

破滅を抱いて眠れ3(セントリア王国)

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「ありがとうございます。本当に失礼しました」
「いいえ、私も言っていなかったのですから、お互い様ですよ?」
「私からも、お詫び申し上げます」

 見目の麗しい男性も、ルディーの横で深く頭を下げた。

「いいえ、もう謝るのは終わりにしましょう」
「ありがとうございます。あっ、彼は私の婚約者です」
「まあ!」
「申し遅れました、私は騎士団に所属しております、イェスペル・アンデションと申します」
「ご丁寧に」

 名前には引っ掛かりを感じたが、気にしないことにした。

「あの、ご迷惑でなければ、これから我が家で討伐のお疲れ会を兼ねて、食事会の予定なのですが、お二人もご一緒にいかがですか?他にも来ますし、堅苦しいものではありません」
「いいのかしら?」
「はい、よろしければ是非。ルディーも喜びます」
「はい!是非、お話ししたいです」

 ジョンラもセナリアンがルディーと話したいだろうと察していたので、是非参りましょうと、馬車で一緒に行くことになった。

 アンデション家の別邸に住んでいるというイェスペルは、ルディーの横でにこにことしており、ルディーは昨日は別の商品がちょうど切れそうだと納品に来たところで、氷が欲しいという父のために作ったものだったと、とても嬉しそうに話した。

「マドラーはね、子どもが喜ぶと思って」
「お子さんがいらっしゃるのですか」
「ええ、三人いるの」
「ええ、三人もいらっしゃるんですか!」

 ルディーは年齢を聞くつもりはなかったが、勝手に年下に見えていたので、目を見開き、驚いた。

「似てらっしゃいますか?」
「うーん、ほぼ夫に似てるわよね?」
「お嬢様は多少は似ておりますが…あまり似てはおりませんね」

 ルセルはセナリアンは色味だけで、マージナルにそっくり。ジュジュもアマラも、マージナルは似ていると言っているが、あまり似ているとは言えない。

「らしいわ」
「でも、きっと可愛いんでしょうね」

 ルディーは想像しているようで、セナリアンを見て、嬉しそうに微笑んでいる。

「そうね、あなたはどちらに似ているの?」
「見た目は母に似ていると言われるのですが、母は幼い頃に亡くなっているので、よく分からなくて…」
「性格はお父さんにそっくりじゃないか」
「そうなのよね、そこは自分でも自覚がある」

 ルディーはふふっと笑って、恥ずかしそうに笑顔を見せた。

「両親のそれぞれ半分ずつっていうものね。でも私はどうかしら?性格は母だと言われるけど、顔は伯母よね?」
「さようですね、父君はどこに身を潜めたのでしょう?」
「潜めてくれた方が良さそうだけどね」
「あっ、一つありますよ!お酒」
「あ―――!」

 セナリアンは伯母・リルラビエに実娘よりも似ており、性格は母親・ルシュベルに似ているようにコルロンド色が非常に強い。だが、お酒に関してだけは、ミミスより遥かに強いが、好きなところは同じである。

「お酒、好きなんですか?私も大好きです」
「まあ!気が合いそうね」
「はいっ!」
「お酒も沢山ありますので、是非たくさん飲んでください」
「では、お言葉に甘えて」
「そのようなことは言ってはなりません。邸の酒がなくなりますよ?」

 ジョンラが慌てて、イェスペルの言葉を否定した。

「何と…では、なくならない程度にお願いします」
「かしこまりました」

 そんな話をしている内に邸に着き、そこにはルディーの父親の商会員や、イェスペルの同僚が既に待っており、セナリアンは魔法省の魔術師だと話した。

 どうやら、セナリアンが来ているのも、魔物が時間差はあったものの、二ヶ所に現れたため、騎士団の討伐部隊が間に合わず、一ヶ所を任されたためでであった。

 ゆえに皆も調査に来たのかな?と思っており、まさか、セナリアンが片方の討伐をほぼ一人で行ったなどとは思っていない。いつもは今後のセントリア王国のことも考えて、酷い状況や、間に合わない場合以外は後方支援としている。

 セナリアンはルディーや同僚たちと魔道具のこと、討伐のことなどをお酒を飲みながら、楽しく聞いた。

 しかし、そこへイェスペルの兄である、エーランド・アンデションと従者ノデュエル・マイサがやって来たことで一変した。
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