206 / 228
第25話
破滅を抱いて眠れ3(セントリア王国)
しおりを挟む
「ありがとうございます。本当に失礼しました」
「いいえ、私も言っていなかったのですから、お互い様ですよ?」
「私からも、お詫び申し上げます」
見目の麗しい男性も、ルディーの横で深く頭を下げた。
「いいえ、もう謝るのは終わりにしましょう」
「ありがとうございます。あっ、彼は私の婚約者です」
「まあ!」
「申し遅れました、私は騎士団に所属しております、イェスペル・アンデションと申します」
「ご丁寧に」
名前には引っ掛かりを感じたが、気にしないことにした。
「あの、ご迷惑でなければ、これから我が家で討伐のお疲れ会を兼ねて、食事会の予定なのですが、お二人もご一緒にいかがですか?他にも来ますし、堅苦しいものではありません」
「いいのかしら?」
「はい、よろしければ是非。ルディーも喜びます」
「はい!是非、お話ししたいです」
ジョンラもセナリアンがルディーと話したいだろうと察していたので、是非参りましょうと、馬車で一緒に行くことになった。
アンデション家の別邸に住んでいるというイェスペルは、ルディーの横でにこにことしており、ルディーは昨日は別の商品がちょうど切れそうだと納品に来たところで、氷が欲しいという父のために作ったものだったと、とても嬉しそうに話した。
「マドラーはね、子どもが喜ぶと思って」
「お子さんがいらっしゃるのですか」
「ええ、三人いるの」
「ええ、三人もいらっしゃるんですか!」
ルディーは年齢を聞くつもりはなかったが、勝手に年下に見えていたので、目を見開き、驚いた。
「似てらっしゃいますか?」
「うーん、ほぼ夫に似てるわよね?」
「お嬢様は多少は似ておりますが…あまり似てはおりませんね」
ルセルはセナリアンは色味だけで、マージナルにそっくり。ジュジュもアマラも、マージナルは似ていると言っているが、あまり似ているとは言えない。
「らしいわ」
「でも、きっと可愛いんでしょうね」
ルディーは想像しているようで、セナリアンを見て、嬉しそうに微笑んでいる。
「そうね、あなたはどちらに似ているの?」
「見た目は母に似ていると言われるのですが、母は幼い頃に亡くなっているので、よく分からなくて…」
「性格はお父さんにそっくりじゃないか」
「そうなのよね、そこは自分でも自覚がある」
ルディーはふふっと笑って、恥ずかしそうに笑顔を見せた。
「両親のそれぞれ半分ずつっていうものね。でも私はどうかしら?性格は母だと言われるけど、顔は伯母よね?」
「さようですね、父君はどこに身を潜めたのでしょう?」
「潜めてくれた方が良さそうだけどね」
「あっ、一つありますよ!お酒」
「あ―――!」
セナリアンは伯母・リルラビエに実娘よりも似ており、性格は母親・ルシュベルに似ているようにコルロンド色が非常に強い。だが、お酒に関してだけは、ミミスより遥かに強いが、好きなところは同じである。
「お酒、好きなんですか?私も大好きです」
「まあ!気が合いそうね」
「はいっ!」
「お酒も沢山ありますので、是非たくさん飲んでください」
「では、お言葉に甘えて」
「そのようなことは言ってはなりません。邸の酒がなくなりますよ?」
ジョンラが慌てて、イェスペルの言葉を否定した。
「何と…では、なくならない程度にお願いします」
「かしこまりました」
そんな話をしている内に邸に着き、そこにはルディーの父親の商会員や、イェスペルの同僚が既に待っており、セナリアンは魔法省の魔術師だと話した。
どうやら、セナリアンが来ているのも、魔物が時間差はあったものの、二ヶ所に現れたため、騎士団の討伐部隊が間に合わず、一ヶ所を任されたためでであった。
ゆえに皆も調査に来たのかな?と思っており、まさか、セナリアンが片方の討伐をほぼ一人で行ったなどとは思っていない。いつもは今後のセントリア王国のことも考えて、酷い状況や、間に合わない場合以外は後方支援としている。
セナリアンはルディーや同僚たちと魔道具のこと、討伐のことなどをお酒を飲みながら、楽しく聞いた。
しかし、そこへイェスペルの兄である、エーランド・アンデションと従者ノデュエル・マイサがやって来たことで一変した。
「いいえ、私も言っていなかったのですから、お互い様ですよ?」
「私からも、お詫び申し上げます」
見目の麗しい男性も、ルディーの横で深く頭を下げた。
「いいえ、もう謝るのは終わりにしましょう」
「ありがとうございます。あっ、彼は私の婚約者です」
「まあ!」
「申し遅れました、私は騎士団に所属しております、イェスペル・アンデションと申します」
「ご丁寧に」
名前には引っ掛かりを感じたが、気にしないことにした。
「あの、ご迷惑でなければ、これから我が家で討伐のお疲れ会を兼ねて、食事会の予定なのですが、お二人もご一緒にいかがですか?他にも来ますし、堅苦しいものではありません」
「いいのかしら?」
「はい、よろしければ是非。ルディーも喜びます」
「はい!是非、お話ししたいです」
ジョンラもセナリアンがルディーと話したいだろうと察していたので、是非参りましょうと、馬車で一緒に行くことになった。
アンデション家の別邸に住んでいるというイェスペルは、ルディーの横でにこにことしており、ルディーは昨日は別の商品がちょうど切れそうだと納品に来たところで、氷が欲しいという父のために作ったものだったと、とても嬉しそうに話した。
「マドラーはね、子どもが喜ぶと思って」
「お子さんがいらっしゃるのですか」
「ええ、三人いるの」
「ええ、三人もいらっしゃるんですか!」
ルディーは年齢を聞くつもりはなかったが、勝手に年下に見えていたので、目を見開き、驚いた。
「似てらっしゃいますか?」
「うーん、ほぼ夫に似てるわよね?」
「お嬢様は多少は似ておりますが…あまり似てはおりませんね」
ルセルはセナリアンは色味だけで、マージナルにそっくり。ジュジュもアマラも、マージナルは似ていると言っているが、あまり似ているとは言えない。
「らしいわ」
「でも、きっと可愛いんでしょうね」
ルディーは想像しているようで、セナリアンを見て、嬉しそうに微笑んでいる。
「そうね、あなたはどちらに似ているの?」
「見た目は母に似ていると言われるのですが、母は幼い頃に亡くなっているので、よく分からなくて…」
「性格はお父さんにそっくりじゃないか」
「そうなのよね、そこは自分でも自覚がある」
ルディーはふふっと笑って、恥ずかしそうに笑顔を見せた。
「両親のそれぞれ半分ずつっていうものね。でも私はどうかしら?性格は母だと言われるけど、顔は伯母よね?」
「さようですね、父君はどこに身を潜めたのでしょう?」
「潜めてくれた方が良さそうだけどね」
「あっ、一つありますよ!お酒」
「あ―――!」
セナリアンは伯母・リルラビエに実娘よりも似ており、性格は母親・ルシュベルに似ているようにコルロンド色が非常に強い。だが、お酒に関してだけは、ミミスより遥かに強いが、好きなところは同じである。
「お酒、好きなんですか?私も大好きです」
「まあ!気が合いそうね」
「はいっ!」
「お酒も沢山ありますので、是非たくさん飲んでください」
「では、お言葉に甘えて」
「そのようなことは言ってはなりません。邸の酒がなくなりますよ?」
ジョンラが慌てて、イェスペルの言葉を否定した。
「何と…では、なくならない程度にお願いします」
「かしこまりました」
そんな話をしている内に邸に着き、そこにはルディーの父親の商会員や、イェスペルの同僚が既に待っており、セナリアンは魔法省の魔術師だと話した。
どうやら、セナリアンが来ているのも、魔物が時間差はあったものの、二ヶ所に現れたため、騎士団の討伐部隊が間に合わず、一ヶ所を任されたためでであった。
ゆえに皆も調査に来たのかな?と思っており、まさか、セナリアンが片方の討伐をほぼ一人で行ったなどとは思っていない。いつもは今後のセントリア王国のことも考えて、酷い状況や、間に合わない場合以外は後方支援としている。
セナリアンはルディーや同僚たちと魔道具のこと、討伐のことなどをお酒を飲みながら、楽しく聞いた。
しかし、そこへイェスペルの兄である、エーランド・アンデションと従者ノデュエル・マイサがやって来たことで一変した。
383
お気に入りに追加
1,530
あなたにおすすめの小説
誰にも信じてもらえなかった公爵令嬢は、もう誰も信じません。
salt
恋愛
王都で罪を犯した悪役令嬢との婚姻を結んだ、東の辺境伯地ディオグーン領を治める、フェイドリンド辺境伯子息、アルバスの懺悔と後悔の記録。
6000文字くらいで摂取するお手軽絶望バッドエンドです。
*なろう・pixivにも掲載しています。
王命を忘れた恋
須木 水夏
恋愛
『君はあの子よりも強いから』
そう言って貴方は私を見ることなく、この関係性を終わらせた。
強くいなければ、貴方のそばにいれなかったのに?貴方のそばにいる為に強くいたのに?
そんな痛む心を隠し。ユリアーナはただ静かに微笑むと、承知を告げた。
【完結】この運命を受け入れましょうか
なか
恋愛
「君のようは妃は必要ない。ここで廃妃を宣言する」
自らの夫であるルーク陛下の言葉。
それに対して、ヴィオラ・カトレアは余裕に満ちた微笑みで答える。
「承知しました。受け入れましょう」
ヴィオラにはもう、ルークへの愛など残ってすらいない。
彼女が王妃として支えてきた献身の中で、平民生まれのリアという女性に入れ込んだルーク。
みっともなく、情けない彼に対して恋情など抱く事すら不快だ。
だが聖女の素養を持つリアを、ルークは寵愛する。
そして貴族達も、莫大な益を生み出す聖女を妃に仕立てるため……ヴィオラへと無実の罪を被せた。
あっけなく信じるルークに呆れつつも、ヴィオラに不安はなかった。
これからの顛末も、打開策も全て知っているからだ。
前世の記憶を持ち、ここが物語の世界だと知るヴィオラは……悲運な運命を受け入れて彼らに意趣返す。
ふりかかる不幸を全て覆して、幸せな人生を歩むため。
◇◇◇◇◇
設定は甘め。
不安のない、さっくり読める物語を目指してます。
良ければ読んでくだされば、嬉しいです。
たとえ番でないとしても
豆狸
恋愛
「ディアナ王女、私が君を愛することはない。私の番は彼女、サギニなのだから」
「違います!」
私は叫ばずにはいられませんでした。
「その方ではありません! 竜王ニコラオス陛下の番は私です!」
──番だと叫ぶ言葉を聞いてもらえなかった花嫁の話です。
※1/4、短編→長編に変更しました。
幼妻は、白い結婚を解消して国王陛下に溺愛される。
秋月乃衣
恋愛
旧題:幼妻の白い結婚
13歳のエリーゼは、侯爵家嫡男のアランの元へ嫁ぐが、幼いエリーゼに夫は見向きもせずに初夜すら愛人と過ごす。
歩み寄りは一切なく月日が流れ、夫婦仲は冷え切ったまま、相変わらず夫は愛人に夢中だった。
そしてエリーゼは大人へと成長していく。
※近いうちに婚約期間の様子や、結婚後の事も書く予定です。
小説家になろう様にも掲載しています。
最愛の側妃だけを愛する旦那様、あなたの愛は要りません
abang
恋愛
私の旦那様は七人の側妃を持つ、巷でも噂の好色王。
後宮はいつでも女の戦いが絶えない。
安心して眠ることもできない後宮に、他の妃の所にばかり通う皇帝である夫。
「どうして、この人を愛していたのかしら?」
ずっと静観していた皇后の心は冷めてしまいう。
それなのに皇帝は急に皇后に興味を向けて……!?
「あの人に興味はありません。勝手になさい!」
【完結】愛も信頼も壊れて消えた
miniko
恋愛
「悪女だって噂はどうやら本当だったようね」
王女殿下は私の婚約者の腕にベッタリと絡み付き、嘲笑を浮かべながら私を貶めた。
無表情で吊り目がちな私は、子供の頃から他人に誤解される事が多かった。
だからと言って、悪女呼ばわりされる筋合いなどないのだが・・・。
婚約者は私を庇う事も、王女殿下を振り払うこともせず、困った様な顔をしている。
私は彼の事が好きだった。
優しい人だと思っていた。
だけど───。
彼の態度を見ている内に、私の心の奥で何か大切な物が音を立てて壊れた気がした。
※感想欄はネタバレ配慮しておりません。ご注意下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる