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第25話
破滅を抱いて眠れ2(セントリア王国)
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「誰だ?」
さすがに近付き過ぎている様子に、声を掛けることにした。
「すみません、お気付きでしたか?怪しい者ではございません。お誘いに参りました。お食事を、ご」
「お断りします」
「こちらは、」
「アンデション伯爵家でしょう?馬鹿にしてくれたものね」
セナリアンは非常に不快だと言う顔をして、ポンと消えた。そして、すぐさまシュサンル陛下に忠告を行った。
翌日、陛下に呼ばれたエーランド・アンデション。アンデション伯爵家、長男であり、嫡男である。陛下から召喚状が届き、慌てて参上した。
「なぜ、呼ばれたか分かるか」
「は!申し訳ありませんが、分かりかねます」
エーランドは、理由が分からないままであった。
「魔術師殿の後をつけたな、魔法省の者だと紹介があったはずだ。なぜそのようなこをした?」
「は!従者が声を掛けたことでしょうか」
ノデュエルに声を掛けさせたが、不愉快だという顔で断られたことを聞いていたが、陛下に呼ばれるほどではないと思っていた。
「お前の指示なのは分かっている」
「申し訳ありません、話をしてみたかったのです」
「仕事をしに来て貰っているのだ、不快な思いをしたから、もう来ないと言われたら困る人材だ。討伐をお前が代わりに全てやってくれるのか?」
確かに彼女の腕は素晴らしかった、だが陛下までも認識しているとは思っていなかった。エーランドは潔く謝るしか方法はなかった。
「申し訳ございません」
「分かるな?」
「はっ!大変、申し訳ありませんでした」
エーランドは関わらないと誓ったが、その後、セナリアンが彼の前に姿を現すことは一度もなかった。
それから十二年後―――。
セナリアンはセントリア王国で討伐を終え、ジョンラと共に土産を物色に街を散策していた。魔道具店で、目を引いたのは、氷の出るマドラーであった。試せるとあったので、試させて貰うと、コップにゴロンゴロンと丸い氷が面白いほど出る。
「これは面白いわね」
「よろしゅうございますね」
在庫を尋ねると、二十はあると言うので、全て購入することにした。
「いい買い物ができたわね」
「さようですね」
商品を待っていると、セナリアンと同世代くらいの赤茶色の髪色を一つにまとめ、深い緑の瞳をキラキラさせた女性がやって来て、『マドラーを、お買い上げありがとうございます』と、頭を下げた。
「あなたが作られたの?」
「はい、全部購入して頂いたと伺いました」
「買い占めちゃって、ごめんなさい」
「いいえ、嬉しいです」
彼女は歯を見せてにっこりと笑い、セナリアンも思わずつられて、微笑んだ。
「魔道具師ですか?」
「はい、生活魔道具を中心に作っております」
「とても面白くて、いい商品でした。とてもいい買い物が出来ました、ありがとう」
「こちらこそ、ありがとうございます」
二人の関係はここで終わるはずだったのだが、翌日、セナリアンは魔物の後処理を終えて、魔道具師に再会することなった。ジョンラは本当に偶然かと疑ったが、セナリアンの穏やかな様子に疑った自分を恥じた。
「あっ、昨日はありがとうございました」
「あら、魔道具師さん」
「はい、ルディー・モスカと申します」
「私は魔法省の魔術師なの」
名前は名乗らないという意味である。
「魔法省の方だったのですか!失礼いたしました」
ルディーも理解しているようで、過剰に不味いと思い、ペコペコ頭を下げている。ただ、これが魔法省への普通の態度である。
そこへ漆黒の髪色のゴールドの瞳の見目の麗しい男性がやって来て、親しげに頭を下げるルディーを覗き込んだ。
「ルディー、どうしたの?」
「イェスペル、昨日マドラーを全部購入して下さった方なの。魔法省の方だったのに、図々しく声を掛けてしまって、謝っていたところなの。ああ、また魔法省の方だと勝手に、申し訳ございません」
ルディーは慌てふためいてしまっており、頭を抱えてしまっている。
「構いませんよ」
セナリアンは全く不愉快な気持ちは持っておらず、穏やかに答えた。何か、企んでいるようなことがあれば、セナリアンが気付かないはずがないので、ジョンラも打って変わって、温かく見守っている。
さすがに近付き過ぎている様子に、声を掛けることにした。
「すみません、お気付きでしたか?怪しい者ではございません。お誘いに参りました。お食事を、ご」
「お断りします」
「こちらは、」
「アンデション伯爵家でしょう?馬鹿にしてくれたものね」
セナリアンは非常に不快だと言う顔をして、ポンと消えた。そして、すぐさまシュサンル陛下に忠告を行った。
翌日、陛下に呼ばれたエーランド・アンデション。アンデション伯爵家、長男であり、嫡男である。陛下から召喚状が届き、慌てて参上した。
「なぜ、呼ばれたか分かるか」
「は!申し訳ありませんが、分かりかねます」
エーランドは、理由が分からないままであった。
「魔術師殿の後をつけたな、魔法省の者だと紹介があったはずだ。なぜそのようなこをした?」
「は!従者が声を掛けたことでしょうか」
ノデュエルに声を掛けさせたが、不愉快だという顔で断られたことを聞いていたが、陛下に呼ばれるほどではないと思っていた。
「お前の指示なのは分かっている」
「申し訳ありません、話をしてみたかったのです」
「仕事をしに来て貰っているのだ、不快な思いをしたから、もう来ないと言われたら困る人材だ。討伐をお前が代わりに全てやってくれるのか?」
確かに彼女の腕は素晴らしかった、だが陛下までも認識しているとは思っていなかった。エーランドは潔く謝るしか方法はなかった。
「申し訳ございません」
「分かるな?」
「はっ!大変、申し訳ありませんでした」
エーランドは関わらないと誓ったが、その後、セナリアンが彼の前に姿を現すことは一度もなかった。
それから十二年後―――。
セナリアンはセントリア王国で討伐を終え、ジョンラと共に土産を物色に街を散策していた。魔道具店で、目を引いたのは、氷の出るマドラーであった。試せるとあったので、試させて貰うと、コップにゴロンゴロンと丸い氷が面白いほど出る。
「これは面白いわね」
「よろしゅうございますね」
在庫を尋ねると、二十はあると言うので、全て購入することにした。
「いい買い物ができたわね」
「さようですね」
商品を待っていると、セナリアンと同世代くらいの赤茶色の髪色を一つにまとめ、深い緑の瞳をキラキラさせた女性がやって来て、『マドラーを、お買い上げありがとうございます』と、頭を下げた。
「あなたが作られたの?」
「はい、全部購入して頂いたと伺いました」
「買い占めちゃって、ごめんなさい」
「いいえ、嬉しいです」
彼女は歯を見せてにっこりと笑い、セナリアンも思わずつられて、微笑んだ。
「魔道具師ですか?」
「はい、生活魔道具を中心に作っております」
「とても面白くて、いい商品でした。とてもいい買い物が出来ました、ありがとう」
「こちらこそ、ありがとうございます」
二人の関係はここで終わるはずだったのだが、翌日、セナリアンは魔物の後処理を終えて、魔道具師に再会することなった。ジョンラは本当に偶然かと疑ったが、セナリアンの穏やかな様子に疑った自分を恥じた。
「あっ、昨日はありがとうございました」
「あら、魔道具師さん」
「はい、ルディー・モスカと申します」
「私は魔法省の魔術師なの」
名前は名乗らないという意味である。
「魔法省の方だったのですか!失礼いたしました」
ルディーも理解しているようで、過剰に不味いと思い、ペコペコ頭を下げている。ただ、これが魔法省への普通の態度である。
そこへ漆黒の髪色のゴールドの瞳の見目の麗しい男性がやって来て、親しげに頭を下げるルディーを覗き込んだ。
「ルディー、どうしたの?」
「イェスペル、昨日マドラーを全部購入して下さった方なの。魔法省の方だったのに、図々しく声を掛けてしまって、謝っていたところなの。ああ、また魔法省の方だと勝手に、申し訳ございません」
ルディーは慌てふためいてしまっており、頭を抱えてしまっている。
「構いませんよ」
セナリアンは全く不愉快な気持ちは持っておらず、穏やかに答えた。何か、企んでいるようなことがあれば、セナリアンが気付かないはずがないので、ジョンラも打って変わって、温かく見守っている。
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