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第25話
破滅を抱いて眠れ1(セントリア王国)
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エメラルダ王国とは国交すらない、スクド大陸の一番端に位置し、異世界人を召還したと思っているアザンゼル王国と、兄妹の近親相姦のあったイバンナ王国と、残りの一つの国がセントリア王国である。
スクド大陸には、魔物と呼ばれる生物が現れることがあるが、一番多く住んでいると言われているのがこの国である。
セントリア王国は魔力は多いとも言えないが、スクド王国の三つの国の中では一番多く、数は少ないが多い者には魔力差が大きい国である。
セナリアンは調査をしたりということもあったが、もう一つは魔物の討伐。
基本的には人間と魔物が住んでいるとされる場所は離れているのだが、時折、魔物が侵入することがある。
ただ危険に晒されて、悪いことばかりではなく、魔物の素材を魔道具に活かして、大きくなった国でもある。
エメラルダとは友好国ではないが、魔法省に助けを求めることも多いため、セナリアンは度々赴いており、さすがに他の魔術師と桁違いであるために、王族の一部にだけ強い規制を掛けて、正体を明かしている。
明かした際に驚き目を見開いたが、納得することも多かった。
「正体を明かす理由は、面倒ごとから避けさせてもらいたいだけです」
「面倒ごと…?」
「こちらは多夫多妻を認めてらっしゃるでしょう?」
セントリア王国、特に敵視することはないのだが、セナリアンにとって、どうにも多夫多妻は理解できない。
「ああ、まだ結婚していないんだよな?」
「ええ、十歳ですから」
セナリアンの本当の姿は当然だが、見せていない。
「「「「じゅっさい!!」」」
「煩わしいことが起こるようなら、もう来ません!となるだけです」
「そ、それは困る」
「守ってくださいね?」
セナリアンは一人で対処する場合は、魔物の大きさに関わらず、基本は同じである。魔力を奪い、体の動きを止める、そうなれば魔物も動けず、何が何だか分からないまま始末されるか、拘束されてしまう。
「セナリアンにかかれば、魔物も形無しであるな」
「分かりませんよ、知能を付け、進化すれば分かりませんし、殺傷はしたくないのですがね」
「移住してきてもいいんだぞ」
「いえ、母国を愛しておりますから」
友好国ではないため、時折、お誘いをして来るが、実力行使に出ることはない。既に一度、お怒りを食らっているからである―――。
「エメラルダより、我が国の方が活かせるのではないか」
「エメラルダを愛している私に言っているのですか」
「それはそうであろうが、家族も一緒に来てもらってもいい。爵位だって同じ爵位を用意する」
「住むところ…」
セナリアンは首を傾け、皆が考えているのかと思ったが、すぐに緊張が走ることになった。
「人は殺さず、城と邸と、壊したらいいかしら?人は宝だものね?」
ひゅっと喉が鳴るのが聞こえる静寂だった。
「すまなかった、悪い冗談だった」
「ふふふ、冗談で終わらせて下さいね。いい大人なのですから、言っていいことと悪いこと、分かりますでしょう?」
「ああ、そうだな」
実行すれば、本当に住むところがなくなる。きっと命は奪わなかったでしょう?と言われるだけである。最悪、攻め滅ぼされる。ありがたいと受け取ることが、我々の役目だと思っている。
子どもが行っているのはさらに目に付くため、年齢を上げ、認識阻害を行っているため、国を離れればセナリアンを見付けだすことはできないが、国に滞在中となれば、見付けることは容易い。
目を付けたのはエーランド・アンデション。
「ノデュエル、妻にどうだ?」
「素晴らしい逸材ですが、私より強いのではありませんか?制御できませんよ」
答えたのは、従者であるノデュエル・マイサ。二人ともセントリア王国では、見目も良く、高い魔力を保有している。
「お前が?それはないだろう、とりあえず食事に誘ってみないか」
「確かにあのような力があれば。でも他の者もそう考えておるのではありませんか」
「それこそ制御できないと思って、手を出さぬだろう」
魔法省ということで、手を出そうという猛者はいないのだが、高位貴族の傲慢さが勝ってしまうことがある。セナリアンはつけられていることに気付いていたが、基本的に面倒なので目こぼしすることにしている。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
お読みいただきありがとうございます。
また、新しいお話となります。
次の話にも取り掛かっておりますので、
しばらくお付き合いいただければと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。
スクド大陸には、魔物と呼ばれる生物が現れることがあるが、一番多く住んでいると言われているのがこの国である。
セントリア王国は魔力は多いとも言えないが、スクド王国の三つの国の中では一番多く、数は少ないが多い者には魔力差が大きい国である。
セナリアンは調査をしたりということもあったが、もう一つは魔物の討伐。
基本的には人間と魔物が住んでいるとされる場所は離れているのだが、時折、魔物が侵入することがある。
ただ危険に晒されて、悪いことばかりではなく、魔物の素材を魔道具に活かして、大きくなった国でもある。
エメラルダとは友好国ではないが、魔法省に助けを求めることも多いため、セナリアンは度々赴いており、さすがに他の魔術師と桁違いであるために、王族の一部にだけ強い規制を掛けて、正体を明かしている。
明かした際に驚き目を見開いたが、納得することも多かった。
「正体を明かす理由は、面倒ごとから避けさせてもらいたいだけです」
「面倒ごと…?」
「こちらは多夫多妻を認めてらっしゃるでしょう?」
セントリア王国、特に敵視することはないのだが、セナリアンにとって、どうにも多夫多妻は理解できない。
「ああ、まだ結婚していないんだよな?」
「ええ、十歳ですから」
セナリアンの本当の姿は当然だが、見せていない。
「「「「じゅっさい!!」」」
「煩わしいことが起こるようなら、もう来ません!となるだけです」
「そ、それは困る」
「守ってくださいね?」
セナリアンは一人で対処する場合は、魔物の大きさに関わらず、基本は同じである。魔力を奪い、体の動きを止める、そうなれば魔物も動けず、何が何だか分からないまま始末されるか、拘束されてしまう。
「セナリアンにかかれば、魔物も形無しであるな」
「分かりませんよ、知能を付け、進化すれば分かりませんし、殺傷はしたくないのですがね」
「移住してきてもいいんだぞ」
「いえ、母国を愛しておりますから」
友好国ではないため、時折、お誘いをして来るが、実力行使に出ることはない。既に一度、お怒りを食らっているからである―――。
「エメラルダより、我が国の方が活かせるのではないか」
「エメラルダを愛している私に言っているのですか」
「それはそうであろうが、家族も一緒に来てもらってもいい。爵位だって同じ爵位を用意する」
「住むところ…」
セナリアンは首を傾け、皆が考えているのかと思ったが、すぐに緊張が走ることになった。
「人は殺さず、城と邸と、壊したらいいかしら?人は宝だものね?」
ひゅっと喉が鳴るのが聞こえる静寂だった。
「すまなかった、悪い冗談だった」
「ふふふ、冗談で終わらせて下さいね。いい大人なのですから、言っていいことと悪いこと、分かりますでしょう?」
「ああ、そうだな」
実行すれば、本当に住むところがなくなる。きっと命は奪わなかったでしょう?と言われるだけである。最悪、攻め滅ぼされる。ありがたいと受け取ることが、我々の役目だと思っている。
子どもが行っているのはさらに目に付くため、年齢を上げ、認識阻害を行っているため、国を離れればセナリアンを見付けだすことはできないが、国に滞在中となれば、見付けることは容易い。
目を付けたのはエーランド・アンデション。
「ノデュエル、妻にどうだ?」
「素晴らしい逸材ですが、私より強いのではありませんか?制御できませんよ」
答えたのは、従者であるノデュエル・マイサ。二人ともセントリア王国では、見目も良く、高い魔力を保有している。
「お前が?それはないだろう、とりあえず食事に誘ってみないか」
「確かにあのような力があれば。でも他の者もそう考えておるのではありませんか」
「それこそ制御できないと思って、手を出さぬだろう」
魔法省ということで、手を出そうという猛者はいないのだが、高位貴族の傲慢さが勝ってしまうことがある。セナリアンはつけられていることに気付いていたが、基本的に面倒なので目こぼしすることにしている。
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