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第24話
婚約者と貴重な公女14(ヨバス王国)
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「どうせエイベル殿下にも、自分の方が相応しいなどと思ったのだろう」
「だって、そうじゃない」
「どこがだ!しかも、グロー様にも言い寄って、何がしたいんだ…」
不確実な特性が影響していたのだろうが、オークレイリアはエイベルよりも、マージナルが好みだった。
「お前は幼子ではないのだぞ?お前に、この三通の手紙を受け取った時の私の気持ちが、お前に分かるか?血の気が引いたわ」
「でも、一通は公爵家でしょう?」
「王家からも信頼の厚い、公爵家だ」
オークレイリアは、王太子殿下の側近だと言っていたことを思い出していた。
「でも、妻はどうせ貴族令嬢でしょう?いくら、王太子妃様の妹だとしても」
「ふざけるな!一番怒らせてはならないのは、王太子妃殿下と奥方様だ」
「貴族令嬢じゃないの?」
「侯爵令嬢だ」
「だったら」
「コルロンド家、シャーロット・マクレガー様の血筋だ。奥方もコルロンドの魔術師でもあるそうだ。そのような方になんて失礼なことを…吐き気がするわ!」
「っ」
さすがにオークレイリアでも、シャーロット・マクレガーは知っていた。その血筋のコルロンド家が新しい病に対して、薬品をいち早く製造してくれるおかげで、イシュバン公国でも助かった命が沢山ある。
「薬を提供されなくなったら、どうする?お前に責任が取れるのか?」
「そ、それは…」
「お嬢さんは二十六歳の大人なのですから、自分で責任を果たすようにと書かれておった。さすが、ヨバス王国とエメラルダ王国であると思ったさ。黙って嫁ぐか、修道院の二択だ!」
オークレイリアは、聖女信仰の強い伯爵と結婚することになった。
特定の聖女を好んでいるわけではないのだが、聖女こそが全てであった。結婚は一度したのだが、離縁されており、その後は結婚していなかった。
我儘を言っても、だったら帰ればいいと言われて、戻って来たら最果ての修道院だと言われていたために、戻ることは出来ず、受け入れるしかなかった。
しかも、クリミナ皇国は閉鎖的であるために、他国の人間には冷たい。オークレイリアは、静かに過ごすしか生きて行く方法はなかった。
こうして、自称、貴重な公女は表舞台から姿を消した。
ヨバス王国はようやく、エイベル王太子殿下と、フランシス・ジリーヌの婚約と、一年後に結婚式を行うことを発表した。
喜ばしい雰囲気に包まれる中、両陛下とエイベルとフランシスに、どうしてオークレイリアはマージナルに一目会っただけなのに、あんな風になったのかという謎を残していた。
セナリアンは魔術は記録だけで一切使っていないと聞いており、珍しく役に立ったでしょうとだけ言った。正直、セナリアンに聞かれても分からないので、答えようもないのである。
ただ、効果は抜群であったことだけは間違いない。
そして、ジョンラとヒアルも作戦会議の時に、セナリアンに一つ気になっていたことがあった。
「セナ様、両陛下に赤黒い出来物の提案は、優しく言いましたね?少し、間がありました」
「そうです、私も気になっていました」
「目ざといわね、陛下も王妃陛下も上品でしょう?さすがにね…」
セナリアンも最初にポンと思い付いたことは、さすがに両陛下に口をすることを憚られ、頭から消し去った。
「本当は何だったのですか?」
「下品な事だったの」
「服が破れて、裸にするとかですか?」
「それは、何かしたと分かってしまうじゃない。私は地味なのが好きなのよ?」
「では、何ですか」
セナリアンは、誰にも言わずになかったことにしようと思っていた。
「ちょっと排泄物の香りをさせて、ハエを纏わせる…」
ジョンラとヒアルは、ああ…という顔をした。
「それはまさに、ううん、言わなくて正解です」
「それは言えませんね…」
「でしょう?さすがに言わなかったわよ?王城が臭くなるのも、問題だものね。だから、出来物にしたの」
「はい、よき判断でした」
「はい」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
お気に入りに入れていただいている皆様、誠にありがとうございました。
ヨバス王国編(2回目)はこれで終わりとさせていただきます。
次の話も清書を始めておりますので、
このまま17時から第25話を投稿させていただきます。
よろしくお願いいたします。
「だって、そうじゃない」
「どこがだ!しかも、グロー様にも言い寄って、何がしたいんだ…」
不確実な特性が影響していたのだろうが、オークレイリアはエイベルよりも、マージナルが好みだった。
「お前は幼子ではないのだぞ?お前に、この三通の手紙を受け取った時の私の気持ちが、お前に分かるか?血の気が引いたわ」
「でも、一通は公爵家でしょう?」
「王家からも信頼の厚い、公爵家だ」
オークレイリアは、王太子殿下の側近だと言っていたことを思い出していた。
「でも、妻はどうせ貴族令嬢でしょう?いくら、王太子妃様の妹だとしても」
「ふざけるな!一番怒らせてはならないのは、王太子妃殿下と奥方様だ」
「貴族令嬢じゃないの?」
「侯爵令嬢だ」
「だったら」
「コルロンド家、シャーロット・マクレガー様の血筋だ。奥方もコルロンドの魔術師でもあるそうだ。そのような方になんて失礼なことを…吐き気がするわ!」
「っ」
さすがにオークレイリアでも、シャーロット・マクレガーは知っていた。その血筋のコルロンド家が新しい病に対して、薬品をいち早く製造してくれるおかげで、イシュバン公国でも助かった命が沢山ある。
「薬を提供されなくなったら、どうする?お前に責任が取れるのか?」
「そ、それは…」
「お嬢さんは二十六歳の大人なのですから、自分で責任を果たすようにと書かれておった。さすが、ヨバス王国とエメラルダ王国であると思ったさ。黙って嫁ぐか、修道院の二択だ!」
オークレイリアは、聖女信仰の強い伯爵と結婚することになった。
特定の聖女を好んでいるわけではないのだが、聖女こそが全てであった。結婚は一度したのだが、離縁されており、その後は結婚していなかった。
我儘を言っても、だったら帰ればいいと言われて、戻って来たら最果ての修道院だと言われていたために、戻ることは出来ず、受け入れるしかなかった。
しかも、クリミナ皇国は閉鎖的であるために、他国の人間には冷たい。オークレイリアは、静かに過ごすしか生きて行く方法はなかった。
こうして、自称、貴重な公女は表舞台から姿を消した。
ヨバス王国はようやく、エイベル王太子殿下と、フランシス・ジリーヌの婚約と、一年後に結婚式を行うことを発表した。
喜ばしい雰囲気に包まれる中、両陛下とエイベルとフランシスに、どうしてオークレイリアはマージナルに一目会っただけなのに、あんな風になったのかという謎を残していた。
セナリアンは魔術は記録だけで一切使っていないと聞いており、珍しく役に立ったでしょうとだけ言った。正直、セナリアンに聞かれても分からないので、答えようもないのである。
ただ、効果は抜群であったことだけは間違いない。
そして、ジョンラとヒアルも作戦会議の時に、セナリアンに一つ気になっていたことがあった。
「セナ様、両陛下に赤黒い出来物の提案は、優しく言いましたね?少し、間がありました」
「そうです、私も気になっていました」
「目ざといわね、陛下も王妃陛下も上品でしょう?さすがにね…」
セナリアンも最初にポンと思い付いたことは、さすがに両陛下に口をすることを憚られ、頭から消し去った。
「本当は何だったのですか?」
「下品な事だったの」
「服が破れて、裸にするとかですか?」
「それは、何かしたと分かってしまうじゃない。私は地味なのが好きなのよ?」
「では、何ですか」
セナリアンは、誰にも言わずになかったことにしようと思っていた。
「ちょっと排泄物の香りをさせて、ハエを纏わせる…」
ジョンラとヒアルは、ああ…という顔をした。
「それはまさに、ううん、言わなくて正解です」
「それは言えませんね…」
「でしょう?さすがに言わなかったわよ?王城が臭くなるのも、問題だものね。だから、出来物にしたの」
「はい、よき判断でした」
「はい」
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お気に入りに入れていただいている皆様、誠にありがとうございました。
ヨバス王国編(2回目)はこれで終わりとさせていただきます。
次の話も清書を始めておりますので、
このまま17時から第25話を投稿させていただきます。
よろしくお願いいたします。
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