201 / 228
第24話
婚約者と貴重な公女12(ヨバス王国)
しおりを挟む
「「ありがとうございました」」
オークレイリアが慌てて帰って行き、セナリアンとマージナルは、両陛下の元へ向かった。エイベルとフランシスには、また夕食の際にと言って別れた。
「いえ、まだ向こうの対応を見てからですわよ?」
「ですが、もう我が国に来るようなことはないでしょう」
「それはそうですわね。我が国も、すぐに抗議を送ることでしょう」
「すぐですか?」
「ええ、先ほどの映像を送りましたので」
「さようでしたか…」
説明は不要、見たら分かるでしょう?という意味である。
「陛下たちとお父様とお母様の血圧が心配なくらいよね?」
「そうだな、父上と母上の血管が浮き上がって、罵詈雑言が飛び交っているはずだよ。王家もそうじゃないかな?勿論、セナのためにね」
「まあ、そうでしょうね」
まさにグロー公爵家では『何だと!』『どうしてやろうかしら』と怒り狂っており、王家でも両陛下とクーリットが、静かに怒りの炎は燃え、王妃陛下の扇子は真っ二つに折れていた。
「両陛下にも同じ物を、あと昨日のフランシス嬢の怪我の際の映像もございます。握手と診断書で証拠になるでしょう。抗議の際に一緒に送ってくださいませ」
記録の水晶を2つずつ、両陛下の前に置いた。
セナリアンは今回は何もしていないように見えて、実はしっかりと術式を展開して、記録を行っていた。
「さすが抜かりないことで、ありがとうございます」
「ヨバス王国からの方がいいと思いますので」
「講義の際に、一緒に送らせていただきます」
両陛下はセナリアンに頭を下げた。
二人は、簡単にセナリアンに頭を下げるので、何度か止めて欲しいと言ったのだが、感謝を伝えたいからだと受け入れることになっている。
「マージナル様もご迷惑をお掛けしました、ありがとうございました」
「いいえ、私はセナリアンに言われた通りにしたまででございます」
両陛下とマージナルは顔を合わせたことがある程度ではあるが、お互いセナリアンを通して話を聞いているので、すっかり前から知り合いの気分である。
「エイベル殿下は立派でしたわ、何だか嬉しく思いました」
「ありがとうございます」
「フランシス嬢も話すことが出来て、セナリアン様のおかげです」
両陛下はエイベルがしっかりと対応している姿に安堵し、フランシス嬢はやはり昨日のことを、エイベルに話していなかったようで、話すきっかけも作ってくださったことに、ただ感謝していた。
「いいえ、お二人は良き夫婦になることでしょう」
その後、夕食をご馳走になり、セナリアンとマージナル、ジョンラとヒアルはエメラルダ王国に戻った。
イシュバン公国には、エメラルダ王国の王家とグロー公爵家、そしてヨバス王国からも抗議文が届き、オークレイリアが戻る前には届いていた。
オークレイリアは、怒るではなく、諦めた様子の両陛下と兄に迎えられた。
「何をしたか分かっているな」
大公である父の重低音が、響き渡った。
「何と聞いているか分からないけど、誤解なの」
「何が誤解だ!」
「何て聞いているの?」
「自分で言ったらどうだ?分かっているんだろう?」
「それは…エイベル殿下とマージナル様に…」
どう言えば、怒られないか考えていたが、いい言葉が思いつかなかった。
「失礼な発言をしました」
「分かっていて言ったんだな?」
「でも、結婚するなら、私の方がいいはずでしょう?だから、目を覚まさせようと思って…キツイ言い方になってしまったとは思っているわ」
言い訳を聞くつもりのない大公は、事実を突きつけることにした。
「エメラルダ王国、エメラルダ王国のグロー公爵家、ヨバス王国から苦情が入った。庇う気もないが、お前はもう公女としては終わりだ」
「…」
どうしてヨバス王国からもとは思ったが、エイベルのことと、ホールで騒ぎを起こしたことだろうと思った。
オークレイリアが慌てて帰って行き、セナリアンとマージナルは、両陛下の元へ向かった。エイベルとフランシスには、また夕食の際にと言って別れた。
「いえ、まだ向こうの対応を見てからですわよ?」
「ですが、もう我が国に来るようなことはないでしょう」
「それはそうですわね。我が国も、すぐに抗議を送ることでしょう」
「すぐですか?」
「ええ、先ほどの映像を送りましたので」
「さようでしたか…」
説明は不要、見たら分かるでしょう?という意味である。
「陛下たちとお父様とお母様の血圧が心配なくらいよね?」
「そうだな、父上と母上の血管が浮き上がって、罵詈雑言が飛び交っているはずだよ。王家もそうじゃないかな?勿論、セナのためにね」
「まあ、そうでしょうね」
まさにグロー公爵家では『何だと!』『どうしてやろうかしら』と怒り狂っており、王家でも両陛下とクーリットが、静かに怒りの炎は燃え、王妃陛下の扇子は真っ二つに折れていた。
「両陛下にも同じ物を、あと昨日のフランシス嬢の怪我の際の映像もございます。握手と診断書で証拠になるでしょう。抗議の際に一緒に送ってくださいませ」
記録の水晶を2つずつ、両陛下の前に置いた。
セナリアンは今回は何もしていないように見えて、実はしっかりと術式を展開して、記録を行っていた。
「さすが抜かりないことで、ありがとうございます」
「ヨバス王国からの方がいいと思いますので」
「講義の際に、一緒に送らせていただきます」
両陛下はセナリアンに頭を下げた。
二人は、簡単にセナリアンに頭を下げるので、何度か止めて欲しいと言ったのだが、感謝を伝えたいからだと受け入れることになっている。
「マージナル様もご迷惑をお掛けしました、ありがとうございました」
「いいえ、私はセナリアンに言われた通りにしたまででございます」
両陛下とマージナルは顔を合わせたことがある程度ではあるが、お互いセナリアンを通して話を聞いているので、すっかり前から知り合いの気分である。
「エイベル殿下は立派でしたわ、何だか嬉しく思いました」
「ありがとうございます」
「フランシス嬢も話すことが出来て、セナリアン様のおかげです」
両陛下はエイベルがしっかりと対応している姿に安堵し、フランシス嬢はやはり昨日のことを、エイベルに話していなかったようで、話すきっかけも作ってくださったことに、ただ感謝していた。
「いいえ、お二人は良き夫婦になることでしょう」
その後、夕食をご馳走になり、セナリアンとマージナル、ジョンラとヒアルはエメラルダ王国に戻った。
イシュバン公国には、エメラルダ王国の王家とグロー公爵家、そしてヨバス王国からも抗議文が届き、オークレイリアが戻る前には届いていた。
オークレイリアは、怒るではなく、諦めた様子の両陛下と兄に迎えられた。
「何をしたか分かっているな」
大公である父の重低音が、響き渡った。
「何と聞いているか分からないけど、誤解なの」
「何が誤解だ!」
「何て聞いているの?」
「自分で言ったらどうだ?分かっているんだろう?」
「それは…エイベル殿下とマージナル様に…」
どう言えば、怒られないか考えていたが、いい言葉が思いつかなかった。
「失礼な発言をしました」
「分かっていて言ったんだな?」
「でも、結婚するなら、私の方がいいはずでしょう?だから、目を覚まさせようと思って…キツイ言い方になってしまったとは思っているわ」
言い訳を聞くつもりのない大公は、事実を突きつけることにした。
「エメラルダ王国、エメラルダ王国のグロー公爵家、ヨバス王国から苦情が入った。庇う気もないが、お前はもう公女としては終わりだ」
「…」
どうしてヨバス王国からもとは思ったが、エイベルのことと、ホールで騒ぎを起こしたことだろうと思った。
435
お気に入りに追加
1,518
あなたにおすすめの小説
好きでした、さようなら
豆狸
恋愛
「……すまない」
初夜の床で、彼は言いました。
「君ではない。私が欲しかった辺境伯令嬢のアンリエット殿は君ではなかったんだ」
悲しげに俯く姿を見て、私の心は二度目の死を迎えたのです。
なろう様でも公開中です。
王子妃だった記憶はもう消えました。
cyaru
恋愛
記憶を失った第二王子妃シルヴェーヌ。シルヴェーヌに寄り添う騎士クロヴィス。
元々は王太子であるセレスタンの婚約者だったにも関わらず、嫁いだのは第二王子ディオンの元だった。
実家の公爵家にも疎まれ、夫となった第二王子ディオンには愛する人がいる。
記憶が戻っても自分に居場所はあるのだろうかと悩むシルヴェーヌだった。
記憶を取り戻そうと動き始めたシルヴェーヌを支えるものと、邪魔するものが居る。
記憶が戻った時、それは、それまでの日常が崩れる時だった。
★1話目の文末に時間的流れの追記をしました(7月26日)
●ゆっくりめの更新です(ちょっと本業とダブルヘッダーなので)
●ルビ多め。鬱陶しく感じる方もいるかも知れませんがご了承ください。
敢えて常用漢字などの読み方を変えている部分もあります。
●作中の通貨単位はケラ。1ケラ=1円くらいの感じです。
♡注意事項~この話を読む前に~♡
※異世界の創作話です。時代設定、史実に基づいた話ではありません。リアルな世界の常識と混同されないようお願いします。
※心拍数や血圧の上昇、高血糖、アドレナリンの過剰分泌に責任はおえません。
※外道な作者の妄想で作られたガチなフィクションの上、ご都合主義です。
※架空のお話です。現実世界の話ではありません。登場人物、場所全て架空です。
※価値観や言葉使いなど現実世界とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
誰にも信じてもらえなかった公爵令嬢は、もう誰も信じません。
salt
恋愛
王都で罪を犯した悪役令嬢との婚姻を結んだ、東の辺境伯地ディオグーン領を治める、フェイドリンド辺境伯子息、アルバスの懺悔と後悔の記録。
6000文字くらいで摂取するお手軽絶望バッドエンドです。
*なろう・pixivにも掲載しています。
【完結】選ばれなかった王女は、手紙を残して消えることにした。
曽根原ツタ
恋愛
「お姉様、私はヴィンス様と愛し合っているの。だから邪魔者は――消えてくれない?」
「分かったわ」
「えっ……」
男が生まれない王家の第一王女ノルティマは、次の女王になるべく全てを犠牲にして教育を受けていた。
毎日奴隷のように働かされた挙句、将来王配として彼女を支えるはずだった婚約者ヴィンスは──妹と想いあっていた。
裏切りを知ったノルティマは、手紙を残して王宮を去ることに。
何もかも諦めて、崖から湖に飛び降りたとき──救いの手を差し伸べる男が現れて……?
★小説家になろう様で先行更新中
初夜に前世を思い出した悪役令嬢は復讐方法を探します。
豆狸
恋愛
「すまない、間違えたんだ」
「はあ?」
初夜の床で新妻の名前を元カノ、しかも新妻の異母妹、しかも新妻と婚約破棄をする原因となった略奪者の名前と間違えた?
脳に蛆でも湧いてんじゃないですかぁ?
なろう様でも公開中です。
最愛の側妃だけを愛する旦那様、あなたの愛は要りません
abang
恋愛
私の旦那様は七人の側妃を持つ、巷でも噂の好色王。
後宮はいつでも女の戦いが絶えない。
安心して眠ることもできない後宮に、他の妃の所にばかり通う皇帝である夫。
「どうして、この人を愛していたのかしら?」
ずっと静観していた皇后の心は冷めてしまいう。
それなのに皇帝は急に皇后に興味を向けて……!?
「あの人に興味はありません。勝手になさい!」
何を間違った?【完結済】
maruko
恋愛
私は長年の婚約者に婚約破棄を言い渡す。
彼女とは1年前から連絡が途絶えてしまっていた。
今真実を聞いて⋯⋯。
愚かな私の後悔の話
※作者の妄想の産物です
他サイトでも投稿しております
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる