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第24話
婚約者と貴重な公女11(ヨバス王国)
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そして、時は作戦会議まで遡る―――。
「発言をよろしいですか」
手を挙げたのは、セナリアンが両陛下と話をしている間、ずっと何やら考え込んでいたヒアルである。
「ああ、もちろんだ」
「セナ様が言ったように、公女も思っているという可能性はありませんか」
「言ったように?」
「初恋は自分だと…」
「まさか」
イリジム陛下は、そんな勝手な勘違いは起こるはずはないと驚いた。
「だからこそ、王太子殿下にあのような態度なのではありませんか?そうでなければ、あのような態度を取るでしょうか」
ヒアルは傲慢な公女だったとしても、自信のある様が引っ掛かっていた。
「可能性はありますね」
「スカイラ?」
イリジム陛下は、スカイラ王妃をなぜだという顔で見つめた。
「いえ、度を過ぎていると私も感じました。ですが、エイベルが許すだろうという前提であったならば」
「例えば、初恋の相手は年上だったとか聞いていたりしたら…」
「それだけで?」
「己惚れやすい者は、些細な事でも自分だと思い込むのです」
「そんな…」
自分の感覚の範疇を超えた、イリジム陛下はショックを受けた。
「エイベル殿下の犯人がそうであったではありませんか、思い込む者は自分の世界を作り上げるらしいですわよ?」
「ああ…そうでしたね」
「私も受け売りですけどね」
セナリアンも色恋沙汰は、受け売りやヒアルたちにフォローして貰っている。
「そうだとしたら、排除は簡単ではありませんか」
「確かに、自分ではないと気付かせれば、よろしいですわね」
「はい、プライドだけは高そうですから、折ってしまうか、恥ずかしい思いをさせてしまえばいいのですが…イシュバン公国にも、責任を取って貰う形にした方がよろしいのではありませんか」
今後、エイベル殿下とフランシスの婚約の発表もあるのだから、二度とこういったことがないようにという意味である。
「まあ、さすがヒアルね」
「恐れ入ります」
「結婚したい気持ちがあるのなら、やはりマージナルを利用しましょうか」
「ですが」
さすがにスカイラ王妃も、マージナルにまで手間を掛けることは気が引ける。
「今回の作戦には、向いていると思いますわ」
ジョンラとヒアルも、不確実な特性を知っているので、自分たちからは言えないが、確かにと頷いていた。
「私はいつも通り邪魔な妻になればいいのね?」
「セナ様は美しく着飾って、旅行にでも来たことにして、両陛下に招待されたと、普通に姿を現してしまえばいいのです。それだけで十分、威力があります」
ヒアルは強火信者であるために、セナリアンこそ最大の美しさだと思っている。ジョンラも同様であるために、隣で激しく頷いている。
「確かに、エイベルとは当分、会っておりませんでしょう?驚くと思います」
「でも、私、ピカピカにしても、既に3人の子持ちよ?」
「セナ様はお美しさは桁外れですよ!私が保証いたします。もし、足りないと感じるのであれば、後ろから花びらでも撒きましょうか?」
冗談で言っているのだが、やれと言えば本当にやるので、セナリアンはしっかり否定することにした。
「絶対に要らないわ。私が何もしなくてもマージナルがいれば、きっと上手く行くはずよ。そうすれば、グロー公爵家と、エメラルダ王国と、ヨバス王国からも、抗議が行くことになるわ。そうなれば?」
「終わりですわね」
「そこで、早く帰った方がいいのではないかと促すわ、それでも駄目なら赤黒い出来物を投与しましょう」
「「よろしくお願いいたします」」
こうやって、決まった作戦であった。その後、準備やマージナルに話を付けたり、王家に報告を行ってから、客人のような顔で現れたのである。
両陛下はセナリアンもいることから、エイベル殿下に対応させるのに丁度いいと、姿を見せないようにしていた。
だが、ホールでの出来事はこっそり見ており、セナリアンが言った通りになっていることに、ただ驚いていた。
「発言をよろしいですか」
手を挙げたのは、セナリアンが両陛下と話をしている間、ずっと何やら考え込んでいたヒアルである。
「ああ、もちろんだ」
「セナ様が言ったように、公女も思っているという可能性はありませんか」
「言ったように?」
「初恋は自分だと…」
「まさか」
イリジム陛下は、そんな勝手な勘違いは起こるはずはないと驚いた。
「だからこそ、王太子殿下にあのような態度なのではありませんか?そうでなければ、あのような態度を取るでしょうか」
ヒアルは傲慢な公女だったとしても、自信のある様が引っ掛かっていた。
「可能性はありますね」
「スカイラ?」
イリジム陛下は、スカイラ王妃をなぜだという顔で見つめた。
「いえ、度を過ぎていると私も感じました。ですが、エイベルが許すだろうという前提であったならば」
「例えば、初恋の相手は年上だったとか聞いていたりしたら…」
「それだけで?」
「己惚れやすい者は、些細な事でも自分だと思い込むのです」
「そんな…」
自分の感覚の範疇を超えた、イリジム陛下はショックを受けた。
「エイベル殿下の犯人がそうであったではありませんか、思い込む者は自分の世界を作り上げるらしいですわよ?」
「ああ…そうでしたね」
「私も受け売りですけどね」
セナリアンも色恋沙汰は、受け売りやヒアルたちにフォローして貰っている。
「そうだとしたら、排除は簡単ではありませんか」
「確かに、自分ではないと気付かせれば、よろしいですわね」
「はい、プライドだけは高そうですから、折ってしまうか、恥ずかしい思いをさせてしまえばいいのですが…イシュバン公国にも、責任を取って貰う形にした方がよろしいのではありませんか」
今後、エイベル殿下とフランシスの婚約の発表もあるのだから、二度とこういったことがないようにという意味である。
「まあ、さすがヒアルね」
「恐れ入ります」
「結婚したい気持ちがあるのなら、やはりマージナルを利用しましょうか」
「ですが」
さすがにスカイラ王妃も、マージナルにまで手間を掛けることは気が引ける。
「今回の作戦には、向いていると思いますわ」
ジョンラとヒアルも、不確実な特性を知っているので、自分たちからは言えないが、確かにと頷いていた。
「私はいつも通り邪魔な妻になればいいのね?」
「セナ様は美しく着飾って、旅行にでも来たことにして、両陛下に招待されたと、普通に姿を現してしまえばいいのです。それだけで十分、威力があります」
ヒアルは強火信者であるために、セナリアンこそ最大の美しさだと思っている。ジョンラも同様であるために、隣で激しく頷いている。
「確かに、エイベルとは当分、会っておりませんでしょう?驚くと思います」
「でも、私、ピカピカにしても、既に3人の子持ちよ?」
「セナ様はお美しさは桁外れですよ!私が保証いたします。もし、足りないと感じるのであれば、後ろから花びらでも撒きましょうか?」
冗談で言っているのだが、やれと言えば本当にやるので、セナリアンはしっかり否定することにした。
「絶対に要らないわ。私が何もしなくてもマージナルがいれば、きっと上手く行くはずよ。そうすれば、グロー公爵家と、エメラルダ王国と、ヨバス王国からも、抗議が行くことになるわ。そうなれば?」
「終わりですわね」
「そこで、早く帰った方がいいのではないかと促すわ、それでも駄目なら赤黒い出来物を投与しましょう」
「「よろしくお願いいたします」」
こうやって、決まった作戦であった。その後、準備やマージナルに話を付けたり、王家に報告を行ってから、客人のような顔で現れたのである。
両陛下はセナリアンもいることから、エイベル殿下に対応させるのに丁度いいと、姿を見せないようにしていた。
だが、ホールでの出来事はこっそり見ており、セナリアンが言った通りになっていることに、ただ驚いていた。
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