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第23話
向こう見ずな計画9
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「本人は分かるんじゃないか」
「元々、感じ取れないのだと思う。それが本人には当たり前だから」
「魔力のある人間になってみないと分からないということか…」
「でも魔力が使えないことで、おかしいとは思うはずなんだけど…隠したのかもしれないわね」
「そうだな、魔術師でもなければ、言わなければいいか」
魔術師なら問題となっただろうが、そこまでの魔力は持てないのかもしれない。
「他にも離縁ってこともあったんじゃないかと思って、陛下にも詳細を送って調べてもらってるわ。死産にされていたら、見付けるのは難しいかもしれないけど」
「確かに亡くなったことにされている可能性が高いな」
魔力がないことで死産にして、不貞だと思われて、離縁されていたら、さすがに分からないだろう。
「ええ、辛い思いをした子がいるかも、いたかもしれない。ポテトは既にスカスカの器だけど、伯爵家程度とされている方が問題だから、近日中に全ての水晶を組み直すわ!エラーではなく、テンポラリーね」
「はああ…何だか凄いことになったな」
たかが風紀と言っても、見過ごせるものではなかったが、思い切ってセナちゃんを頼って正解だったと言えるだろう。
「男児でも同じなのか?仮となるのか?」
「それもあるのよ、理論上はそうなんだけど、女性と違って初潮がないから、精通?の時なのか、元からないのか…徐々になくなるのか。ポテトにブロッコリーという弟でもいればねって話していたのよ」
「ブ、ブロッコリーなのか!」
ポテトに、ブロッコリー…
「添え物仲間ならブロッコリーだろうって皆がね、ふふふ」
「明日から彼女を見る度に思ってしまうな。親と共に呼び出すが、セナちゃんが説明を頼んでもいいかい?」
「ええ、陛下に許可を取って来るわ。目的が分かることが答えだと思ったら、まさかの結果よ。水晶の組み換えに大忙しだわ」
セナリアンもふうと、大仕事に溜息をついた。
「あと、ポテトがファウダンを狙った理由がもう一つあるの。彼女の両親が事故に遭ったのはリーズラー伯爵領のあの長雨なのよ」
「…それは、あれは予期せぬ災害だ、リーズラーは危機管理もしていたが、それ以上の災害だった。悪くないじゃないか」
「でも両親が亡くなった領のお嬢様だからね、恨んでいたのでしょうね…器は伯爵家までと言われていたはずなのに、侯爵家の妻になれるはずだと思い込んでいるのも、この影響が強いの。だからファウダンを狙って、違う意味で釣れたのだけど、ポテトはそう思っていない。だから、婚約も出来る訳がないのに、第一候補なんて言っているってこと」
「あまりに不気味でそこを忘れていたよ」
ポテトに伯爵家程度の器があっても、ファウダンは侯爵家である。
「私も侯爵家は無理だと分かっているはずなのに、どうしてなのかと思っていたのよ、でも繋がったわ」
「早い内に集めるようにする」
「ええ、それまでに問題を起こすようなら、謹慎にしておいて。先に水晶の組み直しをしなきゃいけないのに、これ以上、増やされてはたまらない」
「ああ、そうするよ。セナちゃん、本当にありがとう」
「いいえ、潜入してみて良かったわ。早く終わったもの」
翌日、ミシェルから小鳥便で手紙が届き、ジョンラが読み上げていた。
「ポテトは謹慎になったそうです」
「やらかしたの?」
「はい、リーズラー伯爵令嬢に婚約解消を勧めたようで、良かれと思って言ってるのと、上から目線で。それを偶然、聞いたクーリット様のご子息が貴族の婚約のことを、平民がなぜ口を出すのかと割って入って、校長に報告となったようで」
「シューリアン、やるじゃない!」
モルガン公爵家に言われれば、引き下がるしかないだろう。
「学園での生活はともかく、婚約に口を出すなどあり得ん!謹慎だと」
「まあその方がいいかもしれないわね、遅いくらいだけど。呼び出しは明後日に決まったそうです」
「分かったわ、陛下とクーリット殿からも、くれぐれもよろしくと言われたしね」
「元々、感じ取れないのだと思う。それが本人には当たり前だから」
「魔力のある人間になってみないと分からないということか…」
「でも魔力が使えないことで、おかしいとは思うはずなんだけど…隠したのかもしれないわね」
「そうだな、魔術師でもなければ、言わなければいいか」
魔術師なら問題となっただろうが、そこまでの魔力は持てないのかもしれない。
「他にも離縁ってこともあったんじゃないかと思って、陛下にも詳細を送って調べてもらってるわ。死産にされていたら、見付けるのは難しいかもしれないけど」
「確かに亡くなったことにされている可能性が高いな」
魔力がないことで死産にして、不貞だと思われて、離縁されていたら、さすがに分からないだろう。
「ええ、辛い思いをした子がいるかも、いたかもしれない。ポテトは既にスカスカの器だけど、伯爵家程度とされている方が問題だから、近日中に全ての水晶を組み直すわ!エラーではなく、テンポラリーね」
「はああ…何だか凄いことになったな」
たかが風紀と言っても、見過ごせるものではなかったが、思い切ってセナちゃんを頼って正解だったと言えるだろう。
「男児でも同じなのか?仮となるのか?」
「それもあるのよ、理論上はそうなんだけど、女性と違って初潮がないから、精通?の時なのか、元からないのか…徐々になくなるのか。ポテトにブロッコリーという弟でもいればねって話していたのよ」
「ブ、ブロッコリーなのか!」
ポテトに、ブロッコリー…
「添え物仲間ならブロッコリーだろうって皆がね、ふふふ」
「明日から彼女を見る度に思ってしまうな。親と共に呼び出すが、セナちゃんが説明を頼んでもいいかい?」
「ええ、陛下に許可を取って来るわ。目的が分かることが答えだと思ったら、まさかの結果よ。水晶の組み換えに大忙しだわ」
セナリアンもふうと、大仕事に溜息をついた。
「あと、ポテトがファウダンを狙った理由がもう一つあるの。彼女の両親が事故に遭ったのはリーズラー伯爵領のあの長雨なのよ」
「…それは、あれは予期せぬ災害だ、リーズラーは危機管理もしていたが、それ以上の災害だった。悪くないじゃないか」
「でも両親が亡くなった領のお嬢様だからね、恨んでいたのでしょうね…器は伯爵家までと言われていたはずなのに、侯爵家の妻になれるはずだと思い込んでいるのも、この影響が強いの。だからファウダンを狙って、違う意味で釣れたのだけど、ポテトはそう思っていない。だから、婚約も出来る訳がないのに、第一候補なんて言っているってこと」
「あまりに不気味でそこを忘れていたよ」
ポテトに伯爵家程度の器があっても、ファウダンは侯爵家である。
「私も侯爵家は無理だと分かっているはずなのに、どうしてなのかと思っていたのよ、でも繋がったわ」
「早い内に集めるようにする」
「ええ、それまでに問題を起こすようなら、謹慎にしておいて。先に水晶の組み直しをしなきゃいけないのに、これ以上、増やされてはたまらない」
「ああ、そうするよ。セナちゃん、本当にありがとう」
「いいえ、潜入してみて良かったわ。早く終わったもの」
翌日、ミシェルから小鳥便で手紙が届き、ジョンラが読み上げていた。
「ポテトは謹慎になったそうです」
「やらかしたの?」
「はい、リーズラー伯爵令嬢に婚約解消を勧めたようで、良かれと思って言ってるのと、上から目線で。それを偶然、聞いたクーリット様のご子息が貴族の婚約のことを、平民がなぜ口を出すのかと割って入って、校長に報告となったようで」
「シューリアン、やるじゃない!」
モルガン公爵家に言われれば、引き下がるしかないだろう。
「学園での生活はともかく、婚約に口を出すなどあり得ん!謹慎だと」
「まあその方がいいかもしれないわね、遅いくらいだけど。呼び出しは明後日に決まったそうです」
「分かったわ、陛下とクーリット殿からも、くれぐれもよろしくと言われたしね」
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