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第23話

向こう見ずな計画8

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「ポテトは隔世遺伝だと言っていたけど、魔力のない両親からは無理でしょう?調べたら母親に器があったの、クリミナの出だったわ」
「クリミナの?」

 クリミナとは、前にやって来た聖女ベラ・マックバスの母国で、聖女を崇めるクリミナ皇国である。

「ええ、そして父親はゼロ、全くないことが分かったの。生まれたのがポテト。これね、私ももし子どもを産む相手が選べたとしても、平民でもゼロの人は選べなかったのよ、私の場合はわずかでもあれば問題ないのだけど」
「ああ、子どもに関しては器が重要視される」
「そこでポテトよ、エラーにはならないし、生きることもエラーと違って問題はないの。魔力暴走が起こることもない。ただ器に関しては仮と言った方がいいの」
「まさか、なくなるのか?」

 そんな症例は今までなかったはずだ、なくなる者がいるとすれば、根底が覆されることになる。

「正直、実験でもしないと証明は出来ないけど、子どもを産める初潮を迎えるくらいには、魔力がなくなって、器だけになると思ってる」
「それはどういうことだい?」
「イメージするなら、エラーと同じように不出来な器と弱い魔力を持って生まれ、年齢が上がると器は不十分となって、魔力は維持できず、器はスカスカの状態ね。もし性行為によって魔力を注がれてもすり抜けて、定着しない。ただ相手はこれを感じ取れない」

 鑑定の出来る魔術師に現状のポテトを判定してもらったが、確かに問題ないと感じると結果も出ている。ここが最大の問題点である。

「感じ取れない?」
「スカスカでも器はあると判断されてしまうの」
「っな」

 だから症例として出て来なかったのか、おそらくシャーロット・マクレガーの血筋でなければ分からなかったということか。

「そして魔力を持たない子が生まれる」
「魔力を持たない…?もし、女の子なら器はどうなるんだい?」
「男の子でも女の子でも同じよ、魔力が維持が出来ないから、器もない。ただ何度も言うようだけど、本人も子どもも生きていくのに問題はないの。性欲モンスターになることもない、娼館向きの人材とでも言うべきかしらね。スカスカの器が、魔力のろ過のような役割になっていると言ったら分かりやすいわね。だからここまで問題にはならなかったのかもしれない」
「ろ過…そのようになるのか。平民ならなくても問題はない。でも、判定で魔力があって貴族に養子に入った者の中にいたら?」

 ポテトに養子縁組の話があった様に、魔力が多いからと、貴族に引き取られることはある。その中にポテトのような子がいたとしたら、結婚して、魔力を持たない子が生まれているかもしれないということか。

「そう。カサブランカが両親ともに問題がなかったのに、ない子が生まれたということがあったと、日記に書いていたの」
「カサブランカ様が?」
「ええ、妻子は夫に離縁されて、追い出されたのだけど、カサブランカが対応した時には、子どもは母親に殺されて、母親も自殺していたそうなの…」
「それは…」

 不貞だと判断されて、追い出され、心中してしまったのだろう。

「遅かったの。もしかしたら、同じだったのかもしれないわ、器持ちにゼロ魔力という、エメラルダ王国では極めてレアケースで、生きるのに問題はないはずだった。ただ度々魔力測定なんてしないし、早い内に婚約して問題ないとされていたら、再び受けることはないし、婚約をしていたら、結婚した時に再度受けることもない。そこで駄目だったなんてことになれば、酷いことになるわよね?」

 ゼロ魔力というのはエメラルダでは現在では多くいるが、以前は多くなかったため、ほとんど実例がない。さらに女性側に十分な器があることも条件となる。今後は増えるかもしれない案件である。
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