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第23話
向こう見ずな計画7
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「害はあるのか」
「そこなのよ、器に対して私の魔力の入る隙のある人に、分け与えた場合はいいのだけど、隙のない状態の人にやっても、無意味なの。しかも、ぐったりしちゃったのよ、いわゆる魔力過多ね。それをファウダンは効いていると思い込んでいる、おそらく隙なんて見えていないのでしょうね」
「そうだよな、セナちゃんは見えるけど、普通は見えるはずないもんな」
「ポテトはともかく、ソフィアの器にやり続けるのは危険だと思うわ」
ソフィアは爵位に見合った器の持ち主で、侯爵家の結婚相手にはなれないことは勿論、結婚相手はあまり魔力を持っていない相手が望ましいほどである。
「早い内に手を打たねばならんな。後の者も同じか」
「ミトイ、コミラン子爵令息は概ね同じね、ファウダンほどの熱量はないけど、そうなったら凄いなくらいの。あとポテトのことも可愛いとは思っている。平民の二人はポテトを介して、貴族と知り合いになれて鼻高々ってところね。食わせ物はノートね、彼はミリア・リーズラーのためだったわ」
「リーズラーの?」
「ええ、彼女の苦労を彼は知っていて、守るためにあの場にいるの。昔はノートとリーズラーは家族で親しかったそうだけど、借金で親に親しくするなと言われたようでね。不器用なやり方だけど…ポテトには興味はないわ」
「そうだったのか…」
教育者としては酷い話だが、貴族としてはそういったことはある。
変わらず力になるという貴族もいるのだが、お金がないから逃げていく者、お金はあっても借金という言葉は関わり合いたくないとされてしまう。
「そして、ポテトだけど、ファウダン、もしくはノートを狙っているの」
「は?」
「ちなみにソフィアのことはノートは探っているから、知っているけど、他は知らないの。もちろんポテトもね」
「自分を好いていると思っているのか」
「ええ、勘違いするには十分だけど、どちらもポテトのことなんて考えていない。子爵家の二人もさすがに妻にとは思っていない、ファウダンが飽きたらの愛人候補。平民の二人はどうせ貴族の妻にはなれないだろうから、妻にしてやるのもいいなって思っている。平民二人も魔力はゼロではない、でも平民だから子どもが魔力がなくても問題はないでしょうから、結婚相手として選ぶならこの二人なんだけど…ポテトは六人のせいで自分を酷く特別だと思っているみたいでね。はい、ファナ、物真似!」
ファナは「はい!いきます!」と手を挙げ、立ち上がると、体をくねくねしながら、何かが始まった。
「どうしよう、もちろん第一候補はロミック(ファウダン侯爵令息)でしょう、だって侯爵家だもん!でも真面目なラーリッツ(ノート伯爵令息)も溺愛してくれそうだから捨てがたいし、子爵家の二人はキープくんね、平民は論外だけど~お金は持っているみたいだし、貴族の勉強をしなくていいのは魅力なのよね~!本当なら王族とか~公爵家?なんかも狙いたいけど、さすがに魔力的にも無理だもんね、惚れられたら可哀そうだもんね~キャハッ」
キャハッの時は両手を拳にして、両頬の横に引っ付けて、やり切った。セナリアンは頷きながら拍手を送り、ジョンラも同じように続いた。
「さすがね!素晴らしかったわ」
「恐れ入ります!魔力だけではなく、脳味噌も腐って、流れ出してるんじゃないでしょうか」
「ちょっと否定できないわね…」
「これは若いからと、慈悲を与えるのを吹き消す威力があるな」
「ええ、相応の対処でいいと思います」
ミシェルはふうと息を吐き出した、何だかどっと疲れたように感じている。
「そして、ここからもう一つ、ポテトの器に興味深いことがあるの。ある意味、ここからの方が私には重要だったの」
「ん?」
「そこなのよ、器に対して私の魔力の入る隙のある人に、分け与えた場合はいいのだけど、隙のない状態の人にやっても、無意味なの。しかも、ぐったりしちゃったのよ、いわゆる魔力過多ね。それをファウダンは効いていると思い込んでいる、おそらく隙なんて見えていないのでしょうね」
「そうだよな、セナちゃんは見えるけど、普通は見えるはずないもんな」
「ポテトはともかく、ソフィアの器にやり続けるのは危険だと思うわ」
ソフィアは爵位に見合った器の持ち主で、侯爵家の結婚相手にはなれないことは勿論、結婚相手はあまり魔力を持っていない相手が望ましいほどである。
「早い内に手を打たねばならんな。後の者も同じか」
「ミトイ、コミラン子爵令息は概ね同じね、ファウダンほどの熱量はないけど、そうなったら凄いなくらいの。あとポテトのことも可愛いとは思っている。平民の二人はポテトを介して、貴族と知り合いになれて鼻高々ってところね。食わせ物はノートね、彼はミリア・リーズラーのためだったわ」
「リーズラーの?」
「ええ、彼女の苦労を彼は知っていて、守るためにあの場にいるの。昔はノートとリーズラーは家族で親しかったそうだけど、借金で親に親しくするなと言われたようでね。不器用なやり方だけど…ポテトには興味はないわ」
「そうだったのか…」
教育者としては酷い話だが、貴族としてはそういったことはある。
変わらず力になるという貴族もいるのだが、お金がないから逃げていく者、お金はあっても借金という言葉は関わり合いたくないとされてしまう。
「そして、ポテトだけど、ファウダン、もしくはノートを狙っているの」
「は?」
「ちなみにソフィアのことはノートは探っているから、知っているけど、他は知らないの。もちろんポテトもね」
「自分を好いていると思っているのか」
「ええ、勘違いするには十分だけど、どちらもポテトのことなんて考えていない。子爵家の二人もさすがに妻にとは思っていない、ファウダンが飽きたらの愛人候補。平民の二人はどうせ貴族の妻にはなれないだろうから、妻にしてやるのもいいなって思っている。平民二人も魔力はゼロではない、でも平民だから子どもが魔力がなくても問題はないでしょうから、結婚相手として選ぶならこの二人なんだけど…ポテトは六人のせいで自分を酷く特別だと思っているみたいでね。はい、ファナ、物真似!」
ファナは「はい!いきます!」と手を挙げ、立ち上がると、体をくねくねしながら、何かが始まった。
「どうしよう、もちろん第一候補はロミック(ファウダン侯爵令息)でしょう、だって侯爵家だもん!でも真面目なラーリッツ(ノート伯爵令息)も溺愛してくれそうだから捨てがたいし、子爵家の二人はキープくんね、平民は論外だけど~お金は持っているみたいだし、貴族の勉強をしなくていいのは魅力なのよね~!本当なら王族とか~公爵家?なんかも狙いたいけど、さすがに魔力的にも無理だもんね、惚れられたら可哀そうだもんね~キャハッ」
キャハッの時は両手を拳にして、両頬の横に引っ付けて、やり切った。セナリアンは頷きながら拍手を送り、ジョンラも同じように続いた。
「さすがね!素晴らしかったわ」
「恐れ入ります!魔力だけではなく、脳味噌も腐って、流れ出してるんじゃないでしょうか」
「ちょっと否定できないわね…」
「これは若いからと、慈悲を与えるのを吹き消す威力があるな」
「ええ、相応の対処でいいと思います」
ミシェルはふうと息を吐き出した、何だかどっと疲れたように感じている。
「そして、ここからもう一つ、ポテトの器に興味深いことがあるの。ある意味、ここからの方が私には重要だったの」
「ん?」
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