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第23話

向こう見ずな計画6

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「偽名というほど、大層なものではないのよ。スパイでもない。ただ本当の名前が、ふふふ、ポテト・ブブスラーって言うのよ!ふふふっ。バナーナもいたから、付けられた方がポテトが好きだったのかしらねぇ、捻りもないもの」
「ポテートもかなり厳しいです」
「ポーテトならどうかしら」
「いえ、どれも美味しく頂きたくなります」
「ポテト・ブブスラー…確かに真名を聞いた後ではフェアリー・ルピーはキツイな」

 ミシェルは元々怒ってはいなかったが、これは無理もないとうんうんと頷いた。ここに陛下たちがいたら、ファナの行動は信じられないと言うだろう。

「そうなのよ、皆に話したらおそらく真名が恥ずかしいから、偽名で通そうとしているのだろうと、平民は貴族と違って管理されていないから、願書に偽名を書いたのだろうと、養女の話もあったらしいの。でも断っているのはバレると思っているのだろうって。ここからはポテトかブブスラーと呼んでいいかしら」
「ああ、そうしてくれ」

 真名を聞いた後で、フェアリー・ルピーなど皆、耐えられない。

「それでファウダンの相手は男爵令嬢なの。キサン男爵令嬢であるソフィア」
「キサン男爵令嬢…」
「二人はこっそり交際していたわ。そして、ソフィアにはファウダンに対する器は無理なの。リーズラーとの解消をしないのはいつでも切れるからね、ソフィアと婚約が出来るようになるまでの繋ぎね」
「ならないだろう」

 いくら交際していても、器がどうにかなる話ではない。

「そうなの、でもここでポテトの出目が関わって来るの」
「出目?どういうことだい?」
「ミチェおじ様はどう聞いているの?」
「両親が亡くなってから孤児院、教会にいて、今は寮で暮らしていると…」

 貴族は繋がりがあることが多く、情報も得られやすいが、平民はそう言ったことは難しい。学園に提出した内容と、孤児院に入った経緯くらいしか分からなかった。

 だからこそ、ふざけた偽名も通ってしまったのだろう。

「それがポテトは一歳の時に魔力測定をした時は、魔力はほとんどなかったの。教会で確認も出来たわ。本人も親から平民だから関係ないけど、貴族との結婚は絶対に無理だと聞いたらしいの。これは裏が取れないから、そう信じ込んでいるだけかもしれない。でも両親が亡くなって受けた時には伯爵家までなら、あまりに多くない限りは可能な器だと判定されたと」
「まさかそれで器の強化が出来ると?」
「そういうことらしいわ。でもどうやって?ってなるじゃない?それが魔力を分けてもらったというのよ」
「は?」

 魔力を分けて貰って、器が強化されるのならば、発表されているはずだ。

「ポテトは幼い頃は体が弱くて、治癒術を何度か受けていたそうなの。その治癒術も使える方で、親しくなって何度か魔術を教わって、その方が出した魔術に何度も触れていたと、そのおかげではないかと。それをファウダンが聞いたってわけ」
「一応聞くが、あり得ないのだよな?」
「勿論、そんなことあったら既に実現しているわ。何で分からないのかしらね?」
「それでまさかソフィアに実践しているのか?」

 これでファウダンとソフィア、ポテトが繋がったということか。ポテトは恩を感じてか、情報を聞くために側に置いているというのだろうか。

「その通り!ソフィアに魔術師を体が弱いと言って、ファウダンが雇ってるみたい。そしてポテトにもね」
「ポテトにも?」
「そう、実験台としてなのか、ソフィアに頻繁には会えないから、ポテトで様子を見ているのか。試しに何人かの女性魔術師に私の魔力を分け与えてみたら、強くなったように感じるそうで、でも器が強化?されることはないの」

 セナリアンは治癒術も使えるので、同じことは出来る。
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