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第23話

向こう見ずな計画5

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「ご両親は亡くなっているのよね…」

 両親が生きていれば情報が得られるのだが、嘘でなければ、そこからの情報は期待出来ない。しかも、平民だと情報が少ないことが予想される。

「不埒者も現れていると聞いているけど、あなたたちは大丈夫?」
「はい、私たちは大丈夫でしたが、平民の女子生徒が貴族令息に言い寄られて、嫌な目に遭ったと聞きました。でも学園が対処してくれたそうです」
「それは良かったわ。ファウダン侯爵令息は、婚約は解消しないと言っているようなんだけど、目的は何だと思う?」
「愛人ではないでしょうか」
「私もそう思います」
「やっぱりあなたたち世代もそう思うわよね、う~ん」

 セナリアンは目的が、おそらくこの現象の答えだと思っている。とりあえず、潜入してから、足りない部分を補っていこうということになり、解散した。

 翌日からミルルは学校を休み、二人いることになってしまうので、その間は姿を見られないようにコルロンドに行くことになり、オリラは緊張で眠れなかった。

 領地でセナリアンが変装のために制服だけ変えてみると、皆に今でも現役ですぞなどと揶揄われ、マージナルに事情を話すと、制服姿が見たいと駄々をこねられ、見せない方が面倒だと見せると、きつくきつく抱きしめられて、最高だと言われて、かなり気持ち悪かった。

 ミルルに化けたセナリアンは魔術科にいたので、初めての貴族科のクラスに驚いたが、授業内容をミルルに伝えなくてはならないので、きちんと取り組んだ。

 ノエルには言っていなかったので、悪戯心で突撃もした。

「ノエル様?」
「ミルル嬢?」

 直接話すわけにはいかなかったので、念話を行った。

『あなたの優しいセナ姉様よ、ミルルの姿で風紀の乱れを、ミシェル・ハウソーラ様に頼まれて、潜入調査してるの。ここで問いたださないでね?』

「は?」
「ごきげんよう」

 ノエルはぽかーんとするしかなく、問いただすことも出来ず、悶々としたまま過ごすことになった。

 オリラも始めは本当にミルルではないのかと思うほどだったが、時折見せる眼差しで緊張が走り、姿は慣れ親しんだミルルの姿であるため、少しずつ調子を取り戻して、解説に勤しんだ。

 そして2日目でほとんど分かったと、入れ替わりは終了することとなった。

 オリラはホッとしたような、寂しい気持ちになったが、ミルルとオリラには何か私にできる程度のお願いなら聞くと言ったのだが、二人は唸りながら時間をくださいということとなった。決まったらコルロンドに知らせてと伝えて、セナリアンは裏取りに魔術師たちと動き回ることとなった。

 そして後日、二人の希望は一緒にお茶を飲みたいそうだと言われて、ガッチガチに緊張した三人きりでお茶会が行われ、ミルルとオリラは質問したいことメモを見ながら、セナリアンは質問に答えていった。

 ミシェルを呼び出したのは潜入が終わって、2日後のことであった。

 長くなるからお茶も好きな時にメイド長にお願いして、お菓子も摘まんでねと差し出し、ジョンラとファナも同席したが、楽な姿勢での報告会となった。

「まずファウダン侯爵令息の目的は、器を大きくする、いわゆる強化ね。強化なんて出来ないのだけど、強化したい相手がいるということ」
「それがフェアリー・ルピーなのか?だから婚約は解消しないと?」
「いえ、ルピーが相手ではないの」
「ルピーではない?」

 失礼極まりない状況で、ぷぷぷと噴き出したのはファナである。侯爵様、セナ様、よろしいですかと手を挙げた。

「フェアリー・ルピーがもう無理です」

 セナリアンもそうね、私も無理だわと言いながら、くすりと笑っていた。ミシェルは何のことだと首を傾げている。

「ミチェおじ様。実はね、フェアリー・ルピーって名前がデタラメなの」
「何だと!偽名なのか」
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