176 / 228
第23話
向こう見ずな計画5
しおりを挟む
「ご両親は亡くなっているのよね…」
両親が生きていれば情報が得られるのだが、嘘でなければ、そこからの情報は期待出来ない。しかも、平民だと情報が少ないことが予想される。
「不埒者も現れていると聞いているけど、あなたたちは大丈夫?」
「はい、私たちは大丈夫でしたが、平民の女子生徒が貴族令息に言い寄られて、嫌な目に遭ったと聞きました。でも学園が対処してくれたそうです」
「それは良かったわ。ファウダン侯爵令息は、婚約は解消しないと言っているようなんだけど、目的は何だと思う?」
「愛人ではないでしょうか」
「私もそう思います」
「やっぱりあなたたち世代もそう思うわよね、う~ん」
セナリアンは目的が、おそらくこの現象の答えだと思っている。とりあえず、潜入してから、足りない部分を補っていこうということになり、解散した。
翌日からミルルは学校を休み、二人いることになってしまうので、その間は姿を見られないようにコルロンドに行くことになり、オリラは緊張で眠れなかった。
領地でセナリアンが変装のために制服だけ変えてみると、皆に今でも現役ですぞなどと揶揄われ、マージナルに事情を話すと、制服姿が見たいと駄々をこねられ、見せない方が面倒だと見せると、きつくきつく抱きしめられて、最高だと言われて、かなり気持ち悪かった。
ミルルに化けたセナリアンは魔術科にいたので、初めての貴族科のクラスに驚いたが、授業内容をミルルに伝えなくてはならないので、きちんと取り組んだ。
ノエルには言っていなかったので、悪戯心で突撃もした。
「ノエル様?」
「ミルル嬢?」
直接話すわけにはいかなかったので、念話を行った。
『あなたの優しいセナ姉様よ、ミルルの姿で風紀の乱れを、ミシェル・ハウソーラ様に頼まれて、潜入調査してるの。ここで問いたださないでね?』
「は?」
「ごきげんよう」
ノエルはぽかーんとするしかなく、問いただすことも出来ず、悶々としたまま過ごすことになった。
オリラも始めは本当にミルルではないのかと思うほどだったが、時折見せる眼差しで緊張が走り、姿は慣れ親しんだミルルの姿であるため、少しずつ調子を取り戻して、解説に勤しんだ。
そして2日目でほとんど分かったと、入れ替わりは終了することとなった。
オリラはホッとしたような、寂しい気持ちになったが、ミルルとオリラには何か私にできる程度のお願いなら聞くと言ったのだが、二人は唸りながら時間をくださいということとなった。決まったらコルロンドに知らせてと伝えて、セナリアンは裏取りに魔術師たちと動き回ることとなった。
そして後日、二人の希望は一緒にお茶を飲みたいそうだと言われて、ガッチガチに緊張した三人きりでお茶会が行われ、ミルルとオリラは質問したいことメモを見ながら、セナリアンは質問に答えていった。
ミシェルを呼び出したのは潜入が終わって、2日後のことであった。
長くなるからお茶も好きな時にメイド長にお願いして、お菓子も摘まんでねと差し出し、ジョンラとファナも同席したが、楽な姿勢での報告会となった。
「まずファウダン侯爵令息の目的は、器を大きくする、いわゆる強化ね。強化なんて出来ないのだけど、強化したい相手がいるということ」
「それがフェアリー・ルピーなのか?だから婚約は解消しないと?」
「いえ、ルピーが相手ではないの」
「ルピーではない?」
失礼極まりない状況で、ぷぷぷと噴き出したのはファナである。侯爵様、セナ様、よろしいですかと手を挙げた。
「フェアリー・ルピーがもう無理です」
セナリアンもそうね、私も無理だわと言いながら、くすりと笑っていた。ミシェルは何のことだと首を傾げている。
「ミチェおじ様。実はね、フェアリー・ルピーって名前がデタラメなの」
「何だと!偽名なのか」
両親が生きていれば情報が得られるのだが、嘘でなければ、そこからの情報は期待出来ない。しかも、平民だと情報が少ないことが予想される。
「不埒者も現れていると聞いているけど、あなたたちは大丈夫?」
「はい、私たちは大丈夫でしたが、平民の女子生徒が貴族令息に言い寄られて、嫌な目に遭ったと聞きました。でも学園が対処してくれたそうです」
「それは良かったわ。ファウダン侯爵令息は、婚約は解消しないと言っているようなんだけど、目的は何だと思う?」
「愛人ではないでしょうか」
「私もそう思います」
「やっぱりあなたたち世代もそう思うわよね、う~ん」
セナリアンは目的が、おそらくこの現象の答えだと思っている。とりあえず、潜入してから、足りない部分を補っていこうということになり、解散した。
翌日からミルルは学校を休み、二人いることになってしまうので、その間は姿を見られないようにコルロンドに行くことになり、オリラは緊張で眠れなかった。
領地でセナリアンが変装のために制服だけ変えてみると、皆に今でも現役ですぞなどと揶揄われ、マージナルに事情を話すと、制服姿が見たいと駄々をこねられ、見せない方が面倒だと見せると、きつくきつく抱きしめられて、最高だと言われて、かなり気持ち悪かった。
ミルルに化けたセナリアンは魔術科にいたので、初めての貴族科のクラスに驚いたが、授業内容をミルルに伝えなくてはならないので、きちんと取り組んだ。
ノエルには言っていなかったので、悪戯心で突撃もした。
「ノエル様?」
「ミルル嬢?」
直接話すわけにはいかなかったので、念話を行った。
『あなたの優しいセナ姉様よ、ミルルの姿で風紀の乱れを、ミシェル・ハウソーラ様に頼まれて、潜入調査してるの。ここで問いたださないでね?』
「は?」
「ごきげんよう」
ノエルはぽかーんとするしかなく、問いただすことも出来ず、悶々としたまま過ごすことになった。
オリラも始めは本当にミルルではないのかと思うほどだったが、時折見せる眼差しで緊張が走り、姿は慣れ親しんだミルルの姿であるため、少しずつ調子を取り戻して、解説に勤しんだ。
そして2日目でほとんど分かったと、入れ替わりは終了することとなった。
オリラはホッとしたような、寂しい気持ちになったが、ミルルとオリラには何か私にできる程度のお願いなら聞くと言ったのだが、二人は唸りながら時間をくださいということとなった。決まったらコルロンドに知らせてと伝えて、セナリアンは裏取りに魔術師たちと動き回ることとなった。
そして後日、二人の希望は一緒にお茶を飲みたいそうだと言われて、ガッチガチに緊張した三人きりでお茶会が行われ、ミルルとオリラは質問したいことメモを見ながら、セナリアンは質問に答えていった。
ミシェルを呼び出したのは潜入が終わって、2日後のことであった。
長くなるからお茶も好きな時にメイド長にお願いして、お菓子も摘まんでねと差し出し、ジョンラとファナも同席したが、楽な姿勢での報告会となった。
「まずファウダン侯爵令息の目的は、器を大きくする、いわゆる強化ね。強化なんて出来ないのだけど、強化したい相手がいるということ」
「それがフェアリー・ルピーなのか?だから婚約は解消しないと?」
「いえ、ルピーが相手ではないの」
「ルピーではない?」
失礼極まりない状況で、ぷぷぷと噴き出したのはファナである。侯爵様、セナ様、よろしいですかと手を挙げた。
「フェアリー・ルピーがもう無理です」
セナリアンもそうね、私も無理だわと言いながら、くすりと笑っていた。ミシェルは何のことだと首を傾げている。
「ミチェおじ様。実はね、フェアリー・ルピーって名前がデタラメなの」
「何だと!偽名なのか」
480
お気に入りに追加
1,530
あなたにおすすめの小説
旦那様、離縁の申し出承りますわ
ブラウン
恋愛
「すまない、私はクララと生涯を共に生きていきたい。離縁してくれ」
大富豪 伯爵令嬢のケイトリン。
領地が災害に遭い、若くして侯爵当主なったロイドを幼少の頃より思いを寄せていたケイトリン。ロイド様を助けるため、性急な結婚を敢行。その為、旦那様は平民の女性に癒しを求めてしまった。この国はルメニエール信仰。一夫一妻。婚姻前の男女の行為禁止、婚姻中の不貞行為禁止の厳しい規律がある。旦那様は平民の女性と結婚したいがため、ケイトリンンに離縁を申し出てきた。
旦那様を愛しているがため、旦那様の領地のために、身を粉にして働いてきたケイトリン。
その後、階段から足を踏み外し、前世の記憶を思い出した私。
離縁に応じましょう!未練なし!どうぞ愛する方と結婚し末永くお幸せに!
*女性軽視の言葉が一部あります(すみません)
誰にも信じてもらえなかった公爵令嬢は、もう誰も信じません。
salt
恋愛
王都で罪を犯した悪役令嬢との婚姻を結んだ、東の辺境伯地ディオグーン領を治める、フェイドリンド辺境伯子息、アルバスの懺悔と後悔の記録。
6000文字くらいで摂取するお手軽絶望バッドエンドです。
*なろう・pixivにも掲載しています。
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
【完結】この運命を受け入れましょうか
なか
恋愛
「君のようは妃は必要ない。ここで廃妃を宣言する」
自らの夫であるルーク陛下の言葉。
それに対して、ヴィオラ・カトレアは余裕に満ちた微笑みで答える。
「承知しました。受け入れましょう」
ヴィオラにはもう、ルークへの愛など残ってすらいない。
彼女が王妃として支えてきた献身の中で、平民生まれのリアという女性に入れ込んだルーク。
みっともなく、情けない彼に対して恋情など抱く事すら不快だ。
だが聖女の素養を持つリアを、ルークは寵愛する。
そして貴族達も、莫大な益を生み出す聖女を妃に仕立てるため……ヴィオラへと無実の罪を被せた。
あっけなく信じるルークに呆れつつも、ヴィオラに不安はなかった。
これからの顛末も、打開策も全て知っているからだ。
前世の記憶を持ち、ここが物語の世界だと知るヴィオラは……悲運な運命を受け入れて彼らに意趣返す。
ふりかかる不幸を全て覆して、幸せな人生を歩むため。
◇◇◇◇◇
設定は甘め。
不安のない、さっくり読める物語を目指してます。
良ければ読んでくだされば、嬉しいです。
【完結】婚約者の義妹と恋に落ちたので婚約破棄した処、「妃教育の修了」を条件に結婚が許されたが結果が芳しくない。何故だ?同じ高位貴族だろう?
つくも茄子
恋愛
国王唯一の王子エドワード。
彼は婚約者の公爵令嬢であるキャサリンを公の場所で婚約破棄を宣言した。
次の婚約者は恋人であるアリス。
アリスはキャサリンの義妹。
愛するアリスと結婚するには「妃教育を修了させること」だった。
同じ高位貴族。
少し頑張ればアリスは直ぐに妃教育を終了させると踏んでいたが散々な結果で終わる。
八番目の教育係も辞めていく。
王妃腹でないエドワードは立太子が遠のく事に困ってしまう。
だが、エドワードは知らなかった事がある。
彼が事実を知るのは何時になるのか……それは誰も知らない。
他サイトにも公開中。
【完結】愛も信頼も壊れて消えた
miniko
恋愛
「悪女だって噂はどうやら本当だったようね」
王女殿下は私の婚約者の腕にベッタリと絡み付き、嘲笑を浮かべながら私を貶めた。
無表情で吊り目がちな私は、子供の頃から他人に誤解される事が多かった。
だからと言って、悪女呼ばわりされる筋合いなどないのだが・・・。
婚約者は私を庇う事も、王女殿下を振り払うこともせず、困った様な顔をしている。
私は彼の事が好きだった。
優しい人だと思っていた。
だけど───。
彼の態度を見ている内に、私の心の奥で何か大切な物が音を立てて壊れた気がした。
※感想欄はネタバレ配慮しておりません。ご注意下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる