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第23話

向こう見ずな計画2

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 ハウソーラ侯爵家にやって来たセナリアン。妻・ノーラルがルセルとジュジュとアマラを連れて来て欲しいと言い、別室で世話をして貰っている。かすかにノーラルと、メイドのきゃーかわいいという声が漏れ聞こえている。

「学園の風紀が乱れているんだよぉ」

 陛下たちが恐ろしいと言っていたミシェルだろうかと思うが、セナリアンにはこの調子なのである。

「風紀?」
「セナちゃん、何かいい案はないかのう?」
「ミチェおじ様、どう乱れているの?」
「あっ、ノエルくんは大丈夫だよ、問題なし」
「それは良かったわ」

 弟・ノエルが学園に通っているので、セナリアンの顔は一瞬険しくなったのだ。

 学園は五年制ではあるが、セナリアンのように十四歳から入学する者もいるが、十六歳から入学、または途中入学することも出来る。

 セナリアンは魔術科であったが、貴族は一年生は大体が貴族科を選び、二年生から変える者もいる。そして貴族と平民のクラスは学ぶことが違うため、全て別れているので、接点はない。

「三年生は最上級爵位は、クーリットのところの息子なんだが、あの子は心配ないのだよ、真面目で礼儀正しい。ノエルくんとも仲良しだしね。でもその下のファウダン侯爵の息子がおっての、婚約者がいるにも関わらず…」
「まさかあの平民だった娘が貴族になって、貴族らしさがないために惚れこんでしまうという怪現象ですか?」

 セナリアンは色恋沙汰に興味はないが、魔術師仲間から話だけは聞いている。

 物珍しさで関わるようになって、娘も調子に乗っていくそうだ。だが妻にするとなると話は変わって来る、下品で鼻つまみ者扱いの妻を恥ずかしく思うようになり、ようやく貴族らしさが必要だったと気付くことになるそうだ。

「ああ、ただ貴族ではなく魔力のある平民なんだよ」
「多いのですか?」
「測定によると伯爵家程度はあるようだ」
「魅了は学園は完全に消し去るようにしておりますから、問題はないはずですからね。まあ、使った時点で一発退場ですけども、報告は上がってませんわね。最近、ノエルと話してないから知らなかったわ」

 アマラの出産もあって、ノエルには会っても、じっくり話す時間はなかった。

「私もね、校長から連絡を受けて、儂が侯爵に注意もしたのだよ。侯爵も子息に説教して、失礼だから婚約も解消しようと言ったのだが、子息は婚約は解消しないと。フェアリー・ルピーという女生徒なのだが、そんな関係ではないと言い張るのだよ」
「婚約者は?」
「伯爵家の令嬢なのだが、リーズラー伯爵家と言えば」
「ああ、力がないから、発言権がないと」
「誰が悪いことでもない、よくやっているのだがね」

 リーズラー伯爵家は前当主が多額の借金を作ってしまったことにある。

 ただ理由は長雨の被害が一番酷く、様々な修繕が必要になり、さらに農作物のほとんどが駄目になってしまったのだ。おかげで領地を売ることになってしまった。現在は安定しているのだが、過去の借金はイメージダウンになる。

「他にも伯爵家、子爵家の令息、あとは平民もルピーと親しくしている」
「ねんごろな関係にも?」
「そこまでは分からない」
「普通に考えれば魔力もあるなら、愛人にするつもりなのでは?」
「ファウダン侯爵も聞いたのだが、子息は絶対にしないと言ったようでね」
「絶対?嘘なのか、別の思惑があるのかしら?」

 婚約を解消しないのならば、愛人するのだろうと考えるが、何だか気持ちが悪い。

「分からんのだ。それで、ほかの生徒にも影響を受けたようで、男女ともに婚約者をないがしろにする者、さらに男子生徒は平民なら声を掛けてもいいのではないかと、思うようになったようでな。これはセナちゃんにお知恵をと思ってね、ミチェルは呼んでしまったのだよ」
「私が潜入しましょうか」
「潜入かい?」
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