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第22話
召喚姫14(アザンゼル王国)
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副団長はスピナのマージナルへの恋慕に終止符を打つのもいいかとは思ったが、本当に大丈夫なのかとしきりに聞いていたが、スピナは手加減するから大丈夫だと自信満々であった。そして三人は使っていない練習場へ移動した。
セナリアンは前国王陛下には虫を払ってから参りますと、魔鳩を飛ばした。
「始め!」
スピナは火魔法を得意とし、力を貯めて、寸前で脅かしてやろうと思った。熱気と衝撃で吹っ飛ぶかもしれないが、ピスコート副団長が必ず怪我をさせないと念押ししていたので、支えてくれるだろうと余裕もあった。
私は魔力量が多かった、そこへマージナルが魔力量が多いと、婚姻に困るかもしれないと親戚の誰かが聞いて来た。
誰かが言った、困ったらスピナがマージナルの妻になればいいと。それはいいなと皆が笑っていた。ずっと片隅にマージナルがいるようになった。
マージナルが大人になるにつれ、女性が群がるようになっても、婚約者を置かないということはきっと見合った女性に会っていない。爵位は低いが、私がいずれそこに座るのだと、それなのにリリアンネ様との婚約が決まった。
確かに彼女はコルロンド家の血筋だ。器としても申し分ないだろう、諦めるしかないと思ったが、魔術師団に入った私は王太子殿下との婚約が内々に決まっていることが分かり、マージナルは護衛として婚約者の振りをしていることが分かった。
やっぱり私しかいないと思った。なのに!妹が出て来るとは思わなかった。リリアンネ様のように夜会にも茶会にも姿を現さない、影の薄い妹だった。リリアンネ様なら諦められた気持ちがどうして私では無いのかという気持ちが抑えられなかった。相応しくない、それが全てだった。
もう子どももいる、奪うことも、ましてや愛人なんてプライドが許さない。ぶちまけてやると放とうとした瞬間1ミリも動けない、声も出ないことに気付いた。脳と眼球と心臓だけが動いている、そんな感覚だった。
目の前のセナリアン・グローはゆっくり近付いて来ている。なぜ、まさか副団長が怖気付いて、拘束したのではないかと思ったが、特に変化はない。
「あまり近付いては危険です」
「じゃあ、この辺で勝敗を」
「えっ?」
「…う、う、う…」
スピナは声も上手く出せず、立ち尽くしていた。やってやる!と構えたまま動かないので、とても滑稽な姿である。
「さあ、勝敗を」
「スピナ動けないのか?」
「…は、い」
「…セナリアン・グロー様、一体…」
「見ての通り、動けなくしただけです。殴って勝敗を付けましょうか?」
セナリアンはジュシから剣術と体術の指導も受けているため、武力も行える。
「相手は魔術師団員です」
「申し上げたでしょう?私は魔術師団を受験していないと。お分かりいただけたかしら?二度はありませんわよ?では、子どもが待っておりますので、帰りますわね」
セナリアンは最後に「SIT」と告げ、スピナは犬のように座った。魔力は動けないほどなくなっていた。
「お前はなんて相手に喧嘩を売ったんだ…」
「…でも」
「彼女はコルロンド家の血筋だ。あの家は独自に魔術師を持っている」
「…でも魔力が…王太子妃殿下は魔術は全く…」
侮った理由はリリアンネだった、リリアンネは魔術師ではなく、セナリアンも王宮魔術師になっていないことから、良い血筋なのに勿体ないと馬鹿にしていた。
「レベルが違うということだろう。もう近付いてはいけない、分かったな」
「…はい」
スピナはようやくマージナルが婚約、結婚してから妬んでいた思いを沈み込ませることが出来た。1ミリも動けなかったこと、殺そうと思えば造作もなく殺せたのだ。次期公爵夫人として罵ることも罰を与えることも出来たのにしなかった、あの数分前の恥ずかしい驕りが情けなくて涙が零れた。
セナリアンは前国王陛下には虫を払ってから参りますと、魔鳩を飛ばした。
「始め!」
スピナは火魔法を得意とし、力を貯めて、寸前で脅かしてやろうと思った。熱気と衝撃で吹っ飛ぶかもしれないが、ピスコート副団長が必ず怪我をさせないと念押ししていたので、支えてくれるだろうと余裕もあった。
私は魔力量が多かった、そこへマージナルが魔力量が多いと、婚姻に困るかもしれないと親戚の誰かが聞いて来た。
誰かが言った、困ったらスピナがマージナルの妻になればいいと。それはいいなと皆が笑っていた。ずっと片隅にマージナルがいるようになった。
マージナルが大人になるにつれ、女性が群がるようになっても、婚約者を置かないということはきっと見合った女性に会っていない。爵位は低いが、私がいずれそこに座るのだと、それなのにリリアンネ様との婚約が決まった。
確かに彼女はコルロンド家の血筋だ。器としても申し分ないだろう、諦めるしかないと思ったが、魔術師団に入った私は王太子殿下との婚約が内々に決まっていることが分かり、マージナルは護衛として婚約者の振りをしていることが分かった。
やっぱり私しかいないと思った。なのに!妹が出て来るとは思わなかった。リリアンネ様のように夜会にも茶会にも姿を現さない、影の薄い妹だった。リリアンネ様なら諦められた気持ちがどうして私では無いのかという気持ちが抑えられなかった。相応しくない、それが全てだった。
もう子どももいる、奪うことも、ましてや愛人なんてプライドが許さない。ぶちまけてやると放とうとした瞬間1ミリも動けない、声も出ないことに気付いた。脳と眼球と心臓だけが動いている、そんな感覚だった。
目の前のセナリアン・グローはゆっくり近付いて来ている。なぜ、まさか副団長が怖気付いて、拘束したのではないかと思ったが、特に変化はない。
「あまり近付いては危険です」
「じゃあ、この辺で勝敗を」
「えっ?」
「…う、う、う…」
スピナは声も上手く出せず、立ち尽くしていた。やってやる!と構えたまま動かないので、とても滑稽な姿である。
「さあ、勝敗を」
「スピナ動けないのか?」
「…は、い」
「…セナリアン・グロー様、一体…」
「見ての通り、動けなくしただけです。殴って勝敗を付けましょうか?」
セナリアンはジュシから剣術と体術の指導も受けているため、武力も行える。
「相手は魔術師団員です」
「申し上げたでしょう?私は魔術師団を受験していないと。お分かりいただけたかしら?二度はありませんわよ?では、子どもが待っておりますので、帰りますわね」
セナリアンは最後に「SIT」と告げ、スピナは犬のように座った。魔力は動けないほどなくなっていた。
「お前はなんて相手に喧嘩を売ったんだ…」
「…でも」
「彼女はコルロンド家の血筋だ。あの家は独自に魔術師を持っている」
「…でも魔力が…王太子妃殿下は魔術は全く…」
侮った理由はリリアンネだった、リリアンネは魔術師ではなく、セナリアンも王宮魔術師になっていないことから、良い血筋なのに勿体ないと馬鹿にしていた。
「レベルが違うということだろう。もう近付いてはいけない、分かったな」
「…はい」
スピナはようやくマージナルが婚約、結婚してから妬んでいた思いを沈み込ませることが出来た。1ミリも動けなかったこと、殺そうと思えば造作もなく殺せたのだ。次期公爵夫人として罵ることも罰を与えることも出来たのにしなかった、あの数分前の恥ずかしい驕りが情けなくて涙が零れた。
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