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第22話
召喚姫12(アザンゼル王国)
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「映像でシュティという女性との繋がりは見えないのか?」
「生身ではないものですから、強い縁しか見えないため、夫は分かりませんが、子どもはおらず、両親は亡くなっていることくらいしか分かりませんでした…どちらにせよ、シュティは亡くなっているのです」
「そうか、知らせたところで中身は別人か…知らせるべきなのか?」
おそらくレイ・スズキの体は、シュティ・ハルシュトレームだと言っても、信じないか、説明するにも難しい。
「今日帰るならば、もうアザンゼルに任せた方がいいでしょう」
レイ・スズキが戻ると言ったため、アザンゼル側もすぐに帰る予定にして、本日帰国する予定である。
「いずれシュティの知り合いが見付かるかもしれませんが、レイ・スズキには分からないでしょう。だからこそ、あのちぐはぐな体となったのではないかと思います」
「確かに、説明が付くな」
器がないのに魔力は使える、アザンゼル人だからこそだったのかもしれない。
「思い込みですよね、私たちはニホン?から来たという言葉から、ニホンの人だと思った。だが、アザンゼル人の体のニホンの人なんです」
「そうなるな、言う必要もないか…器のことは伝えたしな」
アザンゼル側には既にエメラルダでは器がないと判断したこと、魔力を持った相手と、性行為を行うと、どうなるか予期出来ないと話してある。
子どもを作って、聖女を増やそうとしていたならば、頓挫するか、それでも行ってみるか、魔力のない者を宛がうかはアザンゼルとレイ・スズキが決めればいい。
「もし戻すとなったとしても、レイ・スズキの身体が、どうなっているのか分かりませんので、戻りたい様子がなくて良かったかもしれません」
「既に魂だけになっていたら、戻るところがないということか…」
帰りたいと言って召喚を行っていたら、どうなっていたのだろうか。興味はあるが、異世界から人を召喚するなど、あり得ないと考えるべきだ。
「召喚術も生贄ほどではなかったですが、魔力を溜めて行ったようです。正直、あの魔力量でよく成功したなというものでしたので、おそらく召喚したのは魂だけだった。もしくはたまたま引き寄せられた魂だったのかと考えます。王宮で行ったのに、森で発見っておかしいでしょう?」
「確かにそうだな…」
召喚術を行ったところに現れるべき存在が、森で発見されていることから、完全ではないことが伺える。
「とりあえず私自身はこれ以上は調べませんが、魔法省には報告を上げておきます。あちらも処罰をするべきか、微妙なことになると思いますけど」
「魂だけだからな。シュティが逃げて来たような様子も引っかかるし、体のことは聞かずに、下手に触らぬ方がいいかもしれぬな」
「私もそう思います」
陛下がそういうと皆、こくこくと小さく頷いている。
「あと共通点は年齢が同じなんですよね」
「そうなのか?」
「魂と体が合致したのかもしれません」
殿下とマージナルはレイ・スズキをアザンゼル王国に送り出しに行き、陛下、クリコット、ロジェールは自分の仕事に戻った。
報告の前に偶然会った前国王陛下に、帰りにお茶をして行きなさいと言われており、歩いていたセナリアンに、声を掛けたのはスピナ・サンドリアだった。
「魔術師団のスピナ・サンドリアです。マージナルとは遠い親戚になるのよ」
「…はあ」
スピナ・サンドリアは子爵令嬢で、先祖返りではなく、時期公爵夫人でも、侯爵令嬢だったとしても、不敬も甚だしい行動である。
「マージナルの妻は血筋だけで選ばれたって分かってらっしゃるの?」
「血筋?」
「マージナルの婚約者は元々私だったのはご存知?」
「いえ、存じ上げませんが」
マージナルの調査書にスピナの名はなかった。ゆえに何だこいつという反応になってしまっている。そして、早くお茶が飲みたい。
「生身ではないものですから、強い縁しか見えないため、夫は分かりませんが、子どもはおらず、両親は亡くなっていることくらいしか分かりませんでした…どちらにせよ、シュティは亡くなっているのです」
「そうか、知らせたところで中身は別人か…知らせるべきなのか?」
おそらくレイ・スズキの体は、シュティ・ハルシュトレームだと言っても、信じないか、説明するにも難しい。
「今日帰るならば、もうアザンゼルに任せた方がいいでしょう」
レイ・スズキが戻ると言ったため、アザンゼル側もすぐに帰る予定にして、本日帰国する予定である。
「いずれシュティの知り合いが見付かるかもしれませんが、レイ・スズキには分からないでしょう。だからこそ、あのちぐはぐな体となったのではないかと思います」
「確かに、説明が付くな」
器がないのに魔力は使える、アザンゼル人だからこそだったのかもしれない。
「思い込みですよね、私たちはニホン?から来たという言葉から、ニホンの人だと思った。だが、アザンゼル人の体のニホンの人なんです」
「そうなるな、言う必要もないか…器のことは伝えたしな」
アザンゼル側には既にエメラルダでは器がないと判断したこと、魔力を持った相手と、性行為を行うと、どうなるか予期出来ないと話してある。
子どもを作って、聖女を増やそうとしていたならば、頓挫するか、それでも行ってみるか、魔力のない者を宛がうかはアザンゼルとレイ・スズキが決めればいい。
「もし戻すとなったとしても、レイ・スズキの身体が、どうなっているのか分かりませんので、戻りたい様子がなくて良かったかもしれません」
「既に魂だけになっていたら、戻るところがないということか…」
帰りたいと言って召喚を行っていたら、どうなっていたのだろうか。興味はあるが、異世界から人を召喚するなど、あり得ないと考えるべきだ。
「召喚術も生贄ほどではなかったですが、魔力を溜めて行ったようです。正直、あの魔力量でよく成功したなというものでしたので、おそらく召喚したのは魂だけだった。もしくはたまたま引き寄せられた魂だったのかと考えます。王宮で行ったのに、森で発見っておかしいでしょう?」
「確かにそうだな…」
召喚術を行ったところに現れるべき存在が、森で発見されていることから、完全ではないことが伺える。
「とりあえず私自身はこれ以上は調べませんが、魔法省には報告を上げておきます。あちらも処罰をするべきか、微妙なことになると思いますけど」
「魂だけだからな。シュティが逃げて来たような様子も引っかかるし、体のことは聞かずに、下手に触らぬ方がいいかもしれぬな」
「私もそう思います」
陛下がそういうと皆、こくこくと小さく頷いている。
「あと共通点は年齢が同じなんですよね」
「そうなのか?」
「魂と体が合致したのかもしれません」
殿下とマージナルはレイ・スズキをアザンゼル王国に送り出しに行き、陛下、クリコット、ロジェールは自分の仕事に戻った。
報告の前に偶然会った前国王陛下に、帰りにお茶をして行きなさいと言われており、歩いていたセナリアンに、声を掛けたのはスピナ・サンドリアだった。
「魔術師団のスピナ・サンドリアです。マージナルとは遠い親戚になるのよ」
「…はあ」
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「血筋?」
「マージナルの婚約者は元々私だったのはご存知?」
「いえ、存じ上げませんが」
マージナルの調査書にスピナの名はなかった。ゆえに何だこいつという反応になってしまっている。そして、早くお茶が飲みたい。
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