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第22話
召喚姫8(アザンゼル王国)
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「何か嫌な思いをしたのですか?」
「いえ、どこか森?みたいなところにいて、光が差していたから見に来たという人たちに助けられて、聖女様だと言われて、良くして貰ったんですけど」
リスルートは事前に国賓級の扱いを受けて、最初は大人しかったが、図々しくなり、召喚姫状態だと、セナリアンから聞いている。
「酷いことをされた訳ではないのですね」
「はい、でも先程も言ったようにお見合いのようなものをさせられて」
「国の者と結婚が嫌だったのですか?」
「…はい、結婚はしたいけど、まだこの世界もよく分からないから、他の聖女様に会ってみたい、別の国に行ってみたいと行ったら、ここにも連れて来てもらって。住むならこの国がいいなって思ったんです。でも助けて貰った恩もあるし、どうしたらいいかと思って」
なぜエメラルダ王国なのだ?友好国だったら、どちらにせよ、セナリアンが動くことになるため、話し合いを設けるしかないか。
「話の間に入る分には構いません」
「本当ですか!ありがとうございます」
「ただ当国に住むというのは、こちらとしても検討をしなければなりません」
「どこかで保護してもらえませんか?駄目ですか?」
マージナルをちらちら見ているようだったが、マージナルは前は向いているが心は上の空だ。この会話をセナリアンが聞いているからである。
「施設はありますが…」
「聖女ですから、何か出来るんじゃないかと思うんですけど」
「元の世界に戻りたいとは思わないのですか」
「思いますけど、アザンゼル王国で出来ないって言われましたし」
助けたという体にしているので、言わないだろうし、アザンゼル王国では出来るとも確かに思えない。それでも戻りたいとは言わないことは不思議に思っていた。
「戻りたくはないのですか」
「戻りたい気もしますけど、怖い気持ちもあります」
「こちらでも戻る方法を探してみましょう。今日はゆっくり休んでください」
レイ・スズキはメイドに案内され、王太子は陛下と話して来ると出て行き、マージナルはスピナと戻ることとなった。
スピナはマージナルより四つ年上で、一応は遠縁でもある。
「あの聖女様、あなたを狙っているんじゃない?ずっとちらちら見てたわよ」
「そこまで自惚れる気はないよ」
「言い寄られてばかりのくせに、良く言うわね」
「そんなことないよ」
「あるわよ!あなたのこと、気にしていたじゃない!結婚しても惑わせるのね、奥様が可哀想だわ」
「そんなことはないよ」
マージナルは朗らかに笑っていたが、スピナの勘は当たっていた。
リスルートが陛下と話していると、セナリアンが疲れたような顔でやって来た。
「どうだった?」
「いや、私はこういうことに疎いのですが、ファナが心眼を使うべきだと言って見たら、またアレですわ。マージナルとお近づきになって、この国で初めての聖女として崇められて、結婚したいって思っているようです」
「ははは」
「もう笑うしかないな」
三人の乾ききった笑いが木霊するも、正直、皆の意見は面倒。それに限る。
「さて、どうしますかね。どうしたいか聞くのはいいですが、要りません」
「ああ、要らぬな」
「長く滞在させない方がいいと思います。年を誤魔化すような性格ですし、ここにいるのは危険です」
「誤魔化しておったのか?」
「若く言っても異世界ならバレないと思っていたようです」
レイ・スズキはアザンゼル王国で年齢を聞かれて、二十九歳だと自覚していたにも関わらず、二十二歳と嘘を付いた。
「私は年齢が視えるので、分かりませんけど、殿下はどうでした?」
「見えなくもないが、二十九歳の方が納得するかというところだろうか」
全く見えないということではないが、二十九歳と聞いていた後だったので、二十二歳の方が違和感があった。
「まあ年齢はいい、誰が諫める?」
「魔術師団が出てきていますので、コルロンドの魔術師か神官という扱いで私が話しましょうか」
「神官の方が良いかもしれぬな、神官ならアザンゼル王国にもおるであろう」
「では、神官で」
「夫の美貌のせいでもあるしな」
「それは完全にとばっちりですわ、夢を見させてアザンゼルに返しましょう」
「いえ、どこか森?みたいなところにいて、光が差していたから見に来たという人たちに助けられて、聖女様だと言われて、良くして貰ったんですけど」
リスルートは事前に国賓級の扱いを受けて、最初は大人しかったが、図々しくなり、召喚姫状態だと、セナリアンから聞いている。
「酷いことをされた訳ではないのですね」
「はい、でも先程も言ったようにお見合いのようなものをさせられて」
「国の者と結婚が嫌だったのですか?」
「…はい、結婚はしたいけど、まだこの世界もよく分からないから、他の聖女様に会ってみたい、別の国に行ってみたいと行ったら、ここにも連れて来てもらって。住むならこの国がいいなって思ったんです。でも助けて貰った恩もあるし、どうしたらいいかと思って」
なぜエメラルダ王国なのだ?友好国だったら、どちらにせよ、セナリアンが動くことになるため、話し合いを設けるしかないか。
「話の間に入る分には構いません」
「本当ですか!ありがとうございます」
「ただ当国に住むというのは、こちらとしても検討をしなければなりません」
「どこかで保護してもらえませんか?駄目ですか?」
マージナルをちらちら見ているようだったが、マージナルは前は向いているが心は上の空だ。この会話をセナリアンが聞いているからである。
「施設はありますが…」
「聖女ですから、何か出来るんじゃないかと思うんですけど」
「元の世界に戻りたいとは思わないのですか」
「思いますけど、アザンゼル王国で出来ないって言われましたし」
助けたという体にしているので、言わないだろうし、アザンゼル王国では出来るとも確かに思えない。それでも戻りたいとは言わないことは不思議に思っていた。
「戻りたくはないのですか」
「戻りたい気もしますけど、怖い気持ちもあります」
「こちらでも戻る方法を探してみましょう。今日はゆっくり休んでください」
レイ・スズキはメイドに案内され、王太子は陛下と話して来ると出て行き、マージナルはスピナと戻ることとなった。
スピナはマージナルより四つ年上で、一応は遠縁でもある。
「あの聖女様、あなたを狙っているんじゃない?ずっとちらちら見てたわよ」
「そこまで自惚れる気はないよ」
「言い寄られてばかりのくせに、良く言うわね」
「そんなことないよ」
「あるわよ!あなたのこと、気にしていたじゃない!結婚しても惑わせるのね、奥様が可哀想だわ」
「そんなことはないよ」
マージナルは朗らかに笑っていたが、スピナの勘は当たっていた。
リスルートが陛下と話していると、セナリアンが疲れたような顔でやって来た。
「どうだった?」
「いや、私はこういうことに疎いのですが、ファナが心眼を使うべきだと言って見たら、またアレですわ。マージナルとお近づきになって、この国で初めての聖女として崇められて、結婚したいって思っているようです」
「ははは」
「もう笑うしかないな」
三人の乾ききった笑いが木霊するも、正直、皆の意見は面倒。それに限る。
「さて、どうしますかね。どうしたいか聞くのはいいですが、要りません」
「ああ、要らぬな」
「長く滞在させない方がいいと思います。年を誤魔化すような性格ですし、ここにいるのは危険です」
「誤魔化しておったのか?」
「若く言っても異世界ならバレないと思っていたようです」
レイ・スズキはアザンゼル王国で年齢を聞かれて、二十九歳だと自覚していたにも関わらず、二十二歳と嘘を付いた。
「私は年齢が視えるので、分かりませんけど、殿下はどうでした?」
「見えなくもないが、二十九歳の方が納得するかというところだろうか」
全く見えないということではないが、二十九歳と聞いていた後だったので、二十二歳の方が違和感があった。
「まあ年齢はいい、誰が諫める?」
「魔術師団が出てきていますので、コルロンドの魔術師か神官という扱いで私が話しましょうか」
「神官の方が良いかもしれぬな、神官ならアザンゼル王国にもおるであろう」
「では、神官で」
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