153 / 228
第22話
召喚姫1(アザンゼル王国)
しおりを挟む
陛下に緊急で時間を作って欲しいと願い出たセナリアン。会議は既に終わっており、業務も明日にして時間を作った。
「アザンゼル王国が異世界人を召還したかもしれません」
アザンゼル王国はスクド大陸の、兄妹の近親相姦のあったイバンナ王国の上に位置する国である。イバンナ王国同様に魔力は少ない。
「まことか?」
「女の子だそうで、誘拐ですわね」
「誘拐だな」
「どうも、魔力を集めていて、きな臭いという情報を得ておりまして。まさか召喚術とは…馬鹿なんでしょうね」
召喚術は魔術師が使うのは、人ではなく物を召喚するくらいである。それを勝手に人を召喚するなど、莫大な魔力を必要とし、術式も存在しない。
「大丈夫なのか?」
「まだ分かりません。とりあえず私が行って、確認を取れるかですね。偵察に行かせたのですが、他の者は何も感じないと言ってまして。ブラックは既に行っているようで、黒目で髪は茶色、普通の女にしか見えない、分かり兼ねると…」
「エンペラールのか」
エンペラールとは、人数も分からない、どこにも属さない魔術師団である。
魔法省とも連携していないが、セナリアンは一人で会いに行き、あっさり制圧して、トップであるブラックとロンロンに正体を明かしている。
今のところ捕まえる気はない、ただ何か手に負えないことがあれば、言って欲しいとだけ話して、協力体制を取っている。
「ええ、元々きな臭いと言っていたのは、ブラックとロンロンでして。手に負えなければ連絡すると言われていて、先程連絡が入りまして」
「エンペラールに助けられるとはな」
「悪い人ではないんですよ、組織が嫌いなだけで。それで、下手したら長旅になりそうなんですよね、それで相談に来たんです」
「その異世界人を見定めるのが優先だろう」
本当に異世界人だったら、何が起こるか分からない。
「情報共有しておいた方がいいと思いますので、こちらでは目立ちますので、領地でいかがでしょう?魔術師も交代で連れて行きますので、一気に作戦を練るべきかと。ロンロンも向かうと思いますので、二人とは私が向こうで話します。魔法省にも既に許可だけは得ています」
「ああ、こちらは王太子を連れて行こう。あとマージナルもいた方がいいだろう、あとコルロンド家と」
「そうですね、すぐ出ますか」
「急いだ方が良いだろう、すぐ用意する!」
「ではクーリット殿は殿下を呼んできてもらって、私は王妃様にお話して来ますわ」
十五分後には執務室に陛下と王太子が揃っていた。王妃様とクーリットには何かあったらすぐ知らせてくれと留守を頼んだ。
「ではグロー邸、コルロンド邸、領地の順番で転移予定です。リスルート殿下は初めてなのでお気を付けを」
「ああ…」
「大丈夫だ、目を瞑っている内に着く」
一瞬で公爵邸に作ったポート(出入りを制限した陣)に到着した。そこにはポートには入らぬように、グロー公爵家一同が勢揃いしていた。ルセルとジュジュはお腹がいっぱいで眠いのか、ソファで寝かされている。
「陛下、王太子殿下、ようこそおいで下さいました」
「急にすまないな。こんなことでなければ、子どもたちを可愛がりたいところだがそうも言ってられん」
「とりあえずお掛けください」
「どうしてお父様とお母様まで」
「殿下はともかく、陛下が来られるなんて。私、一人では心許なくて」
「ともかくって何だ!」
「先程まで一緒だったではありませんか」
マージナルが邸に帰ったのは、ほんの二時間前なので、事実ではある。
「他言無用で頼むが、アザンゼル王国が異世界人を召還したかもしれないそうだ。それでセナリアンに調査に行ってもらうことになった」
「そんなことが?」
「ああ、エンペラールが掴んで来たそうだ。まだ実態が分からない」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
お気に入りに入れていただいている皆様、誠にありがとうございます。
清書が出来ましたので、
また順次投稿させていただきます。
よろしくお願いいたします。
「アザンゼル王国が異世界人を召還したかもしれません」
アザンゼル王国はスクド大陸の、兄妹の近親相姦のあったイバンナ王国の上に位置する国である。イバンナ王国同様に魔力は少ない。
「まことか?」
「女の子だそうで、誘拐ですわね」
「誘拐だな」
「どうも、魔力を集めていて、きな臭いという情報を得ておりまして。まさか召喚術とは…馬鹿なんでしょうね」
召喚術は魔術師が使うのは、人ではなく物を召喚するくらいである。それを勝手に人を召喚するなど、莫大な魔力を必要とし、術式も存在しない。
「大丈夫なのか?」
「まだ分かりません。とりあえず私が行って、確認を取れるかですね。偵察に行かせたのですが、他の者は何も感じないと言ってまして。ブラックは既に行っているようで、黒目で髪は茶色、普通の女にしか見えない、分かり兼ねると…」
「エンペラールのか」
エンペラールとは、人数も分からない、どこにも属さない魔術師団である。
魔法省とも連携していないが、セナリアンは一人で会いに行き、あっさり制圧して、トップであるブラックとロンロンに正体を明かしている。
今のところ捕まえる気はない、ただ何か手に負えないことがあれば、言って欲しいとだけ話して、協力体制を取っている。
「ええ、元々きな臭いと言っていたのは、ブラックとロンロンでして。手に負えなければ連絡すると言われていて、先程連絡が入りまして」
「エンペラールに助けられるとはな」
「悪い人ではないんですよ、組織が嫌いなだけで。それで、下手したら長旅になりそうなんですよね、それで相談に来たんです」
「その異世界人を見定めるのが優先だろう」
本当に異世界人だったら、何が起こるか分からない。
「情報共有しておいた方がいいと思いますので、こちらでは目立ちますので、領地でいかがでしょう?魔術師も交代で連れて行きますので、一気に作戦を練るべきかと。ロンロンも向かうと思いますので、二人とは私が向こうで話します。魔法省にも既に許可だけは得ています」
「ああ、こちらは王太子を連れて行こう。あとマージナルもいた方がいいだろう、あとコルロンド家と」
「そうですね、すぐ出ますか」
「急いだ方が良いだろう、すぐ用意する!」
「ではクーリット殿は殿下を呼んできてもらって、私は王妃様にお話して来ますわ」
十五分後には執務室に陛下と王太子が揃っていた。王妃様とクーリットには何かあったらすぐ知らせてくれと留守を頼んだ。
「ではグロー邸、コルロンド邸、領地の順番で転移予定です。リスルート殿下は初めてなのでお気を付けを」
「ああ…」
「大丈夫だ、目を瞑っている内に着く」
一瞬で公爵邸に作ったポート(出入りを制限した陣)に到着した。そこにはポートには入らぬように、グロー公爵家一同が勢揃いしていた。ルセルとジュジュはお腹がいっぱいで眠いのか、ソファで寝かされている。
「陛下、王太子殿下、ようこそおいで下さいました」
「急にすまないな。こんなことでなければ、子どもたちを可愛がりたいところだがそうも言ってられん」
「とりあえずお掛けください」
「どうしてお父様とお母様まで」
「殿下はともかく、陛下が来られるなんて。私、一人では心許なくて」
「ともかくって何だ!」
「先程まで一緒だったではありませんか」
マージナルが邸に帰ったのは、ほんの二時間前なので、事実ではある。
「他言無用で頼むが、アザンゼル王国が異世界人を召還したかもしれないそうだ。それでセナリアンに調査に行ってもらうことになった」
「そんなことが?」
「ああ、エンペラールが掴んで来たそうだ。まだ実態が分からない」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
お気に入りに入れていただいている皆様、誠にありがとうございます。
清書が出来ましたので、
また順次投稿させていただきます。
よろしくお願いいたします。
302
お気に入りに追加
1,518
あなたにおすすめの小説
好きでした、さようなら
豆狸
恋愛
「……すまない」
初夜の床で、彼は言いました。
「君ではない。私が欲しかった辺境伯令嬢のアンリエット殿は君ではなかったんだ」
悲しげに俯く姿を見て、私の心は二度目の死を迎えたのです。
なろう様でも公開中です。
王子妃だった記憶はもう消えました。
cyaru
恋愛
記憶を失った第二王子妃シルヴェーヌ。シルヴェーヌに寄り添う騎士クロヴィス。
元々は王太子であるセレスタンの婚約者だったにも関わらず、嫁いだのは第二王子ディオンの元だった。
実家の公爵家にも疎まれ、夫となった第二王子ディオンには愛する人がいる。
記憶が戻っても自分に居場所はあるのだろうかと悩むシルヴェーヌだった。
記憶を取り戻そうと動き始めたシルヴェーヌを支えるものと、邪魔するものが居る。
記憶が戻った時、それは、それまでの日常が崩れる時だった。
★1話目の文末に時間的流れの追記をしました(7月26日)
●ゆっくりめの更新です(ちょっと本業とダブルヘッダーなので)
●ルビ多め。鬱陶しく感じる方もいるかも知れませんがご了承ください。
敢えて常用漢字などの読み方を変えている部分もあります。
●作中の通貨単位はケラ。1ケラ=1円くらいの感じです。
♡注意事項~この話を読む前に~♡
※異世界の創作話です。時代設定、史実に基づいた話ではありません。リアルな世界の常識と混同されないようお願いします。
※心拍数や血圧の上昇、高血糖、アドレナリンの過剰分泌に責任はおえません。
※外道な作者の妄想で作られたガチなフィクションの上、ご都合主義です。
※架空のお話です。現実世界の話ではありません。登場人物、場所全て架空です。
※価値観や言葉使いなど現実世界とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
誰にも信じてもらえなかった公爵令嬢は、もう誰も信じません。
salt
恋愛
王都で罪を犯した悪役令嬢との婚姻を結んだ、東の辺境伯地ディオグーン領を治める、フェイドリンド辺境伯子息、アルバスの懺悔と後悔の記録。
6000文字くらいで摂取するお手軽絶望バッドエンドです。
*なろう・pixivにも掲載しています。
【完結】選ばれなかった王女は、手紙を残して消えることにした。
曽根原ツタ
恋愛
「お姉様、私はヴィンス様と愛し合っているの。だから邪魔者は――消えてくれない?」
「分かったわ」
「えっ……」
男が生まれない王家の第一王女ノルティマは、次の女王になるべく全てを犠牲にして教育を受けていた。
毎日奴隷のように働かされた挙句、将来王配として彼女を支えるはずだった婚約者ヴィンスは──妹と想いあっていた。
裏切りを知ったノルティマは、手紙を残して王宮を去ることに。
何もかも諦めて、崖から湖に飛び降りたとき──救いの手を差し伸べる男が現れて……?
★小説家になろう様で先行更新中
初夜に前世を思い出した悪役令嬢は復讐方法を探します。
豆狸
恋愛
「すまない、間違えたんだ」
「はあ?」
初夜の床で新妻の名前を元カノ、しかも新妻の異母妹、しかも新妻と婚約破棄をする原因となった略奪者の名前と間違えた?
脳に蛆でも湧いてんじゃないですかぁ?
なろう様でも公開中です。
何を間違った?【完結済】
maruko
恋愛
私は長年の婚約者に婚約破棄を言い渡す。
彼女とは1年前から連絡が途絶えてしまっていた。
今真実を聞いて⋯⋯。
愚かな私の後悔の話
※作者の妄想の産物です
他サイトでも投稿しております
最愛の側妃だけを愛する旦那様、あなたの愛は要りません
abang
恋愛
私の旦那様は七人の側妃を持つ、巷でも噂の好色王。
後宮はいつでも女の戦いが絶えない。
安心して眠ることもできない後宮に、他の妃の所にばかり通う皇帝である夫。
「どうして、この人を愛していたのかしら?」
ずっと静観していた皇后の心は冷めてしまいう。
それなのに皇帝は急に皇后に興味を向けて……!?
「あの人に興味はありません。勝手になさい!」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる