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第22話

召喚姫1(アザンゼル王国)

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 陛下に緊急で時間を作って欲しいと願い出たセナリアン。会議は既に終わっており、業務も明日にして時間を作った。

「アザンゼル王国が異世界人を召還したかもしれません」

 アザンゼル王国はスクド大陸の、兄妹の近親相姦のあったイバンナ王国の上に位置する国である。イバンナ王国同様に魔力は少ない。

「まことか?」
「女の子だそうで、誘拐ですわね」
「誘拐だな」
「どうも、魔力を集めていて、きな臭いという情報を得ておりまして。まさか召喚術とは…馬鹿なんでしょうね」

 召喚術は魔術師が使うのは、人ではなく物を召喚するくらいである。それを勝手に人を召喚するなど、莫大な魔力を必要とし、術式も存在しない。

「大丈夫なのか?」
「まだ分かりません。とりあえず私が行って、確認を取れるかですね。偵察に行かせたのですが、他の者は何も感じないと言ってまして。ブラックは既に行っているようで、黒目で髪は茶色、普通の女にしか見えない、分かり兼ねると…」
「エンペラールのか」

 エンペラールとは、人数も分からない、どこにも属さない魔術師団である。

 魔法省とも連携していないが、セナリアンは一人で会いに行き、あっさり制圧して、トップであるブラックとロンロンに正体を明かしている。

 今のところ捕まえる気はない、ただ何か手に負えないことがあれば、言って欲しいとだけ話して、協力体制を取っている。

「ええ、元々きな臭いと言っていたのは、ブラックとロンロンでして。手に負えなければ連絡すると言われていて、先程連絡が入りまして」
「エンペラールに助けられるとはな」
「悪い人ではないんですよ、組織が嫌いなだけで。それで、下手したら長旅になりそうなんですよね、それで相談に来たんです」
「その異世界人を見定めるのが優先だろう」

 本当に異世界人だったら、何が起こるか分からない。

「情報共有しておいた方がいいと思いますので、こちらでは目立ちますので、領地でいかがでしょう?魔術師も交代で連れて行きますので、一気に作戦を練るべきかと。ロンロンも向かうと思いますので、二人とは私が向こうで話します。魔法省にも既に許可だけは得ています」
「ああ、こちらは王太子を連れて行こう。あとマージナルもいた方がいいだろう、あとコルロンド家と」
「そうですね、すぐ出ますか」
「急いだ方が良いだろう、すぐ用意する!」
「ではクーリット殿は殿下を呼んできてもらって、私は王妃様にお話して来ますわ」

 十五分後には執務室に陛下と王太子が揃っていた。王妃様とクーリットには何かあったらすぐ知らせてくれと留守を頼んだ。

「ではグロー邸、コルロンド邸、領地の順番で転移予定です。リスルート殿下は初めてなのでお気を付けを」
「ああ…」
「大丈夫だ、目を瞑っている内に着く」

 一瞬で公爵邸に作ったポート(出入りを制限した陣)に到着した。そこにはポートには入らぬように、グロー公爵家一同が勢揃いしていた。ルセルとジュジュはお腹がいっぱいで眠いのか、ソファで寝かされている。

「陛下、王太子殿下、ようこそおいで下さいました」
「急にすまないな。こんなことでなければ、子どもたちを可愛がりたいところだがそうも言ってられん」
「とりあえずお掛けください」
「どうしてお父様とお母様まで」
「殿下はともかく、陛下が来られるなんて。私、一人では心許なくて」
「ともかくって何だ!」
「先程まで一緒だったではありませんか」

 マージナルが邸に帰ったのは、ほんの二時間前なので、事実ではある。

「他言無用で頼むが、アザンゼル王国が異世界人を召還したかもしれないそうだ。それでセナリアンに調査に行ってもらうことになった」
「そんなことが?」
「ああ、エンペラールが掴んで来たそうだ。まだ実態が分からない」


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お気に入りに入れていただいている皆様、誠にありがとうございます。

清書が出来ましたので、
また順次投稿させていただきます。

よろしくお願いいたします。
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