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第20話
閑話 どうぶつセーター2
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しかし着席しても、タヌキの目は机からひょっこり見えており、皆、自分の発言が終わった後などに、ミミスのセーターを見ている。いや、正確にはミミスのセーターが眠そうな目でこちらを見ているように感じる。
「んもう!皆さん、セーターを見過ぎです!」
ワハハハと、また笑いの渦となっている。いつもは仏頂面の伯爵までもが声を押し殺して笑っている。
「これはある意味、ルージエ殿の作戦だとすれば、大成功ですぞ」
「何の作戦ですか!」
「気難しい会議も和らぐかもしれませんよ」
「それはあるかもしれませんね」
「そうですか、ではもう一着あるので、気難しい会議の際は事前に教えていただけますか。是非、着て参りましょう」
「もう一着、あるのか」
「はい、次女が毛糸を買い過ぎたようで、顔の表情が違うものがもう一着あります」
「どんな顔なんだ?」
「それはその時のお楽しみです」
「会議が楽しみになったな」
おかげで和やかに会議が終わり、上着を着ても皆、中身を知っているので、あれがタヌキだとはと結局、笑いを堪える羽目になる。
大臣から会議の報告共に、話を聞いた陛下とクーリットがセーターを見せろとやって来て、ひん剥かれて、ひとしきり笑って帰って行ったのは言うまでもない。
そして、現在、臨時収入で毛糸を買って来たセナリアン。
なぜか気付けば、タヌキ色に目が行くことが妬ましいが、ミミスではなく、子どもに着せれば可愛いのではないかと思い、再びタヌキセーターを編んでいた。
一度編んでいるので、サイズを変えるだけで非常に楽々と仕上がった。さすがに眠たそうな目ではなく、ちゃんと開いた目にしている。
ジュジュはまだセーターの年ではないので、着るのはルセルになる。嫌がるかもしれないなと思ったが、ルセルに見せてみた。
「おじいちゃま…」
「そうよね、そうなるわよね。嫌?」
「ううん!かわいい、おじいちゃまよろこぶかな?」
「すごく喜ぶと思うわ」
「こんどきていく!」
「ちなみにおじいちゃまも同じの持ってるわ」
「そうなの?おそろいだね」
後日、ルージエ邸に遊びに行く際に着て行くと、ミミスは目をかっぴろげて、口を開けたまま、一時停止した。
「まあ、可愛らしいわ。セナが編んだのね」
「おじいちゃま」
ルセルは完全にタヌキを指差し、誇らしい顔をしている。
「そうだ、そうだな、ルセルが着ると嬉しいものだな。胸が熱くなってしまった」
「いつもは嬉しくなかったってこと?」
編み物をする時は必ず、タヌキを一つ作るようになっており、ピンクのタヌキバージョンもある。
「違うさ!嬉しかったさ。ただ会議で、上着を脱ぐことになってだな、前に大笑いされたのだよ」
「ええ…何で会議に着て行くのよ」
そりゃ会議にタヌキのセーターを着たおじさんは失笑ものだっただろう。
「寒い日でな、ベルが上着を着ていれば分からないって、だが会議室が暑くてだな」
「お父様のミスじゃない」
「そうなんだが…その後も、ちょっと息苦しい議案の際に、和むだろうと言われていたから、あのほぼ目の開いていない方を着て行ったら、ミミス寝るなって、寝てないのに怒られてだな」
当時のもう一着は眠そうではなく、薄目のタヌキであった。議長が思わず、寝るなと声を上げてしまったのだ。非常に会議は和んだそうだ。
「何やってんのよ!はい、お父様にも。今回はルセルとお揃いよ、目は開いてます」
「そうか、ありがとう。嬉しいな、ルセルお揃いだ」
「うん!おそろい、うれしいね」
「ああ、嬉しいな」
早速、着替えたミミスは嬉しそうに孫と遊び、邸を練り歩いて、皆に自慢して歩いたそうだ。
「んもう!皆さん、セーターを見過ぎです!」
ワハハハと、また笑いの渦となっている。いつもは仏頂面の伯爵までもが声を押し殺して笑っている。
「これはある意味、ルージエ殿の作戦だとすれば、大成功ですぞ」
「何の作戦ですか!」
「気難しい会議も和らぐかもしれませんよ」
「それはあるかもしれませんね」
「そうですか、ではもう一着あるので、気難しい会議の際は事前に教えていただけますか。是非、着て参りましょう」
「もう一着、あるのか」
「はい、次女が毛糸を買い過ぎたようで、顔の表情が違うものがもう一着あります」
「どんな顔なんだ?」
「それはその時のお楽しみです」
「会議が楽しみになったな」
おかげで和やかに会議が終わり、上着を着ても皆、中身を知っているので、あれがタヌキだとはと結局、笑いを堪える羽目になる。
大臣から会議の報告共に、話を聞いた陛下とクーリットがセーターを見せろとやって来て、ひん剥かれて、ひとしきり笑って帰って行ったのは言うまでもない。
そして、現在、臨時収入で毛糸を買って来たセナリアン。
なぜか気付けば、タヌキ色に目が行くことが妬ましいが、ミミスではなく、子どもに着せれば可愛いのではないかと思い、再びタヌキセーターを編んでいた。
一度編んでいるので、サイズを変えるだけで非常に楽々と仕上がった。さすがに眠たそうな目ではなく、ちゃんと開いた目にしている。
ジュジュはまだセーターの年ではないので、着るのはルセルになる。嫌がるかもしれないなと思ったが、ルセルに見せてみた。
「おじいちゃま…」
「そうよね、そうなるわよね。嫌?」
「ううん!かわいい、おじいちゃまよろこぶかな?」
「すごく喜ぶと思うわ」
「こんどきていく!」
「ちなみにおじいちゃまも同じの持ってるわ」
「そうなの?おそろいだね」
後日、ルージエ邸に遊びに行く際に着て行くと、ミミスは目をかっぴろげて、口を開けたまま、一時停止した。
「まあ、可愛らしいわ。セナが編んだのね」
「おじいちゃま」
ルセルは完全にタヌキを指差し、誇らしい顔をしている。
「そうだ、そうだな、ルセルが着ると嬉しいものだな。胸が熱くなってしまった」
「いつもは嬉しくなかったってこと?」
編み物をする時は必ず、タヌキを一つ作るようになっており、ピンクのタヌキバージョンもある。
「違うさ!嬉しかったさ。ただ会議で、上着を脱ぐことになってだな、前に大笑いされたのだよ」
「ええ…何で会議に着て行くのよ」
そりゃ会議にタヌキのセーターを着たおじさんは失笑ものだっただろう。
「寒い日でな、ベルが上着を着ていれば分からないって、だが会議室が暑くてだな」
「お父様のミスじゃない」
「そうなんだが…その後も、ちょっと息苦しい議案の際に、和むだろうと言われていたから、あのほぼ目の開いていない方を着て行ったら、ミミス寝るなって、寝てないのに怒られてだな」
当時のもう一着は眠そうではなく、薄目のタヌキであった。議長が思わず、寝るなと声を上げてしまったのだ。非常に会議は和んだそうだ。
「何やってんのよ!はい、お父様にも。今回はルセルとお揃いよ、目は開いてます」
「そうか、ありがとう。嬉しいな、ルセルお揃いだ」
「うん!おそろい、うれしいね」
「ああ、嬉しいな」
早速、着替えたミミスは嬉しそうに孫と遊び、邸を練り歩いて、皆に自慢して歩いたそうだ。
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