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第20話
心労が絶えない兄弟4(マルフレン王国)
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実はこの件は母・ルシュベルが関わっている。ルシュベルは自身の母に払えなくて恥ずかしい思いをするのと、値段を確認するのはどちらが恥ずかしいかと言われた教えを、ルシュベルからセナリアンへと忠実に守っているのである。
リリアンネは早々に貴族としてはどちらも恥ずかしいと思っており、そういったことは無いのだが、このことを本人たち以外、誰も知らないのである。
「一番優しい方だったので、甘えてしまったのは申し訳ないと思っています」
「まあ、これで婚約保留、解消などとなったら、ご実家に警告や慰謝料の請求があるでしょうから、お金はあるようだし、しっかり払いなさい」
「えっ…実家にですか」
「まだ学生なのですから、資産をお持ちなの?」
「いえ」
実家に慰謝料を請求されては、妹と同じことになってしまうと、ようやく気付いた。それでもアスレーダ公爵令息が手に入ればいいが、そこまでの関係ではない。
「ご自身で事業でもやってらっしゃるの?」
「いえ、やっておりません」
「自分で責任が取れないのなら、親の責任となりますわね」
「それは…でも実際に出掛けてはいないんです」
「だから?出掛けてないからいい?そんなわけないでしょう?あなたのしたことが、どれだけ痛いか分かるはずでしょう?やられたからやってもいい?何の関係もない令嬢に?留学したと思ったら、慰謝料請求されたら親は驚くでしょうね」
「っく、すみませんでした」
「再三、妹君から注意を受けて、謝って済む期間は終わっていることは、分かっているでしょう?あんなに離さぬようにしていたのだから」
ここ数ヶ月、彼女は至るところで二人きりではないが、あなたの力が必要なの、同じグループじゃないと困ると、同じ時間を過ごしていたのだ。確約が欲しくて必死だったのであろう。
「それでも謝罪をさせてください」
「ねえ、あなたなら会いたい?泣き落としでもする?私が悪かったの、辛かったから、甘えてしまってなんて言うの?彼女には何一つ関係ないのに?やったことの責任は取りなさい。聞き取りは終了よ、処分が出るまで謹慎、帰りなさい」
「…」
動こうとしない彼女を横目に、立ち会った女性教師にセナリアンはちょっといいかしらと尋ねた。
「高級店のフルコースって、いくらくらいするのかご存知ですか」
「そうですね、フルコースに水ってわけにはいかないでしょうから、高いワインなども頼んだたら二人で軽く百はいくのではないでしょうか」
「わお!一晩で?」
「ええ、店によってはもっとすると思いますけど」
セナリアンはお酒は好きだが、高いものが好きなのではない。へえ、びっくりと言いながら去って行き、教師は彼女に退出を促した。
「なぜ、払ってもらえると思ったと言わなかったの?印象が悪いと思った?」
「えっ」
「顔に書いてあったわよ、御礼だろうが、自分で払うつもりはなかった。どうせ払ってくれるだろうって」
「ち、違います」
「自分が払うことは無い生活だったのでしょう?」
「…それは、はい」
「でも調査員の方は違った」
「行ったことがないのでしょう」
「いいえ、あの方は位の高い方よ、見て分からない?同じように高級店で支払ったことがないから知らないだけ。でも自身で払うなら、いくらするのか知りたかった。あなたは確認もしていないから、お金持ちだと判断されたようだけど、大丈夫?」
セナリアン勘定ではあるのだが、伯爵令嬢は真っ青になった。
女性教師はやっぱりお金持ちではなかったのだろうと思った。でも調査員はお金はあるようだと報告するだろう。
案の定、お金はあるようだから、婚約は二人と家が考えればいいから、とりあえずお金で解決すればいいと断言した。
リリアンネは早々に貴族としてはどちらも恥ずかしいと思っており、そういったことは無いのだが、このことを本人たち以外、誰も知らないのである。
「一番優しい方だったので、甘えてしまったのは申し訳ないと思っています」
「まあ、これで婚約保留、解消などとなったら、ご実家に警告や慰謝料の請求があるでしょうから、お金はあるようだし、しっかり払いなさい」
「えっ…実家にですか」
「まだ学生なのですから、資産をお持ちなの?」
「いえ」
実家に慰謝料を請求されては、妹と同じことになってしまうと、ようやく気付いた。それでもアスレーダ公爵令息が手に入ればいいが、そこまでの関係ではない。
「ご自身で事業でもやってらっしゃるの?」
「いえ、やっておりません」
「自分で責任が取れないのなら、親の責任となりますわね」
「それは…でも実際に出掛けてはいないんです」
「だから?出掛けてないからいい?そんなわけないでしょう?あなたのしたことが、どれだけ痛いか分かるはずでしょう?やられたからやってもいい?何の関係もない令嬢に?留学したと思ったら、慰謝料請求されたら親は驚くでしょうね」
「っく、すみませんでした」
「再三、妹君から注意を受けて、謝って済む期間は終わっていることは、分かっているでしょう?あんなに離さぬようにしていたのだから」
ここ数ヶ月、彼女は至るところで二人きりではないが、あなたの力が必要なの、同じグループじゃないと困ると、同じ時間を過ごしていたのだ。確約が欲しくて必死だったのであろう。
「それでも謝罪をさせてください」
「ねえ、あなたなら会いたい?泣き落としでもする?私が悪かったの、辛かったから、甘えてしまってなんて言うの?彼女には何一つ関係ないのに?やったことの責任は取りなさい。聞き取りは終了よ、処分が出るまで謹慎、帰りなさい」
「…」
動こうとしない彼女を横目に、立ち会った女性教師にセナリアンはちょっといいかしらと尋ねた。
「高級店のフルコースって、いくらくらいするのかご存知ですか」
「そうですね、フルコースに水ってわけにはいかないでしょうから、高いワインなども頼んだたら二人で軽く百はいくのではないでしょうか」
「わお!一晩で?」
「ええ、店によってはもっとすると思いますけど」
セナリアンはお酒は好きだが、高いものが好きなのではない。へえ、びっくりと言いながら去って行き、教師は彼女に退出を促した。
「なぜ、払ってもらえると思ったと言わなかったの?印象が悪いと思った?」
「えっ」
「顔に書いてあったわよ、御礼だろうが、自分で払うつもりはなかった。どうせ払ってくれるだろうって」
「ち、違います」
「自分が払うことは無い生活だったのでしょう?」
「…それは、はい」
「でも調査員の方は違った」
「行ったことがないのでしょう」
「いいえ、あの方は位の高い方よ、見て分からない?同じように高級店で支払ったことがないから知らないだけ。でも自身で払うなら、いくらするのか知りたかった。あなたは確認もしていないから、お金持ちだと判断されたようだけど、大丈夫?」
セナリアン勘定ではあるのだが、伯爵令嬢は真っ青になった。
女性教師はやっぱりお金持ちではなかったのだろうと思った。でも調査員はお金はあるようだと報告するだろう。
案の定、お金はあるようだから、婚約は二人と家が考えればいいから、とりあえずお金で解決すればいいと断言した。
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