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第18話

彼女の友人5

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 トーパス伯爵家にグロー公爵家、ルージエ侯爵家から抗議が入った。特にグロー公爵家はアローラが顛末を聞き、想像以上に怒り狂った。嫁ぎ先からも抗議を出したいほどであったが、周りの友人に王家主催以外で、トーパス家が呼ばれているなら欠席するとまで宣言した。

「ミディアーナ、これはさすがに庇いきれないよ」
「お父様、違うのです」
「何が違うんだい?」
「あの、マージナル様の奥様が酷いことを言って、ぐすん」
「何を言ったんだい?」
「ミディがいると皆、喜ぶでしょう?なのに、それは、性行為をした男性だけでしょうって。でもそれはミディが魅力的だから、仕方ないでしょう?」
「ん?」
「お母様が殿方に求められることは、素晴らしいことだって」

 確かに出席者や護衛から、周りの男性との関係を疑われるようなことを言われたと聞いていたが、関係を持っていたなどとは聞いていない。そんなはずがないだろう。

「確かにミディアーナの周りに令息が集まるのは無理はないが、関係を持った男性と言われたのかい?ちゃんと否定したんだろうね」
「だから、私が魅力的だから仕方ないって言ったわ。納得してない様子だったけど。魅力のない女性には分からないのよ」
「関係を持っているのか?」
「ええ、そうよ?」

 トーパス伯爵は我儘に育ててしまったことは分かっていたが、身持ちの悪い娘に育てた覚えはない。

「はあ、ミディアーナは結婚する気がないのか?」
「えっ、もしかしてハルリット様から打診があったの?」

 ミディアーナはパッと顔を明るくし、なぜそのような思考になるのか。

「はあ、身持ちの悪い令嬢に婚約の打診あるはずないだろう。ワイリーを呼んで来てくれるか」

 執事に妻・ワイリーを呼びに行かせた。

「身持ちの悪いってどういう意味?」
「多数の男性と関係を持っている令嬢のことだよ」
「えっ、でも沢山男性を知っている方が、好まれるって」
「そんなこと誰が言ったんだ?」
「名前は忘れたけど、留学していた男性よ」
「そんなことはエメラルダ王国ではあり得ない。多数の男性と関係を持てば、器がおかしくなるんだ。まあ、もうまともな縁談はないだろうな」
「お父様、大丈夫ですわ。ハルリット様からいずれ打診がありますから」

 ワイリーがやって来て、座りなさいと告げると、ミディアーナはお父様が酷いこと言うのと泣きついている。

「あなた、ミディアーナが悲しんでるじゃない!パーティーは誤解があっただけだと言ったでしょう?」
「誤解じゃない、グロー公爵家とルージエ侯爵家から抗議が来た」
「え?でも、きっと、そう大袈裟よ!きっと」

 さすがのワイリーもグロー公爵家とルージエ侯爵家、ということは王家にも繋がっていることに気付き、冷や汗が止まらなかった。

「君はミディアーナが多数の男性と関係を持っているのを知っていたのか」
「え?あの、」
「気付いていたんだな。なぜ注意しなかった?可愛い娘の器が壊れているかもしれないのだぞ?」
「でもこの子はあなたの娘ですから、魔力も多いはずで」
「ミディアーナ、何人と関係を持った?」
「ええ?憶えていないけど、多分六人か七人くらい?」
「そんなに?」

 確かに魔力が多かったため、高位貴族を狙えると思ったが、自分は親にマナーを無理やり学ばされ、辛かった割に憶えられなかったことから、あまりマナーを厳しくしなかった。ゆえに相手にして貰えず、でもカイラン伯爵の息子であるハルリット様を見初めたと聞いた時は、やはり親子なのだと思い、応援したかったが、カイラン伯爵家からはなぜか嫌われていたので、力にはなれなかった。

 ミディアーナの周りには男性が多かったので、ハルリット様への練習に丁度いいと思い、関係も持っていたようだが、純潔ではないと嫁げないわけではないので、咎めることはしなかった。まさか、そんなに関係を持っていると思わず、驚いた。

「ならば可能性は高いかもしれんな。覚悟して置きなさい」
「嘘でしょう、ねえ、あなた!」
「老いが始まるか、子が持てないか、器が壊れてしまっているか、だろうな」
「えっ、どういうこと?」
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