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第17話
閑話 ガーデンパーティー2
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「セナ~!」
「アリッシュ、遅いわ」
「道が通れなくて、迂回して来たのよ」
セナリアンがアローラに誘って貰ったのは、マキュリーヌ王国から戻って来たアリッシュだった。いずれ夜会に出席するようになることから、顔を出すのに丁度いいのではないかと思ったのだ。万が一、セナリアンが来れなくとも、ルラーラとアローラに頼むつもりであった。
向かって来るアリッシュにキャリルとポーリットはビクンと緊張した。
「ルビアス公爵令嬢…」
「アリッシュ、こちらサバス・ロゾート様の奥様でポーリット様、こちらがカルバン・ロゾート様の奥様でキャリル様、義姉妹なの」
「お、お会いできて光栄です」「初めまして」
「出戻りのアリッシュ・ルビアスでございます」
「出戻り、ふふふ。言葉に出来る逞しさが、最高に格好いいわ」
「当たり前よ、言われる前に言うのがポイントよ」
ポーリットは目を潤ませて、真っ赤になっており、セナリアンとアリッシュは不思議そうな顔をした。
「わ、わわ」「発言よろしいでしょうか」
「勿論です、気軽に話してくださいな」
「ありがとうございます。義姉はルビアス公爵令嬢様に昔から憧れておりまして。妙な様子になっております。ご了承ください」
「まあ、それは嬉しいわ」
「こちらこそでございます。美しい…幸せです」
ポーリットはアリッシュと学年は違うが、同じ時期に学園には通ってはいた。だが話すことはおろか、遠くで眺める憧れの存在であった。ポーリット主観であれば、全女子生徒の憧れの華と言っても、過言ではないと思っている。ポーリットはアリッシュのようになれるとは思っていなかったが、アリッシュが使っている物や、ご愛用という噂を聞けば、親に頼んで購入してもらっていたほどである。
それが他国に嫁ぎ、見ることも敵わなくなったが、まさか離縁されるとは、しかも不貞だなんてと大層怒り狂ったほどだ。被害に遭ったのはそれこそ、サバス。ギャアギャア喚く妻を宥めるのが大変だった。それがまさかここで出会えるなんて、私に言葉を掛けてくれるなんてと感激の様子なのである。
キャリルも何度も聞かされていたので、打ち震える義姉にフォローしたのだ。
「まあまあ、ありがとうございます」「良かったわね、アリッシュ」
「お二人は仲が良かったのですね」
「ええ、幼なじみというのかしらね?」「そうね、友人の前に幼なじみね」
ポーリットは感動で言葉にできない様子で、キャリルは気兼ねのない二人の関係に何だか嬉しくなってしまっていた。
「出戻りとも仲良くしていただけるかしら?」
「もちろんです、いえ、大変嬉しいです」「私もよろしくお願いします」
「ありがとう」
そんな様子を見ていたのはルラーラとルシュベル。セナリアンの母親たちである。
「セナちゃんはああやって、結局は社交をしているのよね」
「何も考えていないと思いますけどね」
「確かに、そこがいいのよね。あらま、アローラが飛び込んで行ってしまったわ。あの顔は悔しかったのね」
「まあまあ、妹が出来てセナも喜んでいましたから」
「まあ、アローラなんてお義姉様と呼んでいいのは、女性だと私だけなんだからって言っていましたのよ」
「ふふふ、光栄ですこと」
さて、飛び込んで行ったアローラ・グロー改め、アローラ・ワンスア。
「お義姉様、私も仲間に入れてください」
「まあ、可愛い義妹!アリッシュは知り合いよね?」
「ええ、もちろん」
アローラもアリッシュも同じ公爵令嬢である、ただ年の差があるので友人という間柄ではない。同じようにポーリットとキャリルを紹介した。
「私とも仲良くしてください」
「ええ、こちらこそよろしくお願いします」「はい、私もよろしくお願いします」
「キャリル様は、兄がお世話になっております」
「あら、それは私が言わなきゃいけなかったわね」
「お義姉様はいいのです!お兄様のことは私が言うくらいで丁度いいくらいです」
セナリアンとアローラの様子に、信者だとすぐ見抜いた。
「セナ、私がいない間にまた信者を増やしたのね」「ほほほ」
「ほほほじゃないわよ、こうやって、セナリアン沼にハマって行くのよ」
「私は自他ともに認める、ズブズブですの。お義姉様と呼んでいいのは、私とノエル様だけですのよ」
「まあまあ、アローラったら。でもポーリット様はアリッシュ沼じゃないかしら?」
「はい、ハマりたいです」
「ふふふ、光栄だわ」
美しき五人の女性たちは周りを気にしていなかったが、皆が遠巻きになんか輝いていないかと見ていた。ポーリットとキャリルはそんな場にいることが誇らしくて、気持ちが高揚していた。
家に帰ったポーリットとキャリルは今日のことをそれぞれ夫に大興奮で自慢した。夫たちはあまりの気迫にたじろぐほどであったそうだ。
翌々日、サバスがやって来て、セナリアンが皆さまでお食べくださいと桃のタルトを一緒に渡すと、ポーリットから早速礼状が届き、タルトを切り分ける時に、私は大きいのだから大きく切って欲しいと言い出して、サバスと揉めたと書いてあって、笑ってしまった。
ちなみにセナリアンはカルバンも好みであるが、サバスも好みである。リリアンネのジュシ伯父様に似ているという点で言えば、サバスの方が見目も似ている。
「アリッシュ、遅いわ」
「道が通れなくて、迂回して来たのよ」
セナリアンがアローラに誘って貰ったのは、マキュリーヌ王国から戻って来たアリッシュだった。いずれ夜会に出席するようになることから、顔を出すのに丁度いいのではないかと思ったのだ。万が一、セナリアンが来れなくとも、ルラーラとアローラに頼むつもりであった。
向かって来るアリッシュにキャリルとポーリットはビクンと緊張した。
「ルビアス公爵令嬢…」
「アリッシュ、こちらサバス・ロゾート様の奥様でポーリット様、こちらがカルバン・ロゾート様の奥様でキャリル様、義姉妹なの」
「お、お会いできて光栄です」「初めまして」
「出戻りのアリッシュ・ルビアスでございます」
「出戻り、ふふふ。言葉に出来る逞しさが、最高に格好いいわ」
「当たり前よ、言われる前に言うのがポイントよ」
ポーリットは目を潤ませて、真っ赤になっており、セナリアンとアリッシュは不思議そうな顔をした。
「わ、わわ」「発言よろしいでしょうか」
「勿論です、気軽に話してくださいな」
「ありがとうございます。義姉はルビアス公爵令嬢様に昔から憧れておりまして。妙な様子になっております。ご了承ください」
「まあ、それは嬉しいわ」
「こちらこそでございます。美しい…幸せです」
ポーリットはアリッシュと学年は違うが、同じ時期に学園には通ってはいた。だが話すことはおろか、遠くで眺める憧れの存在であった。ポーリット主観であれば、全女子生徒の憧れの華と言っても、過言ではないと思っている。ポーリットはアリッシュのようになれるとは思っていなかったが、アリッシュが使っている物や、ご愛用という噂を聞けば、親に頼んで購入してもらっていたほどである。
それが他国に嫁ぎ、見ることも敵わなくなったが、まさか離縁されるとは、しかも不貞だなんてと大層怒り狂ったほどだ。被害に遭ったのはそれこそ、サバス。ギャアギャア喚く妻を宥めるのが大変だった。それがまさかここで出会えるなんて、私に言葉を掛けてくれるなんてと感激の様子なのである。
キャリルも何度も聞かされていたので、打ち震える義姉にフォローしたのだ。
「まあまあ、ありがとうございます」「良かったわね、アリッシュ」
「お二人は仲が良かったのですね」
「ええ、幼なじみというのかしらね?」「そうね、友人の前に幼なじみね」
ポーリットは感動で言葉にできない様子で、キャリルは気兼ねのない二人の関係に何だか嬉しくなってしまっていた。
「出戻りとも仲良くしていただけるかしら?」
「もちろんです、いえ、大変嬉しいです」「私もよろしくお願いします」
「ありがとう」
そんな様子を見ていたのはルラーラとルシュベル。セナリアンの母親たちである。
「セナちゃんはああやって、結局は社交をしているのよね」
「何も考えていないと思いますけどね」
「確かに、そこがいいのよね。あらま、アローラが飛び込んで行ってしまったわ。あの顔は悔しかったのね」
「まあまあ、妹が出来てセナも喜んでいましたから」
「まあ、アローラなんてお義姉様と呼んでいいのは、女性だと私だけなんだからって言っていましたのよ」
「ふふふ、光栄ですこと」
さて、飛び込んで行ったアローラ・グロー改め、アローラ・ワンスア。
「お義姉様、私も仲間に入れてください」
「まあ、可愛い義妹!アリッシュは知り合いよね?」
「ええ、もちろん」
アローラもアリッシュも同じ公爵令嬢である、ただ年の差があるので友人という間柄ではない。同じようにポーリットとキャリルを紹介した。
「私とも仲良くしてください」
「ええ、こちらこそよろしくお願いします」「はい、私もよろしくお願いします」
「キャリル様は、兄がお世話になっております」
「あら、それは私が言わなきゃいけなかったわね」
「お義姉様はいいのです!お兄様のことは私が言うくらいで丁度いいくらいです」
セナリアンとアローラの様子に、信者だとすぐ見抜いた。
「セナ、私がいない間にまた信者を増やしたのね」「ほほほ」
「ほほほじゃないわよ、こうやって、セナリアン沼にハマって行くのよ」
「私は自他ともに認める、ズブズブですの。お義姉様と呼んでいいのは、私とノエル様だけですのよ」
「まあまあ、アローラったら。でもポーリット様はアリッシュ沼じゃないかしら?」
「はい、ハマりたいです」
「ふふふ、光栄だわ」
美しき五人の女性たちは周りを気にしていなかったが、皆が遠巻きになんか輝いていないかと見ていた。ポーリットとキャリルはそんな場にいることが誇らしくて、気持ちが高揚していた。
家に帰ったポーリットとキャリルは今日のことをそれぞれ夫に大興奮で自慢した。夫たちはあまりの気迫にたじろぐほどであったそうだ。
翌々日、サバスがやって来て、セナリアンが皆さまでお食べくださいと桃のタルトを一緒に渡すと、ポーリットから早速礼状が届き、タルトを切り分ける時に、私は大きいのだから大きく切って欲しいと言い出して、サバスと揉めたと書いてあって、笑ってしまった。
ちなみにセナリアンはカルバンも好みであるが、サバスも好みである。リリアンネのジュシ伯父様に似ているという点で言えば、サバスの方が見目も似ている。
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