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第17話

姉の子ども1

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 王宮の庭でリリアンネとベビーバスケットに眠る、王太子夫妻の第一子であるアルマリート、セナリアンとルセルがお茶会をしている。ジュジュはお留守番だ。

 姉妹水入らずというところだが、リスルートがカルバンと共に顔を出した。なぜマージナルではないのか、それはうるさいからである。なので、今日のお茶会も内緒であり、マージナルにはちょっと出て来ると言ってある。

 リスルートはセナリアンと互いに表向きの顔で挨拶をし、ルセルを大きくなったなと抱き上げていた。血の繋がりこそないが、友人と妻の妹の可愛い甥っ子である。顔はマージナルにそっくりだが、髪色がセナリアンなので、柔らかい印象になる。

「ルセルは髪の色がいいな」
「みんなね、そうほめるよ?」
「そうなのか、それは悪かったな」
「ううん、おかあさまとおなじでうれしいよ。でもね、このまえ、おじいちゃまとおおきいおじいちゃまとおおきいおばあちゃまが、わたしだよってけんかちてた」
「おかあさまのおじいちゃまかな?」
「うん、みんなおなじなのにね、わたしだ、わたしだって。おばあちゃまがおかあさまがうまれたときも、おなじことしてたんだっておしえてくれてね。すっごく、おもちろかったよ」
「ふふふ、そうか、みんな同じようなものだものな」
「うん!」

 ルセルの可愛さに笑みが零れ、我が子もこのくらいになることを想像していた。第一王子であるアルマリートはよくやく出来た子どもである。

 時はリリアンネの婚約が発表される前に戻る。

 リスルート殿下とリリアンネの婚約に関して、両陛下、殿下、両親を集めて、水晶の判定は問題ないが、セナリアンは一つ問題があると告げた。

「ハッキリ言いますが、殿下とリリアンネは子どもが授かりにくい。二人の魔力に関する相性が悪いのです」
「…そうなのか」

 さすがに王妃も殿下も驚いてしまい、言葉を失っている。

「王族には大問題でしょう。でもここまで見れる者はいない、証明できませんからね。覚悟はしてもらうために話すのだと思ってください。器に対してリリアンネの魔力は少ないのです。そこに魔力の多い殿下の魔力が入ると、器に対してリリアンネでは扱ったことのない魔力量となり、うまく作用せず、慣れるまで子どもが出来にくい。おそらく二年から三年は掛かるだろうというのが、私の見立てです」

 婚約者について、相談された際にリリアンネを推さなかったのはこれが大きい。ただ理由を決まってもいないのに、話す必要はなかった。

「他の候補者でも相性の悪い方もいるかもしれません、たまたま姉だったから分かったというところです」

 王家も言って欲しかったなどと言えるはずがない、言う必要がない。

「私も止めさせたいわけではありません。子も出来ないわけではない、でも心無いことを言う人もいるでしょう。ですので、周りがフォローしてあげて欲しいのです。そして無事に授かれば、生まれるまで手助けすることをお約束します」
「あい、分かった」「私もフォローしますわ」
「リスルート、いいな?」
「はい、私もリリアンネに気にしないようにフォローいたします」
「コルロンドの血筋が多少守ってくれるとは思います。どうか、姉をよろしくお願いします」

 コルロンドの血筋であるため、文句を言うことはシャーロット、カサブランカへの血筋に文句を言うことになる。両親はセナリアンと同時に両陛下に頭を下げた。

 セナリアンは事前に両親には話をしており、特に母親にリリアンネのフォローをするように頼んだが、王家にも賛同してもらわなくてはならなかった。

 両親も驚きはしたが、黙って置いていいことではないことは分かっていた。

「何も方法はないのか?」
「コントロールくらいでしょうか。ただ、私が言うと角が立つので、リル伯母様から妊娠・出産のためにも、念のためコントロールをするように言ってもらったのですが、私は魔術師ではないから関係ないと言ったみたいで」
「ああ…」「難しいのかしら」
「私はそう視ています。この世は奇跡もあるけど、当たり前なんてないのに」
「私からもちゃんと話すわ」「私もだ」
「ええ、変わることを期待しますわ」
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