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第7話
悪魔でもかまわない8(イバンナ王国)
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「ま、まさか、あの女が!あれは、あの者が盗みを働いて」
「茶番はもういい。ジニーさんをお前が殺し、イッツ一家は側近であるピーターとレミジオに、ジニーさんは冤罪だったかもしれないと唆して、自殺に見せかけて口封じさせたことは分かっている。前王に許可を貰って、二人は拘束して、今は牢屋だ。ジニーさんの冤罪と違って、ちゃんと証拠もある」
王太子は側近に別に犯人がいるかもしれないと、自殺させてしまったからには、廃嫡になってしまうかもしれない、すまないと謝って、二人に行動を起こさせたのだ。口封じのためではあったが、また見られた時の保険に真犯人だという枠を作るためでもあった。
「父上、本当ですか」
「ああ、記録された映像を見せてもらった。ジニーというメイドは無理矢理、クレーザに毒を飲まされて殺され、家族はクレーザの側近二人が拘束した上で、家に火を放っておった…」
さすがの王も目を見開いて、息子であるはずの王太子を見つめた。
「あ、あれは、折角のオーレリーとの蜜月な時間を邪魔したのだから」
「大切な時間であるのなら、血の繋がった妹である王女と情事を楽しんでいたと、皆になぜ言わない?処刑する必要はなかっただろう?」
オーレリーは考えることに飽きたのか、キョロキョロしている。
「それは、公に認めている国はないからだ」
「お前は禁忌だと認識しながら、犯したのであろう?なぜお前が裁かれず、ジニーさんが裁かれなければならない?」
「私は尊いゆえ仕方ないのだ」
「尊いから許されるべきだと?」
「ああ、その通りだ」
「十三歳の月のものが始まったばかりの子を弄って、孕ませることが尊い者がするべきことなら、手本にするように国民に知らせてはどうだ?」
「私とオーレリーは特別だから許される」
「ならば特別な発表しようではないか、諸国にも私から招待できるぞ」
「そのような軽いものではないのだ、尊いがゆえ、発表するようなものではない」
全く話にならない。自分と妹を何だと思っているのか。
元々、イバンナ王国ではサファイアが産出されていたが、王太子は変成岩にサファイアを次々と発見。他国に輸出することで、利益を増やした。そして、税率を下げたり、貴族や民に事業や修繕などに還元し、国を豊かにしたとされている。
「魔術師殿」
前王は首を振り、もう埒が明かないと判断した。
「フローレス国王、もう一度結論を」
「クレーザは廃嫡後、生涯幽閉します。もう遅いですが、メイドは冤罪であったことを謝罪します。王女は子のことがありますゆえ、早急に考えたいと思います」
「ありえません!王太子はどうするのですか」
「公爵がおる」
「従兄弟じゃないですか、しかも私より優秀な者はおりませんよ」
「黙れ!ありえぬのはお前じゃ!」
「魔術師様、お腹の子は無事、生まれるのでしょうか?」
口に出したのは前王妃だった。もう吐き気を通り越したのであろう。老け込んで、全体的に真っ白である。
「まだ何とも言えない、今のところ、育っているとしか言いようがない」
「魔術師様はどう見ますか、生まれて来るべきか」
「私も考えた、禁忌とされているだけで、他の子と何も変わらないかもしれない。しかし、この国以外にも過去に王家や高位貴族が血を重んじ過ぎ、血が濃すぎた影響なのか、途中から育たぬか、生まれても身体が弱いことが続き、見目も大きく違うという子がいたのも文献に残っている。この国もそうだろう?だが、生まれて来ない方がいいというべき存在はいない、もし判断を下せるとすれば、人ではないのだろうな」
「運命…」
「ああ、親の運命を背負わされた子。こればかりは私には判断できぬことだ。天に任せる」
「…はい」
「茶番はもういい。ジニーさんをお前が殺し、イッツ一家は側近であるピーターとレミジオに、ジニーさんは冤罪だったかもしれないと唆して、自殺に見せかけて口封じさせたことは分かっている。前王に許可を貰って、二人は拘束して、今は牢屋だ。ジニーさんの冤罪と違って、ちゃんと証拠もある」
王太子は側近に別に犯人がいるかもしれないと、自殺させてしまったからには、廃嫡になってしまうかもしれない、すまないと謝って、二人に行動を起こさせたのだ。口封じのためではあったが、また見られた時の保険に真犯人だという枠を作るためでもあった。
「父上、本当ですか」
「ああ、記録された映像を見せてもらった。ジニーというメイドは無理矢理、クレーザに毒を飲まされて殺され、家族はクレーザの側近二人が拘束した上で、家に火を放っておった…」
さすがの王も目を見開いて、息子であるはずの王太子を見つめた。
「あ、あれは、折角のオーレリーとの蜜月な時間を邪魔したのだから」
「大切な時間であるのなら、血の繋がった妹である王女と情事を楽しんでいたと、皆になぜ言わない?処刑する必要はなかっただろう?」
オーレリーは考えることに飽きたのか、キョロキョロしている。
「それは、公に認めている国はないからだ」
「お前は禁忌だと認識しながら、犯したのであろう?なぜお前が裁かれず、ジニーさんが裁かれなければならない?」
「私は尊いゆえ仕方ないのだ」
「尊いから許されるべきだと?」
「ああ、その通りだ」
「十三歳の月のものが始まったばかりの子を弄って、孕ませることが尊い者がするべきことなら、手本にするように国民に知らせてはどうだ?」
「私とオーレリーは特別だから許される」
「ならば特別な発表しようではないか、諸国にも私から招待できるぞ」
「そのような軽いものではないのだ、尊いがゆえ、発表するようなものではない」
全く話にならない。自分と妹を何だと思っているのか。
元々、イバンナ王国ではサファイアが産出されていたが、王太子は変成岩にサファイアを次々と発見。他国に輸出することで、利益を増やした。そして、税率を下げたり、貴族や民に事業や修繕などに還元し、国を豊かにしたとされている。
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「クレーザは廃嫡後、生涯幽閉します。もう遅いですが、メイドは冤罪であったことを謝罪します。王女は子のことがありますゆえ、早急に考えたいと思います」
「ありえません!王太子はどうするのですか」
「公爵がおる」
「従兄弟じゃないですか、しかも私より優秀な者はおりませんよ」
「黙れ!ありえぬのはお前じゃ!」
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口に出したのは前王妃だった。もう吐き気を通り越したのであろう。老け込んで、全体的に真っ白である。
「まだ何とも言えない、今のところ、育っているとしか言いようがない」
「魔術師様はどう見ますか、生まれて来るべきか」
「私も考えた、禁忌とされているだけで、他の子と何も変わらないかもしれない。しかし、この国以外にも過去に王家や高位貴族が血を重んじ過ぎ、血が濃すぎた影響なのか、途中から育たぬか、生まれても身体が弱いことが続き、見目も大きく違うという子がいたのも文献に残っている。この国もそうだろう?だが、生まれて来ない方がいいというべき存在はいない、もし判断を下せるとすれば、人ではないのだろうな」
「運命…」
「ああ、親の運命を背負わされた子。こればかりは私には判断できぬことだ。天に任せる」
「…はい」
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