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第7話
悪魔でもかまわない9(イバンナ王国)
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「魔術師殿、そなたならどういう結論を出しますか。儂にはもう分らぬ」
「アドリアーノ前王、私は神でも王でもない」
「私はあなたの判断を聞いてみたい」
「私が王なら二人を即刻消す。上に立つには愚かだからな。だが、魔術師としては悪の実を飲ませる」
「悪の実とは?」
「宿した者が主に殺す、傷付ける、騙す、脅す、盗む、支配するなど、悪を感じると育ち、何も無ければ育ちはしない。危険な者を放置するにはとてもいい劇薬だ」
悪の実はシャーロット・マクレガーが発案した、処刑すべきだが、処刑という方法を取れない者への、執行猶予する魔術薬である。
ただし、何を悪とするかはシャーロット基準で、皆に悪いと思うことを聞き取りしたのかというほど、多岐に渡って盛り込まれており、近親相姦も含まれている。ゆえに二度と表舞台に立つことはない人ではないと、例え襲って来た相手だとしても、傷付けるが作用し、戦えないことになり、滅多なことでは使われない。
「育てばどうなるのですか」
「死ぬ」
「猶予をということですね」
「ああ、私は一瞬で殺すことは出来るが、しないことにしている。でないと殺し屋になってしまうからな。前王に言わせれば、悪魔だったか?」
「あれは、失言でした。申し訳ございません」
前王は席を立ち、深々と頭を下げた。
「いや、あの言葉で悪の実を思い出した。皆には急なことだ。はい、そうですかとはならないだろう。ただし、罪のない者を殺したことを、王族だからと野放しにはできない。特にこの国は命は平等だろう?相手が貴族でも平民でもきちんと相応の罰が下されると聞いている」
「オーレリーといれるなら飲みます。悪いことをしなければいいんですよね?」
「それは、駄目だ!」
身分差から貴族が平民を殺しても、大した刑にもならない国もあるが、イバンナ王国は事情は考慮するが、罪に身分差は持ち込まないとなっている。王は死刑を下せずにいるのだろう。
「フローレス国王、私も戦争は望まない。そなたはこれからやることがいっぱいだ、これを飲ませれば、息子のことは放置しておけばいい。もう過ちは死を意味するのだ。優秀で尊い者なら分かるであろう」
「フローレス!!お前が決めれないのなら、儂が決める」
「父上、いえ、私が決めます。クレーザに飲ませてください」
セナリアンは小指の爪ほどの大きさの実を出し、王太子に渡し、戸惑いながら口に入れたが、飲み込まなかった。
「飲み込め、見えているぞ」
誤魔化せると思っていたのか、王太子は思い切って飲み込んだ。セナリアンは確認したと言い、後は魔法省に報告を上げるようにと、王にジニーの冤罪よる殺害、家族の殺害、二人の行為を記録した水晶を渡して消えた。
王太子はすぐに悪の実を吐き出そうとしたり、慌てて持っていた解毒薬を飲んだり、これで乗り切ったと思っていたが、いつも通り王女を部屋に送ろうと手を取ると、心臓がドクドクと暴れ出し立っていられなかった。王女から手を離すと治まり、王と王妃、前王と前王妃はその様子に本物だと深く感じた。
「全員に飲ませなくて良かったのですか」
「王女には飲ませるべきが悩んだが、子がおるため様子見だな」
モンフィルダー伯爵邸に行き、結果を話し、アガットのことは口にしていないと話した。アガットはほっとしたように涙を流した。すぐに白紙になるだろうと、王位は王弟の公爵に任せることになるだろうと、知らぬ存ぜぬが出来るかと問うと、家族は沈黙した。
「記憶を消すことも出来るが」
「いえ、嫌な記憶ですが、忘れて今まで通りというのも嫌です」
「くれぐれも気を付けるように。後は国王を信じ、愚かであればどうなるか分かったようですから」
そしてジニーの家族のことを伝えると、アガットは発狂し、ごめんなさいと謝罪しながら、泣き出したが、これを受け止めるのはアガット自身しかいない。
「アドリアーノ前王、私は神でも王でもない」
「私はあなたの判断を聞いてみたい」
「私が王なら二人を即刻消す。上に立つには愚かだからな。だが、魔術師としては悪の実を飲ませる」
「悪の実とは?」
「宿した者が主に殺す、傷付ける、騙す、脅す、盗む、支配するなど、悪を感じると育ち、何も無ければ育ちはしない。危険な者を放置するにはとてもいい劇薬だ」
悪の実はシャーロット・マクレガーが発案した、処刑すべきだが、処刑という方法を取れない者への、執行猶予する魔術薬である。
ただし、何を悪とするかはシャーロット基準で、皆に悪いと思うことを聞き取りしたのかというほど、多岐に渡って盛り込まれており、近親相姦も含まれている。ゆえに二度と表舞台に立つことはない人ではないと、例え襲って来た相手だとしても、傷付けるが作用し、戦えないことになり、滅多なことでは使われない。
「育てばどうなるのですか」
「死ぬ」
「猶予をということですね」
「ああ、私は一瞬で殺すことは出来るが、しないことにしている。でないと殺し屋になってしまうからな。前王に言わせれば、悪魔だったか?」
「あれは、失言でした。申し訳ございません」
前王は席を立ち、深々と頭を下げた。
「いや、あの言葉で悪の実を思い出した。皆には急なことだ。はい、そうですかとはならないだろう。ただし、罪のない者を殺したことを、王族だからと野放しにはできない。特にこの国は命は平等だろう?相手が貴族でも平民でもきちんと相応の罰が下されると聞いている」
「オーレリーといれるなら飲みます。悪いことをしなければいいんですよね?」
「それは、駄目だ!」
身分差から貴族が平民を殺しても、大した刑にもならない国もあるが、イバンナ王国は事情は考慮するが、罪に身分差は持ち込まないとなっている。王は死刑を下せずにいるのだろう。
「フローレス国王、私も戦争は望まない。そなたはこれからやることがいっぱいだ、これを飲ませれば、息子のことは放置しておけばいい。もう過ちは死を意味するのだ。優秀で尊い者なら分かるであろう」
「フローレス!!お前が決めれないのなら、儂が決める」
「父上、いえ、私が決めます。クレーザに飲ませてください」
セナリアンは小指の爪ほどの大きさの実を出し、王太子に渡し、戸惑いながら口に入れたが、飲み込まなかった。
「飲み込め、見えているぞ」
誤魔化せると思っていたのか、王太子は思い切って飲み込んだ。セナリアンは確認したと言い、後は魔法省に報告を上げるようにと、王にジニーの冤罪よる殺害、家族の殺害、二人の行為を記録した水晶を渡して消えた。
王太子はすぐに悪の実を吐き出そうとしたり、慌てて持っていた解毒薬を飲んだり、これで乗り切ったと思っていたが、いつも通り王女を部屋に送ろうと手を取ると、心臓がドクドクと暴れ出し立っていられなかった。王女から手を離すと治まり、王と王妃、前王と前王妃はその様子に本物だと深く感じた。
「全員に飲ませなくて良かったのですか」
「王女には飲ませるべきが悩んだが、子がおるため様子見だな」
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「くれぐれも気を付けるように。後は国王を信じ、愚かであればどうなるか分かったようですから」
そしてジニーの家族のことを伝えると、アガットは発狂し、ごめんなさいと謝罪しながら、泣き出したが、これを受け止めるのはアガット自身しかいない。
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